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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「ホント、いろいろ知ってるんだね!」

「殆ど全部、偶然ですけどね…」

あの時、瑠璃子ちゃんの依頼を受けなければ。
あの時、ブラックホールを作ってる敦賀さんを見つけなければ。
あの時、私以外が代マネの仕事についていたら。
あの時――――
言い出せばキリがない。
自分で行動したこともあったけど、最初は全て偶然だった。

「でも、もう流石にないよねぇ~」

「…そうですね。敦賀さんに関しては、もう殆ど言っちゃったと思います」

「敦賀さん“に”関しては?」

「はい。でも、まだせんせ…クー・ヒズリについてが残ってます!」

「あ、そういえば、何で知り合いなの?!」

そうよね、普通は驚くわよね。
ドラマに出させてもらえるようになったとはいえ、ぺーぺーの新人タレントと天下のハリウッドスターであるクー・ヒズリが知り合いなんて。
私自身、今でも信じられない時あるし…

「実は、社長から(ラブミー部の依頼として)帰国なさったクー・ヒズリのお世話係…というか食事係を命じられまして……」

「あ!京子ちゃん、料理上手だもんね!」

「坊の料理、今だ嫌いなものを混ぜた料理を当てられたことないしな」

「実はこの収録で一番楽しみなのが坊の料理を味見することだったりするんだよね~♪」

「あ、ありがとうございます////」

って、照れてる場合じゃないのよ、キョーコ!
ラブミー部の趣旨を話すわけにはいかなくて、伏せて話して、三人とも乗ってくださったのは、助かったけど、脱線してるわ!
今から話すのは私の料理のことじゃなくて、先生と敦賀さんの違いなんだから!!

「そ、それでですね、クーさん(なんかむずかゆいわ…)の食事を作らせていただいたんですけど、凄い量を食べるんですよねぇ…」

「知ってる!“保津周平ブラックホール伝説”だよね!」

「はい。50人前の鍋をぺろりと食べきった上、残ったダシを使って作ったおじやまで食べ切って…あの量がたった一人の胃袋に収まってゆく様は爽快でしたね、ふふふふ……」

「そ、それはすごいね…想像できないや…」

「最初はげんなりしてしまいますよ。見てるだけでお腹いっぱいというか…慣れてしまえば平気なんですけどね」

「え?慣れたの?!それはそれですごいような…」

「それに比べて敦賀さんは空腹中枢が機能してないとしか思えないほど小食なんです!」

先生の息子なら、50人前は無理でも10人前は余裕だと思ってたのに…
あ、でも、“見てるだけでお腹いっぱい”パターンなのかもしれないわ。
それに、奥様の“万人受けしない料理”を嫌がってるのに口に詰め込まれてたって聞いたし…

――ごめんなさい、敦賀さん…もう、食事を強制したりしませんから!

は!思わず反省してしまったわ!
でも、ダメよ、キョーコ!
放っておくと、これ幸いと食事をしないに決まってるんだから、ここは心を鬼にしなきゃ!!

「そうなの?」

「えぇ!朝はコーヒーだけ、昼と夜はコンビニで買ったおにぎりとかなんとかinゼリーとかカロリーなんとかで済まるんですよ!どうやってあの巨体を維持してるのか、今だ不思議でなりません!!」

「うわぁ…きっちりしてそうなのに…」

「他はきっちりしてるんですけど、食事だけは無関心なんです。お腹に入れば何でも一緒、みたいな感じで…マネージャーさんも食事させるのに苦労してるみたいです」

「そうなんだ…親子で結構違うもんだね」

その言葉が欲しかったのよ!
ナイス!光さん!!

