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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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おちてしまった…
ダメなのに…まだ早いのに…

貴方が好きだと気付いてしまった……

 

「社さん!」

事務所で社の後ろ姿を見つけ、思わず声をかける。
その後、きょろきょろと周りを見回した。

「やぁ、キョーコちゃん。奇遇だね!もしかして、蓮に用?蓮なら駐車場で待って…」

「いえ、違います。社さんに用があったんです」

「俺に?」

残念そうに肩を落とす社にキョーコは「もしかして、ご都合悪いですか?」と尋ねる。
その言葉に失礼な態度だったと気付いた社はぶんぶんと首を振った。
社としては蓮目当てでないことが残念だったのだが、今の態度は誤解されかねない。

「いや、大丈夫だよ!あと、そうだな…10分くらいなら」

「でしたら、お手数ですがラブミー部の部室までお越しいただけませんか?」

「えっと、ここじゃ話せない内容?」

「はい」

しっかり頷いたキョーコに社は「わかったよ」と笑顔で承諾する。
用件が何であれ、キョーコの情報はあればあるだけ良い。
その場所からそう遠くなかった部室まで二人で向かう。
キョーコが先に入り、その後に社が入ると、キョーコはカシャンと鍵を閉めた。

「え…?」

「誰にも聞かれたくありませんので、念のために」

「そうなの?でもさ、男と二人でいる時に不用心に鍵を閉めたりしない方が良いよ?」

「わかってます。でも、すぐ、済みますので…」

どこか様子がおかしいキョーコに社はそれ以上は何も言わず、頷いた。
それを確認したキョーコはまっすぐ社の目を見つめると意外なお願いをした。

「今決まっている範囲でいいので、敦賀さんのスケジュールを教えていただけませんか?」

「え?」

そんなこと?と拍子抜けした社は、目を瞬きさせる。
今までにも何度か教えたことがあるため抵抗感はないが、しかし、マネージャーとして理由もなく教えるわけにもいかず理由と尋ねる。

「ダメじゃないけど、何で?」

「…言わなければいけませんか?」

「そりゃね。俺は蓮のマネージャーだし。キョーコちゃんが蓮のスケジュールを悪用するとは思わないけど、マネージャーとしてそこはきっちりしないといけないからね」

「そうですよね…」

「…キョーコちゃん?」

やはり、様子がおかしい。
今までなら、スケジュールを知りたい理由をあっさり教えてくれたのに。
ここまで躊躇う理由は何だ?

社は俯くキョーコを不審げに見遣る。
言えない理由が「悪用するから」とか、そんな理由ではないとわかっている。
まだ1年の付き合いしかないが、キョーコの本質はわかっているつもりだ。
だから、何か変なことに巻き込まれているのではないかと心配なのだ。

「キョーコちゃん…何でか、“言えない”?それとも“言いたくない”?」

「…“言いたくない”、ですね。でも、そういうわけにはいきませんよね」

わかってます、と頷くキョーコ。
そして、顔をあげると真剣な表情で社を見た。

「私、敦賀さんが好きなんです」

「え?!」

まさかの告白に社は驚く。
今までそんな素振りは…あったような、なかったような…

「えっと、じゃあ蓮に告白したいから、空きの時間が知りたいの?」

そういうことならお任せ!とキラキラした目で見つめてくる社にキョーコは苦笑すると首を横に振った。

「告白する気はないんです」

「えぇ?!何で?」

蓮からのアクションは期待できないとここ半年ほどで学んだ社は、キョーコからのアクションに期待したためズガンと落ち込む。
せっかく両思いなのに、もったいない…
そう思っても仕方ないだろう。
どうにか気を変えることはできないかと社はキョーコを見る。

