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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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事務所の中に無事入ったキョーコはまっすぐラブミー部の部室へと向かった。
一瞬、主任である椹のところに向かおうかとも考えたが、電話が鳴り響いているであろう場所では話ができないと判断して。
今までTVをチェックしていたのか、それとも表玄関を強行突破してきたキョーコが信じられないのか、皆唖然としてキョーコを見つめている。
そんな視線をもろともせず、キョーコはさっさと部室に向かった。


「ふぅ…緊張したーーー」

誰かが聞いていたら「嘘つけ!」と言いそうなセリフを吐いたキョーコは、誰もいない場所に来て安心したのか、椅子の上に崩れ落ちるように座り込んだ。

ブルブルブルブル

座った途端、震えだしたケータイにキョーコはびくっと震える。
そして、慌ててケータイを取り出し、誰からかも確認せずに通話ボタンを押す。
その瞬間、

『あんた、何やってんのよぉぉぉおおおお!!!!!』

と部屋中に女性の叫び声が響いた。
耳元に持っていく前でよかった…と思いながら、キョーコは笑顔になる。
なんたって愛しの親友からの滅多にない電話である。
どんな状況であろうと、嬉しいものは嬉しい。

「モー子さん!」

『「モー子さん!」じゃないわよ!あんた、何やらかしてんのよぉ!!タレント部の主任から、今日は事務所来るなって連絡入んなかったわけぇ?!』

「ううん、入ったわよ?」

『なら、何で…』

「だって、許せなかったんだもん」

『は?』

「まるで、敦賀さんが“クー・ヒズリあっての敦賀蓮”みたいに言われてるのが許せなかったんだもの」

その言葉に奏江は息を呑んだ。
キョーコは本気で怒っていることがわかったからだ。
電話越しでもわかる負のオーラ…
電話越しで良かったわ…と怨キョの被害にあったことのある奏江は思った。

『…あんた、クー・ヒズリのこと“先生”って呼んで慕ってなかった?』

「えぇ、慕ってるわよ?でも、それとこれとは話が別だわ」

『まぁ、そうだけど…』

肩書で判断したりしない奏江は蓮が誰の息子だろうと気にはしない。
クー・ヒズリの息子だと知った時は驚き、「ハリウッドスターの息子なんて大変でしょうねぇ…」と同情はしたものの、所詮他人事。
世間にどう言われようと関係ないが、蓮を神様のように信仰しているキョーコにとっては違うのだろう。
だから、言わずにはいられなかったのかもしれない…
奏江自身、もしキョーコがそんな目にあったら抗議していたかもしれない…と思いつつ、本人には照れくさいため言わなかった。

『…まぁ、いいわ。ということは、あれは意図してマスコミの前に出たのね?』

「うん……やっぱり、怒られるわよね…?」

『当たり前でしょ!最悪、クビ…にはならないでしょうねぇ』

「え?なんで??」

『あんたの暴走が良い方向にいってるからよ。今、TV見てないの?』

「う、うん」

『あんたの発言の後、“敦賀蓮”の見方が変わったのか、あんた寄りの発言をするコメントが増えたのよ。LMEとしても、これからの活動のことを考えると“クー・ヒズリの息子”じゃなくて“敦賀蓮”を見てほしいでしょうし、殆どお咎めなしだと思うわよ』

その言葉にキョーコはほっとした。
クビを切られる覚悟をしていたとはいえ、やはり本当にそうなったら嫌だったからだ。
それでも、例えクビになるとわかっていても、何度だって同じ行動を取るだろう。
それだけキョーコにとって蓮の存在は大きかった。

『じゃあ、私の要件はそれだけよ。あんたが突発的にじゃなくて、覚悟して行動に移したのなら私に言うことは何もないわ』

「…心配、してくれたの?」

『……好きに判断しなさい。じゃあね、キョーコ』

「!…うん!モー子さん、ありがとう!!大好きぃぃいいいvvv」

『っ…はいはい。じゃあ、切るわよ!』

ブチッ

その言葉と同時に通話が切れ、プープーと空しい音が部屋に響く。
キョーコは嬉しそうにケータイを見つめると、いそいそとケータイを鞄に戻そうとした。
が、

ブルブルブルブル

再び震えるケータイ。
キョーコは一瞬固まると、名前を確認する。

「…非通知……」

キョーコが知ってる中で非通知でかけてくるのは二人。
椹と蓮である。
恐る恐る通話ボタンを押すと、『最上くんか?』と今朝より疲れた、しかし、どこか満足そうな声がした。

「椹さん…?」

『最上くん…君、やってくれたなぁ…』

「す、すみません!!!」

『いや、責めてるわけじゃないよ』

「え?だ、だって…」

『蓮を知ってる俺たちとしては、よくぞ言ってくれた!という心境だな。もちろん、独断で勝手にインタビューに応えたことは咎めないといけないが、それでも、君が勇気を出してくれたおかげで蓮は潰れずにすむかもしれん』

嬉しそうに言う椹にキョーコはほっとする。
お咎めはありのようだが、酷いことにはならずに済みそうだ。

『我々や社長が「蓮とクー・ヒズリは別物」と説明しても、世間はどうしたって“蓮=クー・ヒズリの息子”と見る。けれど、同じ役者である君の言葉なら、世間に届くだろう』

「そういうもの、ですか?」

『あぁ。やはり、視点の問題かな?だから、君が蓮は蓮だと躊躇うことなく言ってくれて嬉しかったよ。個人としてもLMEの社員としても礼を言いたい』

「私はただ、皆さんの認識が許せなかっただけです…感謝していただくようなことは……」

勝手をしたのに感謝されて小さくなるキョーコ。
報道陣の前に出たのはキョーコの我が儘だ。
“敦賀蓮”の演技を軽んじる世間が許せなかったキョーコの我が儘なのだ。

『…君ならそう言うと思ったよ。だからな、社長室に向かえ』

「は?どうやったら“だから”になるんですか?脈絡が…」

『勝手をしたことを反省してるんだろう?けれど、後悔はしてないはずだ。だから、社長室に行って、社長に“お咎め”をもらってきなさい。その内容が“お咎め”として納得できるかどうかは判断できないが、それで君の独断を許す。だから、行きなさい』

「…わかりました」

 

 

 


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椹さんの喋り方がようわからん…
でも、あのキャラ不憫で好きなんですよねぇ~

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