「そうなんです!!フェミニストなとことか優しくて寛大なとことかは共通してますけど、食事に関しては真逆と言っていいほどですし、演技の種類だって違いますし、雰囲気は似ててもやっぱり違いますし!親子といっても全然別人なんです!!」

「そ、そうなんだ…」

「はい!せ…クーさんは意外と大人げないんですよ!いえ、全てを包み込むような包容力のある方ですけど、でも、私と本気で大喧嘩しちゃうし!」

「え?!大喧嘩って…京子ちゃん、ハリウッドスター相手に何を……」

「あはは…クーさんが“嫌な男”を演じるので、つい…」

後で優しい人だって知ったけど、あの時は本気でムカついて…今は本心じゃないって知ってるからいいけどね。
でも、あの時はそんなこと知るはずもなくて、信仰してる神にも等しい敦賀さんを侮辱するなんて!ってムキになっちゃったのよねぇ…。

「“嫌な男”?」

「はい。今回の件があって、種明かししてもらったんですけど、私を苛めて敦賀さんに泣きつかせる予定だったらしいです。…私、あの頃“Dark Moon”の現場で結構敦賀さんと一緒になったので、それを知って『追い詰められたら、尊敬してる先輩である彼に頼るんじゃないか』って思ったらしく…」

「でも、何でそんなことをわざわざ?」

「敦賀さんが日本に来てから、ずっと連絡を絶っていたらしいんです」

「え?そうなの?」

「らしいです。敦賀さんは“敦賀蓮”を作り上げるのに必死だったのもあるでしょうけど、クー・ヒズリとは関係ない“敦賀蓮”として自分の力で伸し上がって、地位を築いて、そして堂々と帰るまで接触するつもりはなかったんじゃないか…って聞いてます。敦賀さんはやるからには徹底的に!な人ですからね」

社長がその道を示さなければ、きっと壊れてた。
さっと簡単に掻い摘んで聞いただけだけど、大切な存在を作るつもりはないと言った敦賀さんの辛そうな表情を見たことがあるから…

「でも、クーさんや奥さんのジュリエナさんの方が耐えきれなくなって、その計画を立てたらしいです。クーさん、すっごく親ばかですからね…お世話係を任命されていた際に課題として息子さんを演じることになったんですけど、1つ特徴を教えてくださいって言ったら、息子さんの素晴らしさのオンパレード…正直、嫌がらせだと思いました…」

親バカってこういうのを言うんだ…ってすごく呆れた。
正直、理解できないな…と冷めた目で先生を見た。
でも…久遠少年を演じて、演技を通して“父親”を知って…久遠少年をずっと演じていたいと思うほど、先生のことを好きになっていた。

「息子さん…って敦賀さんのことだよね?」

「はい!10歳くらいの頃を演じさせていただきました…私としては15歳くらいのつもりだったんですけど、10歳頃の敦賀さんの雰囲気に似ていたらしくて…。演技中にばったり敦賀さんに会ったんですけど…本人の前で演じてたんだ、って今すっごく恥ずかしいです……っ」

「あー…、ドンマイ?」

「ありがとうございます…でも、本当に似てたらしいですよ!敦賀さんが思わず私に詳細を教えたのか!って怒って社長とクーさんのところに乗り込むくらい」

「そうなの?それはすごいね!!」

「えぇ、それを聞いた時は嬉しかったですね。それと、敦賀さんと私の作った息子さんはかなりシンクロしてたらしいです!私がお見送りの時に言ったセリフと敦賀さんがクオン・ヒズリに戻って撮ったビデオレターの内容が被っていたらしいですから」

久遠少年なら…って思っただけで、敦賀さんなら…なんて考えなかったのに。
敦賀さんが同じようなことで悩んで、同じような結論に至ったのだと思うと、何だかくすぐったいような気がするわ。

「でもさ、何で敦賀さんはそこまで徹底的に連絡しなかったの?」

「それは…本人ではないので憶測ですけど…ご両親の存在がそこまで重く圧し掛かっていたのではないでしょうか?」

「え?」

「自分の演技が見てもらえなくて、いつも肩書ばかり注目されて…なんて状況だったとしたら、とても苦しかったんだと思うんです。元凶である親を憎めたら楽だったんでしょうけど、大好きなご両親を憎むことなんてできなくて、溜めこんで…耐えて耐えて耐えて…そして、日本で全くの赤の他人として演じることでようやく掴んだ希望。赤の他人だからこそ掴めた希望。赤の他人を貫くことが、“敦賀蓮”であることと同義だったのでは…と思います」

