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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「ねぇねぇ、京子ちゃんは好きな人とかいないの?」

「えっ?!」

共演している女性たちと他愛ない話をしていた時。
必然的に恋ばなになり、皆好きな人や好きなタイプを言い合っていた。
もちろん一番多かったのはキョーコの尊敬する先輩である蓮で、「遊びでいいから付き合いたい」と冗談と本気が入り交じった意見がちらほら。
流石は敦賀さんよね…としみじみ思っていた時、話に夢中だった女性の一人が聞くだけで話に加わっていないキョーコに話を振ったのだ。

「あ、わたしも気になる~。京子ちゃんって好きな人いないの?」

「やっぱり敦賀さんとか?仲良いって聞くし」

「やぁん、ずる~い!あたしも敦賀さんと仲良くなりたぁい」

「あ!それとも尚とか?」

「レイノくんとも仲が怪しいって聞いたことあるわよ?」

「誰が本命なの?」

そう言って殆どの女性に詰め寄られたキョーコは顔を引き攣らせ、後ずさった。
誰かをそういう意味で好きになるなんて、そんな馬鹿女に成り下がるつもりは二度とないし、崇拝する蓮をそういう意味で好きだなんて恐れ多い。
尚とレイノは問題外で、寧ろ抹消したい男たちである。
しかし、キョーコと彼らとの間にある因縁を知らない共演者たちは一般的にイイ男と称される男たちと仲の良いように見えるキョーコとの仲が気になるようで、吐くまで放さないとばかりの形相だ。
助けを求めてキョロキョロと周りを見回しても、目が合う前に逸らされ絶体絶命。
そんな中、現場に現れたある男性と目が合い、キョーコはぱぁっと明るくなった。

「社さん!」

「へ?」

現場に入るなり、名前を呼ばれた社は驚いて変な声を出す。
そんな社に気付いているのか、いないのか…キョーコは共演者たちに視線を戻すと、はっきり言った。

「わ、私、社さんみたいな人がタイプです!!」

こう言えば、この場を切り抜けるし、社なら後で事情を話せばいいやと清々しい笑顔を浮かべるキョーコとは逆に、おどろおどろしい雰囲気を隣から感じ取った社の顔は真っ青である。

「へぇ、京子さんって、社さんみたいな人がタイプなんだぁ」

「そういえば、よく話してるわよね」

キョーコの想い人が蓮じゃなかったことに安心したのか、共演者たちの雰囲気が柔らかくなる。
一部、社狙いだった女性の雰囲気は逆にきつくなったが、蓮派や尚派に比べれば少数派だったので、キョーコは気にしないことにした。

一方、解放されたキョーコとは逆に絶体絶命のピンチに陥った社は恐る恐る隣の男の顔色を窺う。
すると、その男――蓮は社の視線に気付き、キュラキュラとした笑みを浮かべた。

「ん?どうしたんですか、社さん?」

「(目!目が笑ってないから!!)」

蓮の機嫌に敏感なキョーコも蓮の機嫌が急激に落ち込んだことに気が付き、「社さん、何か地雷を踏んだのかしら?」と他人事のように考える。
自分の発言のせいだとは微塵も気付いていない。

「……まさか、最上さんの好きな男性のタイプが社さんだったとは…」

「蓮!あれはたまたま俺と目が合ったからであってだな…」

「だったら、隣にいる俺だっていいじゃないですか」

そんなことを言う蓮を呆れたように見る社。
仮に蓮がタイプでも、それを口に出すような自殺行為をキョーコがするはずがないし、自分が女でもしない。
関わりが薄い人間が何を言おうと彼女たちは気にしないだろうが、キョーコのように交流のある人間が言えば、たちまち周りは敵ばかりになるだろう。
そんなことも理解できないのかとじと目で見ると、そういう訳ではなかったらしく、拗ねたようにそっぽを向いた。
八つ当たりの自覚はあったらしい。

「お前なぁ……」

「…すみません」

「まぁ、いいけどさ。好きな子に他の人がタイプだって言われたら、誰だってショックだろうし」

何より、完璧人間で「お前、ホントに20歳の若造か?!」と言いたくなるような態度だった以前より、今のように感情を外に出して年相応の態度を取る蓮の方が社的には好ましい。
マネージャーとしてなら、以前の手がかからない『敦賀蓮』の方が良いだろうが、当たり障りのない態度を取り、浅い人付き合いしかできなかった以前より、キョーコと出会った後の方が輝いてみえるから、社はマネージャーとしてあるまじきことだが、キョーコへの片思いを応援している。

によによと含み笑いを零す社に、蓮は嫌そうにそっぽを向く。
それを見たキョーコは、「機嫌は戻ったみたいだけど…?」と首を傾げた。

「ねぇねぇ、京子ちゃん」

「ふへ?あ、はい」

「社さんに告白とかしないの?仲良いし、いけるんじゃない?」

「そんな、滅相もない!良くしてもらってますけど、そういうのじゃなくて妹みたいに可愛がってもらってるって感じですし」

私も兄みたいに慕ってるだけで、本当はタイプってわけじゃ…ってか、タイプなんてないわよ。私は恋なんてしないもの!
と、キョーコは内心呟く。
しかし、社がタイプだと誤解している周囲は少しでも障害を排除したいのか、しきりに社との交際を奨めてきた。
タイプと言っただけで、実際に好きかどうかは言っていないのにだ。

「それなら、尚更告白すべきよ!」

「そうそう。告白されたら、社さんだって意識せざるをえないだろうし」

「京子ちゃんならいけるわよ!!」

何を根拠に……と思ったが、顔にも口にも出さない。
こういう展開になったら、何を言っても無駄だと知っているキョーコは、左右にいた女優に背中を押され、仕方なく社の前まで出向いた。

