本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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※性的表現は多少ございますので、ご注意ください
「お呼びたてしてしまい、誠に申し訳ありません」
「いや…こちらこそ、時間を作ってくれてありがとう。俺も君と話がしたかったんだ」
次の日の夜10時。
事務所には早めに来ていたけど、勇気が持てなくて、10時きっかりにラブミー部の部室のドアを叩いた。
中には既に彼女が来ていて、入室を促す。
いつもなら喜々として開けるドアが異様に重い気がした。
中に入ると席をすすめられ、鈍い動きで座る。
ここまで来て彼女の反応を恐がる俺は臆病で、そんな自分が情けなかった。
「単刀直入にお尋ねします。私はあの行為を貴方がおっしゃった『考えなしに男性の部屋を訪ねて、演技のためとはいえ二人きりの空間で男を誘惑するような真似をしたお仕置き』と、何でもかんでも自分に頼るなという意味、そして容易に自分に近づくなという意味で捉えましたが、敦賀さんはどういった意図を持ってあの行為に及んだのですか?」
率直に訊かれ、蓮は固まる。
キョーコのことだからやんわりとオブラートに包んで訊いてくるものだと思っていた。
しかし、考えてみればわかることで、素直で正直なキョーコが敬意を持てぬ男に対して遠回しな表現を使うなんてないだろう。
そして、この問いに言葉を濁した返答なんて彼女は許してくれない。
それこそ、「こっちは真剣なのに言葉を濁すなんて最低!」と軽蔑しかねない。
「…『お仕置き』という言葉も嘘ではなかったよ。あんな夜遅くに一人暮らしの男のところに来る無防備さに苛立ちを感じたのは本当だ」
男として見られてない…わかってはいても、そのことに傷付いて、俺の気持ちも知らずに無防備でいる彼女に苛立ちを感じた。
そして、不安になった。
こんな風に他の男のもとにも行ったりするのではないかと…
夜遅くに訪ねていって、食事をして、笑顔で会話をして、そして……
そう考えたら止まらなかった。
「だけど、それだけであんなことはしない。頼るなとか、近づくなとか、そんな意味合いはなかった。むしろ、もっと頼ってほしいし、近くにいてほしい。それは俺が、君を……」
ーーー好きだから
言った。
ようやく、言えた。
『お仕置き』なんて言葉を使って、彼女も自分も誤魔化して、彼女に触れた。
たった一言、『好き』と言えなくて、遠回りをした…
素直に言えば、きっと彼女は何がなんでも逃げ出しただろうけど、こんな風に尊敬すら失うようなことにはならなかっただろう。
『大切な人はつくれない』
そう自分に枷をしていたけれど、彼女を特別視した時点でその誓いは意味のないものだったのに、認めたくなくて足掻いて…結果、彼女を傷付けた。
『恋はしない』
そうは言っていても、だからといって誰に抱かれてもいいなんて、そんなこと思ってるはずもない彼女の“初めて”を奪って、罪悪感を抱きつつも、どこかで満足していた。
そんな醜悪な俺が確かに存在した。
そんな俺が今更『好きだから抱いた』なんて言っても、彼女は信じてくれないだろう。
きっとこの後、「正直におっしゃって下さい。君の身体で性欲処理させてもらったよ、と。今更取り繕わなくても結構です」とか言うに決まってる。
そう言われたら、俺はなんて言えばいいんだろう…?