「キョーコちゃんからの告白なら絶対あいつ喜ぶよ?あいつ、キョーコちゃんのこと大好きだし!」

フライングだとは思ったが、そう伝えると、キョーコは目を瞬かせた後再び苦笑した。

「後輩として、ですよね?」

「そうじゃなくって…」

「仮に!…仮に、敦賀さんが私をそういう意味で好きだと言ってくださっても、私は応えたくないんです」

「応えたく、ない?」

眉を寄せる社に頷くキョーコ。

「敦賀さんのことは好きです。恋愛感情で好きなんです。でも、ダメなんです」

「ダメって何が?」

「私、一つのことに夢中になると、他のことが見えなくなる性質なんです。大好きな演技のことだって、きっと霞んでしまう…それが嫌なんです。私はまだ“最上キョーコ”を作っている途中なのに、敦賀さんを好きでいるとそれが壊れてしまう。“私”を捨てて、敦賀さんだけを求めてしまう。今持っている全てを捨てて追いかけてしまう…。私は演技者でいたいんです。芸能界[ここ]で“私”を作りたいんです」

「キョーコちゃん…」

「だから、敦賀さんがどんな答えを出そうと私には関係ないんですよ」

「関係ないなんてっ」

「関係ないんです。敦賀さんが誰を好きであろうと私は敦賀さんが好きで、そして私を壊してしまえる敦賀さんが恐い」

泣きだしそうな表情でそういうキョーコに社は何も言えなかった。
「そんなことはない、キョーコちゃんなら大丈夫だよ!」と言いたかったけど、根拠のない励ましなんて求めてないとわかってしまったから…
本音を話してくれているキョーコに上辺だけの言葉なんてかけたくなかったのだ。

「だから、閉じ込めておくんです。まだ私には早い…復讐も自分探しも何も達成してない私には恋はまだ早いんです。恋愛への恐怖も残ってる今、敦賀さんを好きでいることは恐怖でしかないんです。私にはまだ時間が…自分を作る時間が、心を癒す時間が、広い視野を育てる時間が必要なんです」

「キョーコちゃん…」

「だから社さん。お願いです。敦賀さんを避けるためにスケジュールを教えてください。少しでも私に情があるなら…“京子”を惜しんでくれるなら…敦賀さんと会わないようにさせてください」

深々と頭を下げるキョーコに社は複雑そうに顔を歪めた。
キョーコのお願いは聞いてあげたい。
情なんて…あるに決まってる。
“京子”のこれからにだって期待してる。
だけど、蓮のことを考えると……

「………ねぇ、キョーコちゃん」

「…はい」

「蓮にも話していい?君が蓮に会いたくない理由を。そうじゃなきゃ、あいつが納得しない」

「……社さんが必要だとおっしゃるなら、構いません。敦賀さんからしたら、誰かから好かれるなんて日常茶飯事ですし、そんなことで演技者として揺らいでいる私なんて馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれませんけど、理由なく後輩から避けられるなんて不快に思われるでしょうし…」

「きょ、キョーコちゃん!別に蓮は馬鹿馬鹿しいなんて…」

「いえ、きっと思います。『君は学習能力がないのか。恋なんてしないなんて言っていたのにした上、相手が俺?身分不相応はなはだしいよ。しかも、演技に影響を出すなんて役者失格だね』と言う敦賀さんが目に浮かびます」

「………」

本当にこの子は蓮が好きなのか?
そんな鬼のようなイメージなのに…

思わずそう思ってしまう社。
否定するのも忘れるほど、キョーコの中の蓮像が酷い。
「お前、まだこんな印象なのかっ」と泣きたくなってしまうほどだ。

「…蓮はそんなこと言わないよ?」

「社さんは優しいですね」

「………」

泣きたい…泣いてしまいたい。
ごめんよ、蓮!
俺にはキョーコちゃんの思い込みを正すことはできないよ!!
自分でどうにかしてくれ!

「社さん?」

「…いや、なんでもない」

心の中で泣いている社を不思議そうに見るキョーコに、社は表情を取り繕ってなんでもないのだと伝える。

「わかった…後で蓮のスケジュールをメールで送るよ。代わりに、理由を蓮に話すからね?」

「はい。よろしくお願いします」

キョーコはもう一度深く深く頭を下げた。
社はそれを悲痛な目を見つめながら「わかった」としっかり頷いた。











続く…はず。
まだ後編書き終わってないデス(汗

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