「社さん………」

「きょ、キョーコちゃん……」

キャーキャーと大きな声で騒いでいたから聞こえていたのだろう…狼狽している社に他人事のように同情したキョーコは、しかし、言わねば終わらないと口を開いた。

「好きです、社さん。よろしければ、付き合って下サイ」

役者にあるまじき棒読み、無表情、しかも最後の方はカタコト。
更に、死んだ魚の目みたいな目で言われては、キョーコの本意ではないことがありありとわかる。
蓮が恐い社としては助かるのだが、こうはっきりと「対象外です」みたいな言われ方をすると流石に悲しい。
だからと言って、演技力を駆使して告白されても困っただろうが。

「あー………ごめんね、キョーコちゃん。キョーコちゃんのことは妹のように可愛く思ってるけど…」

その返事を聞き、がっかりした者、喜んだ者、感謝した者、複雑な者に分かれた。
後者の2つは言わずともわかるだろうが、キョーコと蓮である。

「わかりました。はっきり言って下さってありがとうございます」

ぺこりと頭を下げると、キョーコはまた輪の中に入っていく。
戻ってきたキョーコに、大半は残念そうに肩を下げながらキョーコを慰め、社派の女性たちは残念そうな顔の裏に笑顔を隠してキョーコに労りの言葉をかけた。

そんな様子を複雑そうに見る二人。

「……ずるいです、社さん」

「ずるい?!待て、蓮。今の告白のどこがずるいんだ。全く心の篭らない棒読みの告白だぞ!」

こんな告白されたって虚しいだけだろ!と小声で叫ぶ社。
器用である。

「でも、『好き』って言ってもらえたじゃないですか…」

俺だって一度も言われたことないのに…
ムスッとしながらそう言う蓮に、社はあんな『好き』でもいいのか、お前…と呆れ返った。

「お前なぁ、目標はもっと高く持てよ。笑顔で『大好きです!』って言われるとか」

「……琴南さんにでもならない限り、無理な気がしますけど」

「うっ…」

「あとは妖精とか王子様とか。社さんは俺にお伽話の登場人物になれとでも?」

「それはだなぁ………」

言葉に詰まった社だが、ふと、ある人物を思い出して、ぼんっと手を叩いた。

「琴南さんや妖精や王子様でなくても、好かれてる人物、いるじゃないか!」

「え…?」

「クーだよ、クー。クー・ヒズリ!実際言ったかはわからないけどさ、あの懐きようにクー自慢の数々…あの様子なら、大好きって言うのも抵抗なさそうじゃないか?」

その言葉に蓮は目を見開き、次の瞬間、ブラックホールを作り出す。
一気に下がった温度に気付いたのは、やはりキョーコと社だけで、社は「地雷踏んだっ」と青ざめ、キョーコは「大魔王~っ」と怯えた。

「クー・ヒズリ、ね…」

蓮にとって…いや、久遠にとって、敬愛する父であり、越えるべき壁でもある男。
最近、ある意味キョーコが作ったとも言えるきっかけで和解したが、蟠りが消えたわけではない。
そんな微妙な関係であるクーの位置は、蓮の中で曖昧で、確立していない。
前回キョーコによるクー自慢をされた時は和解したばかりでクーを大好きだった久遠の気持ちが抜けていなかったため、笑顔で共感し、「本当に久遠の気持ちを掴んでるなぁ」と感心していられたが、あれから大分経った今、第三者から聞かされるともわもわと微妙な感情を抱かざるをえない。
もし、俺には好きといえないのに父さんには言えるのだとしたら、父さんに敵対心を持つかもしれないな…と、クーが聞いたらいじけて泣き出しそうな事を思いながら、蓮は固い表情で共演者たちと話しているキョーコを眺めた。

「お、おい………蓮さーん?」

「…どうしたんですか、社さん。いきなり"さん"付けで呼ぶなんて」

「あ、いや…あのだな…俺が言いたかったのは、お伽話の住人や琴南さんにならなくても、まだ希望はあると……」

「あぁ………そうなんですか。ありがとうございます」

どうやら、クーの名前を出したのは、短期間しか接してないのに懐かれたという蓮に対する厭味ではなく、励ましのつもりだったらしい。
社が蓮の心をえぐるような厭味を言うはずないのに、どうやら過剰反応し過ぎたようだ。

「すみませーん!準備お願いしまーす!」

蓮が自嘲しながら社に礼を言った瞬間、蓮たちが到着したことに気付いた監督がスタッフに指示を出し、そのスタッフが出演者たちに声をかける。
「今行きます」と座っていた椅子から立ち上がりセットに向かう役者たちと、次のシーンに必要ないため待機する役者たちに分かれる。
蓮は前者であり、持っていた荷物を社に託すと『敦賀蓮』の顔を瞬時に作ってセットに向かい、歩き出す。
そんな蓮を見送っていた社は、ふと次のシーンのやり取りを思い出し、ぐふふと笑った。

「蓮!」

「なんですか、社さん?」

「良かったな。次のシーン、キョーコちゃんからの告白シーンだろ?」

「………社さんはホント、俺の神経を逆なでするのが得意ですね」

「えぇ?!」

棒読み無表情の告白でも羨ましがる蓮だから、きっと喜ぶだろうなと思って言った言葉だったのに、そんな反応を返され、驚く社。
そんな社を一瞥して、蓮は再びセットに向かう。


――役への告白と自身への告白は違うんですよ…


特に、役になりきってどころか役として生きるキョーコのような役者なら尚更。
蓮は深く深く溜息を吐くと、今度こそ俳優『敦賀蓮』になって、セットの中で待つキョーコに微笑みかけた。




―――――――――――――――――――
何が書きたかったのか、途中でわからなくなった………orz

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