「好きだから…ですか。本当に?」
考えていたような酷い言葉ではなく確認で、俺は少し拍子抜けしながらしっかり頷いた。
「…信じてもらえないと思うけど、本当なんだ。君が好きで好きでたまらなくて…演技で誘惑されて、男として見られてないって、そう思ったら君を押し倒していた。男として見られてないのなら、男と見られるようにしてやるって…『お仕置き』なんて殆ど建前で、ただ、君に触れたかっただけなんだ」
戸惑い、抵抗する彼女を押さえ込んで、「“ナツ”ならこんなことで動揺しないんじゃないかな」なんて言って挑発して、柔らかなその肢体に触れた。
役者意識の高い彼女はそう言われたら抵抗できないだろうって、彼女の演技に対する気持ちを利用した俺は卑怯で最低な男だ。
そうわかっていても、触れたかった。
彼女を俺のモノにしたかった。
だから、“ナツ”の余裕のある態度とはうらはらに、縋るような視線を送る彼女の心を裏切って、彼女を貫いた。
思うがままに揺さぶって、「ごめんなさい、許して下さい…っ」と泣く彼女にキスをした。
君の身体を手に入れて、だけど、そのに心はない。
「好きだという気持ちが免罪符になるとは思わない。俺がしたことは間違いなく犯罪だ…訴えられても仕方ないことをした」
「…訴える気はありません。貴方という役者を失いたくありませんから」
「良かった…まだ、役者としての俺は君の中にいるんだね。軽蔑されて、役者の俺ごと抹消されたと思ってたから…」
まだ、残ってた。
プライベートの俺が消されても、役者の俺がまだ彼女の中に存在する…
そのことがたまらなく嬉しかった。
「ねぇ、最上さん」
「…はい」
「もし…もしも、許されるのなら、君に償いをしたい。どんなことだってやる。甘い考えだと自分でも思う…だけど、俺にはこれくらいしか思いつかないんだ…。役者の俺しか見たくないなら、ずっと“敦賀蓮”でいる。土下座をしろって言うならいくらでもするし、顔も見たくないのなら可能な限り君の視界に入らないようにする。だから、お願いだっ!君の中から俺を消さないで!そして、想うことだけは許してほしい。君がいなければ、俺は立つことすらできないんだ…」
立つこと、どころか生きていけない。
だけど、そんな風に言ったら、優しい彼女は嫌でも拒否できないだろう。
そんな脅迫みたいな真似はしたくない。
立つことすらできない、くらいなら大袈裟に言ったのだと思うだろう。
「償いなんて、私、望んでいません」
「でも…っ」
「…ずっと、悲しかった。こんな行動にでるくらい、迷惑に思われていたんだって。迷惑だから、鬱陶しいから…そんな理由で女性を抱けるんだって。ですから、そうじゃないのなら、いいんです」
「最上さん…」
「好きだと思って下さっていた貴方を傷付けて、あんな行動を取らせたのは私です。貴方だけが悪いんじゃない」
正直、驚いた。
好きだと言っても「嘘です」って言われると思っていたし、「顔も見たくない」と言われても仕方ないことをした。
なのに、君は俺を許してくれるんだね…
「ありがとう…できれば、想うことも許してくれる?」
「…貴方に想われるような大層な人間ではありませんが、貴方がそうしたいのでしたら…」
「ありがとう、最上さん」
嬉しくて思わず破顔する。
そのことに目を丸くした彼女は、少しだけ頬を赤く染めて微笑んだ。
「いつか…」
「え?」
「いつか、私が恋を…愛を肯定できるようになって、必要だと思える日が来たら…その時に答えを出してもいいですか?それまでに心変わりをしていらっしゃるかもしれませんけど、初めて愛を告げて下さった方だから…最初に敦賀さんに伝えたい」
優しすぎるよ、キョーコちゃん…
俺は君に許されないような酷いコトをしたのに、そんな言葉をくれるなんて…
図に乗ってしまいそうだよ。
「待ってるよ。ずっと、待ってる。その時の答えがどうであれ、君が大切な感情を取り戻す日を待ってるよ。…それからね、心変わりなんて絶対にありえないから。それだけは信じて」
「え?でも…」
「言ったら呆れられるかもしれないけど、君が初恋なんだ。君に会うまで、こんなに心揺さぶられることなんてなかった。…さっき言っただろ?君がいなきゃ立てないって。そんな風に思える相手がそうそう現れるわけないじゃないか」
この歳で初恋なんて嘘だと思われるかもしれないけど、本当だよ?
