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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「ルーク様!」
カイルがコーラル城につくと、ルークは既に入口に立っていた。
「ご無事ですか?お怪我は?『死神ディスト』はどこに?」
「カイル、落ち着け。俺は無事だ、怪我も何にもない。ディストは健康診断みたいな事して帰った」
「…健康診断?」
思いにもよらない内容にカイルは復唱する。
そんなカイルにルークは苦笑した。
「教団員のせいで超振動が起こったろ?それに襲われたタルタロスに乗ってたからさ、その影響や怪我がないか詫びとして診察してくれたんだ。連れ出し方はまぁ誤解を招くようなやり方だったけどさ、良い奴だったし怒るなよ?」
「そう、だったんですか…神託の盾にもマシなのがいたんですね。事前に一言でも言ってくれれば…」
「六神将だから信用してくれないと思ったらしい」
「まぁ、確かにそう申し出があっても拒否したでしょうね」
頷くカイルの様子から見て、結構好印象を得たらしい。
あんな掠い方をしたのにこの様子…余程神託の盾に悪印象を持っていたのだろう。
そのせいで基準が狂ってしまったようだ。
「しかし、私めの不注意のせいで掠われてしまい申し訳ありませんでした。覚悟はできております」
「いや、必要ない。今回の事は俺から父上に取り計らうよう頼んでみる。掠われた理由が理由だしな。だから、これからも仕えてくれないかな?お前の事、頼りにしてるし、いなくなると寂しい」
「るっルーク様っ!」
カイルはルークの言葉に感動して跪ずき、頭を垂れた。
「このカイル、この命が絶えるその時まで一生ルーク様に尽し、守る事を誓います」
「カイル?!顔上げろよ、大袈裟な奴だな。俺にそんな価値ないって…俺は……」
「ルーク様?」
辛そうに言い澱むルークをカイルは心配そうに見上げる。
「ルーク様…?」
「カイル…もし俺が本物の『ルーク』じゃなくても…いや、何でもない。忘れてくれ」
悲しそうに笑うルークにカイルは胸が痛くなった。
ルークは時々、寂しそうな悲しそうな顔で笑う。
記憶が戻らないから辛いのだろうと他の者たちは推測していたが、カイルは何故かそうは思わなかった。
どこか自嘲を含んだこの笑みは何かを諦めている笑顔だ。
そう思ったのだ。
「もう、行こうか。心配してるかもしれないし」
歩き出そうとするルークの手をカイルは反射的に握った。
「え?」
「ぁ…」
許可なく主に触れるなど…と言っている自分がこんな行動をとった事に驚きつつ、無礼だとわかっていても手を放さなかった。
今放したらどこかに消えてしまいそうで…
「私は…」
「カイル?」
いつもと様子が違うカイルに戸惑いつつも今だ膝をついているカイルの顔を覗き込む。
「どうした?」
「私は…例え貴方が本物の『ルーク』様でなくとも、私が忠誠を誓うのは今、目の前にいる貴方だけです。どんな事があろうと私の主は貴方だけです」
カイルの言葉にルークは驚き、目を見開いた。
そして心底嬉しそうに破顔し、「ありがとう」と呟いた。
「お前には救われるよ…(今も"昔"も)」
「ルーク様?」
「いや、何でもないんだ。行こう、カイル。鳩を出したらゆっくり休んで、明日は亡くなったマルクト兵に祈りを捧げさせてもらおうぜ?」
「えぇ、そうですね。では参りましょう」
カイルは立ち上がると乗ってきた馬に近付き、「お手をどうぞ」と言ってルークを落ちないように乗せる。
「お前は乗らないのか?」
「主と相乗りなどできません」
「って事は手綱引いてく事になるだろ?そうすると着くの遅くなるしさ、俺は気にしないからカイツールの近くまで一緒に乗ろうぜ?近くまで来たら降りれば問題ねぇだろ?」
にこにこと笑いながら言うルークにカイルは断るすべを持たない。
ルークに悲しむような顔をさせたくないし、確かに手綱を引いて歩けば着くのがかなり遅くなる。
それに結局、カイルはルークに甘いのだ。
「…承知しました。できれば少し前にズレていただけますか?」
ルークは頷いてゆっくり前に移動する。
カイルは慣れたようにルークの後ろに飛び乗ると、ルークを抱きしめるような形で手綱を取った。
「ご不快でしたら申し訳ありません」
「そんな事ねぇよ。カイルの腕の中、暖かいし、安心する」
ルークはカイルの胸に寄り掛かるように背中を倒すと、ゆっくり目を閉じた。
目を閉じたせいで音が鮮明になり、カイルの心音が聞こえる。
「(少し速いような気がする…けど、落ち着く…)」
安心して身体を任せるルークとの密着度にカイルは赤くなる。
触れているところから熱くなっていくような気がした。
「(無条件の信頼は嬉しいですが、無防備過ぎますよ…私の気も知らないで)」
警戒されたいわけではないが、もう少し自分の魅力に気付いてほしい…とカイルは嘆息した。
きっとそんな日は来ないだろうとわかっていつつもそう思わずにはいられなかった。



---あとがき---------------------------
今のとこカイル→ルーク状態です
ジェイドは今回…どうだろ?惚れるかなぁ??
でも、ルークに「感謝してるよ」って言われたら気になり出しそうだよね~

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無題
やだ…なにこれニヤニヤする…
たま 2011/07/28(Thu)03:12: 編集
Re:無題
ありがとうございます!

この話は、ラストは決まってるんですけど、過程が…(汗
カイルのキャラを忘れる前に書きたいとは思っています!
【2011/09/30 12:37】
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