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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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※続き


「エド~!ちょっと、コレどうゆう事よ~~!!!」
ウィンリィの声にエドワードは驚いて木の上から飛び降りる。
その途端、ガシッと肩を掴まれた。
「どうした、そんなに慌てて…」
「どうしたもこうしたもないわよっ!」
そう言ってウィンリィが広げたのは新聞。
そこにはロイが大総統になったという事と…
「はぁ!?何だとっ!!」
「私が訊いてるんでしょ!あんた、辞めてきたんじゃなかったの?」
鋼の錬金術師エドワード・エルリック
大総統補佐官に任命
一階級特進、中将
「あのヤローどういうつもりだ…」
「そうだよねっ」
「うぉっ、アルフォンス?いつの間に…」
いつの間にか家にいたはずのアルフォンスがエドワードの隣で新聞を覗き込んでいる。
その額には気のせいと思いたいが青筋がたっていた。
「あの男、ふざけるのも大概にして欲しいところだよ。兄さん、待ってて!今からあの男殺ってくるから☆」
爽やかにそう言い切るとアルフォンスは背を向けて駅の方に行こうとする。
流石に弟を犯罪者にするわけにはいかないのでエドワードはその肩を掴んだ。
「待て、待て、待て!とにかく、まずは電話してくるからさ。」
「兄さんがあんな男のために動く事ないよ。ね、ウィンリィ?」
「当たり前じゃない!エドは約束守ったんでしょ?」
その言葉に頷くとウィンリィもスパナ片手に立ち上がる。
「アル、私も手伝うわ。」
「え?本当?頼もしいなぁ。」
アルフォンスはにこやかに笑うと再び駅に向かおうとする。
今度はウィンリィも一緒にだ。
「待てって!あいつはどうでも良いけど、お前らを犯罪者にはしたくないんだよ!!」
本人(ロイ)が聞いたら号泣するような言葉にアルフォンスとウィンリィは感動したのか納得したのか「わかった」と頷いた。
「そうよね~。あんな男のために手を汚すのもね。」
納得、の方だったようだ。
「兄さん!そんなに僕たちの事っ…」
こっちは感動しているようだ。
とにかく二人を止める事に成功したエドワードはホッと胸を撫で下ろした。
「電話して、どういう事か聞いてくるよ。二人はここにいろ。」
「わかったよ。逆探知されないように気をつけてね。」
「わかってるって」
リゼンブールにいるのを相手は知らないはずなので嗅ぎ付けられるわけにはいかない。
なので、二人の声が相手に聞こえるような事があってはならないのだ。
「ふざけんなよ…」


エドワードはロイ直属だったので本人に直接繋がる番号を知っている。
なので、電話をすればすぐに繋がるはずなのに出ない。
「あのヤロー何やってんだ…」
『ガチャ』
『…もしもし?もしかしなくても大将っスか?』
出たのがハボックだという事にエドワードは首を傾げる。
この番号は大総統の部屋にある電話に繋がっているはずだ。
「ハボック大佐?奴は?」
『いやぁ…その…すまん!!俺たちじゃあの人を止められなかったんだ!』
「どういう事だ?」
何かあったのか?と訊くとあったと言うか…と言葉を濁される。
『…多分、大総統はそっちに着いてる頃だと…』
「…逆探知は出来ないはずだろ?」
その前に「着く」と言われても、電話すらしていない。
『そうなんだよなぁ。大将がかけてくる電話っていっつも逆探知も何にも出来ねぇからフュリーも落ち込んでたぜ?』
「じゃなくて!」
『リゼンブールだろ?大将がいるトコ。』
「ぇ…?」
その戸惑った声は肯定と同じだ。
エドワードは否定しようとしたがハボックの『やっぱり…』と言う声に遮られた。
『大総統がな、言うんだよ。大将は何だかんだ言いつつ、まずはリゼンブールに帰るって。そこでアルたちと過ごしてから旅に出るだろうから、まだそこにいるだろうってさ。当たり?』
「うっさい」
自分の考えが読まれているのが悔しくて吐き捨てるように呟く。
そこでふと、気が付いた。
いる場所の見当がついていると言う事はつまり…
「俺は逃げる!!」
「それは困るな。」
電話越しではない声。
そしてハボックの声でもない、この声は…
「てめぇ…」
エドワードの憎々しいといった声を綺麗に無視してロイはエドワードの持っていた受話器を取る。
「ハボック、足止めご苦労。」
『そーですよ。大将の逆鱗受けるのいやですからね!』
「無理だな。」
ガチャンッとまだ文句の聞こえる受話器を置くと、去ろうとして背を向けているエドワードを抱きしめた。
「相変わらず、つれないな。」
「つれてたまるか!!」
何度も繰り返した会話をしながらエドワードは逃げ出そうと、ロイは逃がさまいと攻防戦を続ける。
そして、軍配は上がった。
「やっと諦めてくれたか…」
上がったのは勿論、ロイ。
いくらエドワードが強かったとしてもやはり体格差だけはどうにもならない。
それに基礎体力や筋力もロイの方が上だ。
伊達に軍人歴が長いわけではない。
「そーゆー問題じゃねぇっての。俺だって文句があるから大人しくしただけだ。逃げねぇから放せっ」
「嫌だね。」
「はっ?」
「嫌だ、と言ったんだ。」
「子供みたいな事言ってんじゃねぇよ!」
エドワードはそう言ってロイの胸を突っ張るが、全く動かない。
同じ軍人として、それ以前に男として屈辱的だ。
「子供で良いさ、君の前ならね。君は子供を一人で置いていくほど非道じゃないだろう?」
「子供ならな!あんたは大人だろ。逃げないっつってんだからさっさと放せっ!!」
「そっちこそ何度も言わせるな。放す気はないと言っているだろう?あの時、放さなければと何度も後悔したからね。私はその経験を今に活かしているだけだよ。」
ロイに聞く気がないのを理解するとエドワードは溜息をついた。
どこの駄々っ子だ…
「わかったから、せめて力を緩めろ。痛いんですけどー」
「あぁ、すまない。逃がしたくないと思うと力が入ってしまってね。」
ロイが力を緩めるとエドワードはふぅと息を抜いた。
「…あんたどういうつもりだ。俺は退役届け出しただろ。」
「ん?受理してないだけさ。私がまだ受理していない…つまり、君はまだ軍人だ。そうだろう?」
あっさりとそう言い切ったこの男を本気で殴りたいと思った。
あぁ、こいつを殺すと言っていたあの二人を止めるのではなかった…。
今からでも良いから殺って欲しい…

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