過去、付き合った子たちには悪いけど、こんなにも激しい感情を抱いたことなんてないし、君といるだけで新しい自分を発見できるんだ。
演技以外にこんなに執着したのだって初めてだし、独占欲を抱いたのも愛しく思ったのも初めてだし、素でテンパったのも初めての体験だった。
君だけなんだよ。
それ以外何もいらないから、欲しいと思える存在なんて…
「だからね」
ーーー待ってるよ、いつまでも
++++++++
暴走ヘタ蓮でした。
本当は押し倒しただけにしようと思ってたんですよ。
キョーコちゃんはそれだけで逃げ回るでしょうし、蓮も「あの天然純情娘にあんなことをしたら逃げられるに決まってるじゃないか」みたいな感じでしょうから。
でも、コミック呼んでてバレンタインのショーのキスのとこ見て、イラっ☆としたので、ついつい指が勝手に…
「お呼びたてしてしまい、誠に申し訳ありません」
「いや…こちらこそ、時間を作ってくれてありがとう。俺も君と話がしたかったんだ」
次の日の夜10時。
事務所には早めに来ていたけど、勇気が持てなくて、10時きっかりにラブミー部の部室のドアを叩いた。
中には既に彼女が来ていて、入室を促す。
いつもなら喜々として開けるドアが異様に重い気がした。
中に入ると席をすすめられ、鈍い動きで座る。
ここまで来て彼女の反応を恐がる俺は臆病で、そんな自分が情けなかった。
「単刀直入にお尋ねします。私はあの行為を貴方がおっしゃった『考えなしに男性の部屋を訪ねて、演技のためとはいえ二人きりの空間で男を誘惑するような真似をしたお仕置き』と、何でもかんでも自分に頼るなという意味、そして容易に自分に近づくなという意味で捉えましたが、敦賀さんはどういった意図を持ってあの行為に及んだのですか?」
率直に訊かれ、蓮は固まる。
キョーコのことだからやんわりとオブラートに包んで訊いてくるものだと思っていた。
しかし、考えてみればわかることで、素直で正直なキョーコが敬意を持てぬ男に対して遠回しな表現を使うなんてないだろう。
そして、この問いに言葉を濁した返答なんて彼女は許してくれない。
それこそ、「こっちは真剣なのに言葉を濁すなんて最低!」と軽蔑しかねない。
「…『お仕置き』という言葉も嘘ではなかったよ。あんな夜遅くに一人暮らしの男のところに来る無防備さに苛立ちを感じたのは本当だ」
男として見られてない…わかってはいても、そのことに傷付いて、俺の気持ちも知らずに無防備でいる彼女に苛立ちを感じた。
そして、不安になった。
こんな風に他の男のもとにも行ったりするのではないかと…
夜遅くに訪ねていって、食事をして、笑顔で会話をして、そして……
そう考えたら止まらなかった。
「だけど、それだけであんなことはしない。頼るなとか、近づくなとか、そんな意味合いはなかった。むしろ、もっと頼ってほしいし、近くにいてほしい。それは俺が、君を……」
ーーー好きだから
言った。
ようやく、言えた。
『お仕置き』なんて言葉を使って、彼女も自分も誤魔化して、彼女に触れた。
たった一言、『好き』と言えなくて、遠回りをした…
素直に言えば、きっと彼女は何がなんでも逃げ出しただろうけど、こんな風に尊敬すら失うようなことにはならなかっただろう。
『大切な人はつくれない』
そう自分に枷をしていたけれど、彼女を特別視した時点でその誓いは意味のないものだったのに、認めたくなくて足掻いて…結果、彼女を傷付けた。
『恋はしない』
そうは言っていても、だからといって誰に抱かれてもいいなんて、そんなこと思ってるはずもない彼女の“初めて”を奪って、罪悪感を抱きつつも、どこかで満足していた。
そんな醜悪な俺が確かに存在した。
そんな俺が今更『好きだから抱いた』なんて言っても、彼女は信じてくれないだろう。
きっとこの後、「正直におっしゃって下さい。君の身体で性欲処理させてもらったよ、と。今更取り繕わなくても結構です」とか言うに決まってる。
そう言われたら、俺はなんて言えばいいんだろう…?