「「「………」」」

「それに…多分、合わせる顔がないとも思ったんじゃないでしょうか?切羽詰まっていたらしく、止める間もなく別れたらしいですから。クーさんはその背を見送るしかできなくて、ジュリエナさんは見送ることさえできなくて、苦しんでいたことに気付けなかった自分は親失格だと思い詰めるほどだったらしいです。敦賀さんは自分のことで精一杯で、“敦賀蓮”を築き上げて、後ろを見る余裕ができた時にそのことに気付いて…二人を傷つけた自分を許せなくて、ますます頑なになってしまったんじゃないのかって思います」

敦賀さんのことはわからない。
あの人ほど広い視野を持っていないから…でも、久遠少年のことならわかる。
シンクロしていたと、敦賀さんも先生も保証してくれたから…
だから、私が久遠少年だったら、きっとこう思う。

――人を傷つけてきた俺に幸せになる権利なんてない…大事な人を作るなんて、どこでだってできない

そして、自分をずっと許さないの。
優しい人だから…ずっとそう自分に言い聞かせて、自分を縛りつけてしまうの。

「今回の騒動でいろんな人が言う“クー・ヒズリの息子”という評価は、そんな敦賀さんを否定しています。苦しんで、苦しんで、作り上げた“敦賀蓮”を否定してます!クー・ヒズリと敦賀蓮は別人なんです!敦賀さんはクー・ヒズリという存在がなくても光り輝いています!それなのに、皆さんはクー・ヒズリとの親子関係を知った途端、敦賀さんの輝きをクー・ヒズリという存在で遮ったんです!!肩書に惑わされて、敦賀さん自身を見ようとしなくなった!!!」

言いすぎかもしれない。
でも、ニュースを見た時、報道陣に囲まれた時、そう思ったの。
敦賀さんの存在は先生の存在で陰るほど、小さくないのにって悔しかった。
役者として本物なのに、あの人の演技は追い付きたくても追い抜こうと思わせないほど素晴らしいものなのに、ハリウッドスターと血が繋がってるのが明らかになった程度で崩れるほど脆くないのに!!
思わず涙が浮かぶ…――泣いちゃダメよ、キョーコ!

「“Dark Moon”の監督である緒方監督が言ってました。父親の存在が大きすぎて、自分は父親の付属品なのではないかって思っていたって…けれど、誰もが比べられても“親子なんだから仕方ない”で片づける中、敦賀さんだけは“貴方とお父さんは別人なんですよ”って自分の存在を肯定してくれたって。それがすごく嬉しかったんだって…。それは、敦賀さん自身も同じ立場だったから欲しい言葉がわかったんだと思います。“クー・ヒズリと貴方は別人なんですよ”って。だから、私が言います」

何もわからないくせに生意気言うなと怒られるかもしれない。
私は貴方じゃないから、貴方をわかってあげられない。
だけど、私が貴方に言いたいんです。
見当違いな言葉でも、私が貴方に…そして世界に訴えたいんです。

「貴方は決して付属品なんかじゃない、日本を代表する素晴らしい俳優です。私が一番尊敬する役者です。意図したことじゃなくても、私を演技で魅了して、私に演技という道を示してくれた、私の光です。貴方が誰の子供であっても関係ありません。私が今まで見てきたのは、目指してきたのは“敦賀蓮”です。そして、これからも変わることはありません」

私にこんなこと言われたって困るだけかもしれない。
世間の反応だって「何言ってるんだ、こいつ」程度かもしれない。
それでも、私が思ったことを伝えたかった…

――貴方は私の道標なんです

私が歩くために必要な存在なんだって……

 

 

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ぐだぐだですみません。
詰め込みすぎました…(汗

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