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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「彼らも例の擬似超振動の不法入国者です。捕えなさい!」
「ジェイド!?彼らに手荒な真似は…」
「大丈夫ですよ、イオン様。彼らが大人しくしてれば乱暴な真似はしませんよ。大人しくしていればね」
にっこりと微笑むジェイドにルークは疲れたように両手を上げ、カイルは憎々しげに睨みつけた。
「素直で助かります♪では、タルタロスにご招待しましょうv」
ルークたちは兵士に囲まれたままタルタロスに連行された。

連行された先には既にティアがおり、落ち着かない様子で椅子に座っていた。
ルークはその隣に座り、カイルは勧められたが辞退した。
「確認しますが、擬似超振動を起こしたのは貴方々で間違いありませんね?」
「…違うと言っても確信してんだろ?」
ルークの態度にティアが「ルーク!」と叱るように呼ぶが、カイルに睨まれて渋々黙る。
「えぇ、してます。…私はマルクト軍第三師団師団長ジェイド・カーティス大佐です。貴方はキムラスカ王族の方ですね?」
「「えぇっ?」」
同席していたイオンとその導師守護役であるアニスが驚いたように声を上げた。
「赤い髪と緑の目、キムラスカ王族の特徴です。お名前の方をよろしいですか?」
「ファブレ公爵子息、ルーク・フォン・ファブレ」
あっさり名乗ったルークにジェイドは渋ると思っていたので一瞬驚くが、再び胡散臭い笑みを張り付けた。
「それで、後のお二人は?」
「…私は神託の盾騎士団モース大詠師旗下情報部第一小隊所属、ティア・グランツ響長です」
「白光騎士団、カイル・ライラック」
戸惑いながらティアが名乗り、淡々と簡潔にカイルが名乗る。
「あの…白光騎士団とは?」
イオンがそう訊くとルークがにっこり笑って答えた。
「ファブレ家お抱えの私設騎士団だよ。カイルは俺専属の護衛騎士なんだ」
「きゃわ~ん!素敵ぃ~vV」
はしゃぐ導師守護役の姿にカイルが眉をひそめる。
導師守護役はいかなる時も導師を優先し、立場を考慮した発言をしなければならないはずだ。
それなのに…と同じ仕える立場として恥ずかしく思った。
「それでカーティス大佐。何故マルクトの軍艦に行方不明のはずの導師が乗っている?それに不法入国者を導師と同じ席につかせて良いのか?」
「えぇ!?もうそんな話になってるんですかぁ?」
「……」
問いの答えになっていない上、発言の許可を得てない導師守護役が答えてどうする。
問いにはジェイド・カーティスが答えるべきであり、答えるなら発言の許可を求めるべきだ。
神託の盾では軍人に礼儀の一つも教えてないのか?
カイルは不敬をつくすダアト軍人二人に抜刀しないように心を無にするよう努める。
「あの…ルーク。それは誰から聞いたんですか?」
イオンの問いにルークは訊かれた事を的確に述べる。
ルークからしてみれば"前回"と同じような流れなのでこれが"普通"なのだと思っており、それ故カイルの葛藤には気付かない。
「神託の盾騎士団総長ヴァン・グランツ謡将に聞いた。あの人とは師弟関係なんだ」
「はわぁ~、総長に?でも、それ誤解なんですよぉ~。公式にマルクトから頼まれてますし~」
「アニ~ス。駄目ですよ、そんな簡単に喋ったら」
軽い口調でアニスを窘めるとジェイドはルークを見た。
「我々は今、バチカルへ向かっています」
「まさか戦争を?」
今までカイルに睨まれて黙っていたティアが驚いて口を挟む。
戦争であれば平和の象徴でもある導師がいるのはおかしいとは思わないのか…とカイルは頭を抱えたくなった。
「違いますよ~、その逆ですって!」
「アニ~ス。貴女は口が軽いですねぇ」
「しかしジェイド。ルークに頼んでみてはいかがですか?」
イオンの言葉にジェイドはふむ、とわざとらしく考え込む。
「…そうですね。実は私たちは和平の為に動いているんですよ」
それがルークの問いの答えだった。
何故、マルクトの軍艦に導師がいるのか…和平の仲裁の為。
何故、不法入国者であるルークたちと尊い導師が同じ空間にいるのか…取り次ぎをしてもらおうと考えていたから。
つまり、キムラスカ王族の特徴を知っていたジェイドははなっから和平を取り持ってもらう為にルークをここに連れてきたのだ。
そこまで考えてカイルは何かがブチッと切れたような気がした。
「…ルーク様、発言の許可を」
「ぇ?ゆ、許す」
カイルの低い声に驚いて振り向いたルークはカイルの顔から表情が消えているのを見た。
カイルは素顔を曝している時はいつもにこにこしていた。
だが、飛ばされてからしかめ顔が多くなり、とうとう無表情…
ルークはその無表情を一度だけ見た事がある…だからそれは彼がかなりキレている証拠だと知っていた。
「カーティス大佐。ここの責任者は貴方ですか?」
「えぇ、そうですが?」
「今すぐ貴方の次に偉い方をこの場に呼んで下さい。でなければ、セントビナーで正式な手続きをふんで帰らせていただきます」
別に不法入国で捕まったからと言ってこのタルタロスでなければならないわけなどない。
マルクトの詰め所ならばどこでも良いのだ。
エンゲーブから少し行った所にあるセントビナーにある軍施設で正式な手続きをし旅券を発行してもらえば良いだけなのだ。
その本気が伝わったのかジェイドは近くの伝声管を手にとり「少佐、すぐに来るように」と言って再びルークたちの方を見た。
「これで良いですか?カイル・ライラック殿?」
「あぁ」
それ以降誰も喋らなかった。



---あとがき---------------------------
カイルがキレた?


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