「好きだから…ですか。本当に?」
考えていたような酷い言葉ではなく確認で、俺は少し拍子抜けしながらしっかり頷いた。
「…信じてもらえないと思うけど、本当なんだ。君が好きで好きでたまらなくて…演技で誘惑されて、男として見られてないって、そう思ったら君を押し倒していた。男として見られてないのなら、男と見られるようにしてやるって…『お仕置き』なんて殆ど建前で、ただ、君に触れたかっただけなんだ」
戸惑い、抵抗する彼女を押さえ込んで、「“ナツ”ならこんなことで動揺しないんじゃないかな」なんて言って挑発して、柔らかなその肢体に触れた。
役者意識の高い彼女はそう言われたら抵抗できないだろうって、彼女の演技に対する気持ちを利用した俺は卑怯で最低な男だ。
そうわかっていても、触れたかった。
彼女を俺のモノにしたかった。
だから、“ナツ”の余裕のある態度とはうらはらに、縋るような視線を送る彼女の心を裏切って、彼女を貫いた。
思うがままに揺さぶって、「ごめんなさい、許して下さい…っ」と泣く彼女にキスをした。
君の身体を手に入れて、だけど、そのに心はない。
「好きだという気持ちが免罪符になるとは思わない。俺がしたことは間違いなく犯罪だ…訴えられても仕方ないことをした」
「…訴える気はありません。貴方という役者を失いたくありませんから」
「良かった…まだ、役者としての俺は君の中にいるんだね。軽蔑されて、役者の俺ごと抹消されたと思ってたから…」
まだ、残ってた。
プライベートの俺が消されても、役者の俺がまだ彼女の中に存在する…
そのことがたまらなく嬉しかった。
「ねぇ、最上さん」
「…はい」
「もし…もしも、許されるのなら、君に償いをしたい。どんなことだってやる。甘い考えだと自分でも思う…だけど、俺にはこれくらいしか思いつかないんだ…。役者の俺しか見たくないなら、ずっと“敦賀蓮”でいる。土下座をしろって言うならいくらでもするし、顔も見たくないのなら可能な限り君の視界に入らないようにする。だから、お願いだっ!君の中から俺を消さないで!そして、想うことだけは許してほしい。君がいなければ、俺は立つことすらできないんだ…」
立つこと、どころか生きていけない。
だけど、そんな風に言ったら、優しい彼女は嫌でも拒否できないだろう。
そんな脅迫みたいな真似はしたくない。
立つことすらできない、くらいなら大袈裟に言ったのだと思うだろう。
「償いなんて、私、望んでいません」
「でも…っ」
「…ずっと、悲しかった。こんな行動にでるくらい、迷惑に思われていたんだって。迷惑だから、鬱陶しいから…そんな理由で女性を抱けるんだって。ですから、そうじゃないのなら、いいんです」
「最上さん…」
「好きだと思って下さっていた貴方を傷付けて、あんな行動を取らせたのは私です。貴方だけが悪いんじゃない」
正直、驚いた。
好きだと言っても「嘘です」って言われると思っていたし、「顔も見たくない」と言われても仕方ないことをした。
なのに、君は俺を許してくれるんだね…
「ありがとう…できれば、想うことも許してくれる?」
「…貴方に想われるような大層な人間ではありませんが、貴方がそうしたいのでしたら…」
「ありがとう、最上さん」
嬉しくて思わず破顔する。
そのことに目を丸くした彼女は、少しだけ頬を赤く染めて微笑んだ。
「いつか…」
「え?」
「いつか、私が恋を…愛を肯定できるようになって、必要だと思える日が来たら…その時に答えを出してもいいですか?それまでに心変わりをしていらっしゃるかもしれませんけど、初めて愛を告げて下さった方だから…最初に敦賀さんに伝えたい」
優しすぎるよ、キョーコちゃん…
俺は君に許されないような酷いコトをしたのに、そんな言葉をくれるなんて…
図に乗ってしまいそうだよ。
「待ってるよ。ずっと、待ってる。その時の答えがどうであれ、君が大切な感情を取り戻す日を待ってるよ。…それからね、心変わりなんて絶対にありえないから。それだけは信じて」
「え?でも…」
「言ったら呆れられるかもしれないけど、君が初恋なんだ。君に会うまで、こんなに心揺さぶられることなんてなかった。…さっき言っただろ?君がいなきゃ立てないって。そんな風に思える相手がそうそう現れるわけないじゃないか」
この歳で初恋なんて嘘だと思われるかもしれないけど、本当だよ?
過去、付き合った子たちには悪いけど、こんなにも激しい感情を抱いたことなんてないし、君といるだけで新しい自分を発見できるんだ。
演技以外にこんなに執着したのだって初めてだし、独占欲を抱いたのも愛しく思ったのも初めてだし、素でテンパったのも初めての体験だった。
君だけなんだよ。
それ以外何もいらないから、欲しいと思える存在なんて…
「だからね」
ーーー待ってるよ、いつまでも
++++++++
暴走ヘタ蓮でした。
本当は押し倒しただけにしようと思ってたんですよ。
キョーコちゃんはそれだけで逃げ回るでしょうし、蓮も「あの天然純情娘にあんなことをしたら逃げられるに決まってるじゃないか」みたいな感じでしょうから。
でも、コミック呼んでてバレンタインのショーのキスのとこ見て、イラっ☆としたので、ついつい指が勝手に…
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