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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「受け取って、もらえるかしら…?」

ランチボックスをかかえ、事務所に向かうキョーコ。
その表情は不安げで、男心をくすぐるものだったが、幸いと言っていいのか見た者はいない。

「あれが仕事だから、受け取るわけにはいかない…とか言いそうよね……」

キョーコの脳裏に過るのは、いつでも自分の仕事を全うしている人。
何度か世話になった彼に口頭で礼を述べたものの、それだけでは気が済まないと品数は少なくなってしまったが、あの日と同じメニューを作ってきたのだ。

「こんな自己満足…あの人は嫌いかしら…?」

ラブミー部員であるキョーコは人のために何かすべきなのに、今回の行動も以前と同じ自己満足。
きっと「君はラブミー部の主旨をわかっていない」と怒られる。
あの人自身は何も言わないかもしれないけど、きっと同じように思うだろう。
そう、わかっているのに…
呆れられてもお礼がしたかった。
彼はパーティーの影の功労者だから…



「あっ…」

キョーコは目当ての人物を見つけ、ホッとしたように口を緩めた。
すぐに会えるなんて考えてもいなかったからだ。
何故なら彼は…

「セバスチャンさん!!」

社長のお付きの人なのだから。
本名を知らないキョーコは仮の名を呼ぶ。
すると、すぐに自分を呼んでいると認識したセバスチャン(仮)はくるりとまわって声のした方向を見た。

「これは最上様。本日はどういったご用件で?」

「あ、あの…セバスチャンさんにこれを渡したくて…」

「私に、ですか?」

予想外の言葉に思わず聞き返してしまうセバスチャン。
普段からローリィの付き人をしているため、滅多なことでは驚きもせず求められたことを熟すセバスチャンだが、まさかキョーコが自分に用があるとはカケラも思わなかったため動揺してしまったらしい。
セバスチャンを動揺させるとは、流石、ローリィに爆弾と称されるキョーコである。

「はい」

しっかり頷いたキョーコは持っていたランチボックスを躊躇いがちに差し出した。

「セバスチャンさんにはハッピーグレイトフルパーティーの時にお迎えとか伝言とかいろいろお世話になったので…」

「それが私の仕事ですから」

「はい。そうおっしゃるとは思ったんですが、あの日食べていらっしゃらないようでしたし…仕事だからいらないと言うとは思ったんですけど、貴方にも食べていただきたくて…」

受け取って…いただけませんか…?

そう言って上目遣いで見上げてくるキョーコにセバスチャンは無言で固まった。
マリアに対し、姉のように接している姿は見たことがあっても、どこか甘えを含んだ“女の子”な表情を見たことがなかった。
そのキョーコの可愛らしい表情に思わず動揺してしまったのである。
そんなセバスチャンの後ろからひょっこり現れたローリィは、動かないセバスチャンを見た後、にたぁと笑った。

「せっかく最上くんが作ってきてくれたんだ、受け取ってやれ!」

「…はい」

すぐに我に返ると頷き、ランチボックスを受け取るセバスチャン。
それを確認にしたキョーコは「用はそれだけです。本当にありがとうございました!」と深々頭を下げ、ローリィにも挨拶と受け取るように促した礼を言って、その場から立ち去った。

「中身は何なんだ?」

「聞き及んでおりません」

「なら、開けてみせろ」

ローリィに促され、ランチボックスを開けるセバスチャン。
中にはグレードフルパーティーと同じメニューが入っており、冷めていても美味しそうであった。

「ほぉ~…あの日と同じメニューか。そういえばお前は食べてなかったな」

「…職務中でしたので」

「成る程。それで、最上くんはわざわざ作ってきてくれたわけか。…ん?これは…」

興味深そうにランチボックスの中身をじろじろ見ていたローリィは、あの日はなかったものを見つけ、思わず手に取る。

「ゼリー…か?」

ワイングラスに入ったそれは傾けても落ちる様子はなく、しかし、しっかり固まっているのではなく揺れたため、ローリィはそう結論付けた。

「…恐らく、ウエルカムドリンクの代わりかと」

「成る程!そういやぁ、俺も貰ったな。しっかし、グラデーションが綺麗で食うのが勿体無いゼリーだな。素人が作ったとは思えん!」

「確かに」

「よし、食わせろ!」

「…言っていることが矛盾しておりますが?」

「彼女の料理はどれも美味しかったからな」

これも見た目だけではなく味も良いはずだ!とローリィは笑顔で言う。
その言葉に、セバスチャンは一瞬迷い、そしてその迷いをローリィに見透かされた。

「なんだ、なんだぁ?もしかしてお前、『これは彼女が自分のために作ってきてくれたものだから、誰にも渡したくない』とか思ってんのか?」

「いえ…ですが、私のために作って下さったものを他の方に差し上げるのは最上様に失礼かと」

「ふぅ~ん?まぁ、そういうことにしといてやる!」

にまぁっと人の神経を逆なでする笑みを浮かべると、「まさかお前まで最上くんに、なぁ…」と意味深なセリフを残してその場から立ち去った。
セバスチャンは美味しそうな料理とゼリーを無表情で見た後、少しだけ微笑んでランチボックスの蓋を閉め、ローリィの後を追ったのであった。





追記:3/9



~ IF 蓮たちがその様子を見ていたら ~



「れ、蓮…?蓮さぁん?」

「…………なんですか、社さん?」

にっこりと笑顔で社に返答する蓮。
しかし、社にはわかっていた。
「こいつ、今顔を作ったぞ!」と。
それでもって、その作った笑顔でさえ完璧に感情を隠し切れていないことに。

「あ、あのさ、キョーコちゃんに他意はないと思うぞ?」

「わかってますよ?何を話していたかは聞こえませんでしたが、最上さんのことですからきっと何かのお礼でしょう」

「わ、わかってるんならいいんだ!」

わかっているならその顔やめろ!と言いたかったが、恐ろしくて頷くことしかできない社。
そんな社を見て、怖がらせてしまったようだ…と蓮は気持ちを宥めた。

「…すみません。少し、感情的になっていたようです」

「いや、いつもの蓮に戻ってくれてよかった…」

普段と同じ表情に戻り謝った蓮に、社はほっとする。

「きっと、この前のハッピーグレイトフルパーティーのお礼じゃないかな?社長がパトロンだったし、何か手伝ってもらったんじゃないか?」

「恐らくそうでしょうね。他に、社長の秘書と関わるようなことってないでしょうし」

「うんうん、だよな。しっかし…驚いたよな~。あの満更でもない感じ」

どうしていいかわからなくてフリーズするなんて蓮にそっくりだ!と言ったところで、社は自分が地雷を踏んだことに気がついた。
何故なら、『闇の国の蓮さん』が出現していたから。

「社さん」

「は、はいぃぃぃぃぃいいいいいい!!!」

「その話はしないでもらえますか?」

「い、イエッサー!!!!!」

思わず敬礼した社に「わかればいいんです」といつもの表情に戻る蓮。
寿命が3年くらい縮まった…と思いながら胸を押さえた社はちらりと先程キョーコやセバスチャン(仮)がいたところを見ている蓮を見る。
ライバル(??)の出現にそんな表情をするくらいならさっさと告白すればいいのに…
そう言ったところで蓮は恋心を否定した上で拒否するだろう。
自覚しているくせに行動に移さない蓮にやきもきしている社としては、さっさと告白してくっついて、その理不尽な嫉妬をどうにかしてほしいのだが、どうやらまだまだ時間がかかりそうだ。

「薔薇に石を仕込んだりしてるくせに…」

「社さん、何か言いました?」

「いーや?何も言ってないぞ。それより、蓮。そろそろ移動しないと次の現場に間に合わなくなるぞ?」

「そうですね。移動しましょうか」

頷き、歩き出す蓮の後に続く社。
駐車場に向かいながら、ちらっと先程キョーコたちがいたところを見る。

「ライバルに、ならなきゃいいなぁ…」

「社さん?」

「あ、悪い悪い!」

いつの間にか距離ができていることに気付いた蓮が先で待っていることに気付いた社は慌てて歩き出す。
どうかキョーコをめぐる争いが起きませんように…と願いながら。

その願いが叶わないことはわかっていたけど。





某サイト様の影響でセバキョが書きたくて書きたくて…思わず書いてしまいました☆(某サイト様ってひとつしかないからすぐわかると思いますが…/苦笑)
当初、蓮たちは出すつもりはなかったのですが、「もしこの場面を蓮たちが見てたらどうなるんだろう…?」とか思って、思わず追記してしまいました。
私は結構マイナーCPも好きなので、セバキョとか社キョとか光キョとかも好きです。
キョーコちゃん至上なので!!
蓮も好きなんですけどねぇ…不憫で振り回されてる蓮が可愛いなぁとか思ってしまう人間なので!(ぉい
そのうち思いつけば他CPも書きたいです。

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