本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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カイツールに着くとグランツ謡将はカーティス大佐と話していた。
グランツ謡将の顔色は悪い。
おそらくタルタロス襲撃について尋問されているのだろう。
当たり前だ。
部下の不始末なのだ、責められない方がおかしい。
気配を感じたのか、ふとこちらを向いた。
ほんの一瞬、助かったとばかり顔を輝かせたが、私が斜め後ろに控えているのを見て、いつもルーク様に接する時のような表情になった。
「ルーク、無事だったか」
こいつもか!
ガイ・セシルといい、こいつといい…ルーク様と自分の身分を正確に把握してるか?
「はい。ご心配をおかけしました」
「いや、無事なら良いのだ。ディストにはしっかり言い聞かせておこう」
あくまでこんな公の場で師として振る舞う気か…
良いだろう
前々から言ってやりたかったのだ。
「…ルーク様。発言してもよろしいでしょうか?」
「ん?……良いよ、許す」
ルーク様はこちらを向いた時、一瞬だけ固まった。
おそらくまた無表情になっているのだろう。
以前、ルーク様が「お前ってキレると無表情になるから恐い」とおっしゃっていた。
それ以降、主の前でそんな失態は犯すまいと決めていたが、飛ばされてから失態が多くなっている気がする。
それもこれも非常識な輩が多いせいだ。
そのような馬鹿者はガイくらいだと思っていたから驚いた。
「ヴァン・グランツ。貴方、何様のつもりですか?」
「は?カイル殿、それはどういう…」
「皆まで言わないとわからないんですか?ガイ・セシルにも言いましたが、ここは外で屋敷の中ではありません。確かに貴方は私的な場ではルーク様の師であります。しかし、外では師弟である前にキムラスカ王族と神託の盾騎士団総長です。…ここまで言ってもわかりませんか?」
子供にでもわかるくらいかみ砕いて言ったつもりだ。
本当は屋敷でも最低限度の礼儀くらい弁えてほしいが、それは次に稽古に来る日でいいだろう。
ルーク様に馴れ馴れしいグランツ謡将は屋敷の殆どの者に嫌われている。
公爵やシュザンヌ様もよく思っていらっしゃらないからお許し下さるだろう。
「…いや、理解した。わざわざすまない」
「私ではなく謝罪ならルーク様におっしゃって下さい」
「そうだな。ルーク様、申し訳ありませんでした」
「いえ、頭を上げて下さい。これで侮られるようなら俺もまだまだって事ですし」
それならこれからもっと頑張らなくちゃ、と笑っておっしゃるルーク様の心の広さに感謝しておけ。
許しさえあればこの場で斬り捨ててやったものを…
「そう言えば、師匠は何故ここに?襲撃犯が貴方の妹だったので、てっきり責任を追求されて捕まっているものだと思ってました」
確かにその通りである。
屋敷を襲撃した理由がおおざっぱに言えば兄妹喧嘩。
誘拐された理由が謡将の近くにいたせいで巻き込まれた、であれば捕まる理由としては充分過ぎるくらいだ。
まさか脱獄してきたのではあるまいな、と睨みつければ謡将は首を振った。
「事情を話し、罪を軽減するために貴方様を追ったしだいにございます」
「へぇ、師匠も災難でしたね」
しみじみとそう言うルーク様に機嫌が悪くなったのか一瞬嫌そうな顔をする。
ルーク様の責任ではなく妹の教育を間違えた謡将の責任だろうに…ルーク様は何故咎めないのだろう?
感情の変化に敏感なルーク様なら気付いてないなんて事はないだろうに。
「…俺は少し疲れたのでもう休みますね」
「そうか…」
また敬語ではなくなっている。
あぁ…私にその権限があったなら即刻打ち首にするのに…
「カイル、行こうか?お前も疲れたろ?」
「お気遣いいただきありがとうございます」
「いや。あ、そうだ。鳩飛ばさなきゃ」
「そうでしたね。では鳩を借りに参りましょうか?」
「そうだな。行こう」
――あとがき―――――――――――――
カイルの性格がアスランから遠ざかってくよ…(泣
次は飛んでバチカル予定
グランツ謡将の顔色は悪い。
おそらくタルタロス襲撃について尋問されているのだろう。
当たり前だ。
部下の不始末なのだ、責められない方がおかしい。
気配を感じたのか、ふとこちらを向いた。
ほんの一瞬、助かったとばかり顔を輝かせたが、私が斜め後ろに控えているのを見て、いつもルーク様に接する時のような表情になった。
「ルーク、無事だったか」
こいつもか!
ガイ・セシルといい、こいつといい…ルーク様と自分の身分を正確に把握してるか?
「はい。ご心配をおかけしました」
「いや、無事なら良いのだ。ディストにはしっかり言い聞かせておこう」
あくまでこんな公の場で師として振る舞う気か…
良いだろう
前々から言ってやりたかったのだ。
「…ルーク様。発言してもよろしいでしょうか?」
「ん?……良いよ、許す」
ルーク様はこちらを向いた時、一瞬だけ固まった。
おそらくまた無表情になっているのだろう。
以前、ルーク様が「お前ってキレると無表情になるから恐い」とおっしゃっていた。
それ以降、主の前でそんな失態は犯すまいと決めていたが、飛ばされてから失態が多くなっている気がする。
それもこれも非常識な輩が多いせいだ。
そのような馬鹿者はガイくらいだと思っていたから驚いた。
「ヴァン・グランツ。貴方、何様のつもりですか?」
「は?カイル殿、それはどういう…」
「皆まで言わないとわからないんですか?ガイ・セシルにも言いましたが、ここは外で屋敷の中ではありません。確かに貴方は私的な場ではルーク様の師であります。しかし、外では師弟である前にキムラスカ王族と神託の盾騎士団総長です。…ここまで言ってもわかりませんか?」
子供にでもわかるくらいかみ砕いて言ったつもりだ。
本当は屋敷でも最低限度の礼儀くらい弁えてほしいが、それは次に稽古に来る日でいいだろう。
ルーク様に馴れ馴れしいグランツ謡将は屋敷の殆どの者に嫌われている。
公爵やシュザンヌ様もよく思っていらっしゃらないからお許し下さるだろう。
「…いや、理解した。わざわざすまない」
「私ではなく謝罪ならルーク様におっしゃって下さい」
「そうだな。ルーク様、申し訳ありませんでした」
「いえ、頭を上げて下さい。これで侮られるようなら俺もまだまだって事ですし」
それならこれからもっと頑張らなくちゃ、と笑っておっしゃるルーク様の心の広さに感謝しておけ。
許しさえあればこの場で斬り捨ててやったものを…
「そう言えば、師匠は何故ここに?襲撃犯が貴方の妹だったので、てっきり責任を追求されて捕まっているものだと思ってました」
確かにその通りである。
屋敷を襲撃した理由がおおざっぱに言えば兄妹喧嘩。
誘拐された理由が謡将の近くにいたせいで巻き込まれた、であれば捕まる理由としては充分過ぎるくらいだ。
まさか脱獄してきたのではあるまいな、と睨みつければ謡将は首を振った。
「事情を話し、罪を軽減するために貴方様を追ったしだいにございます」
「へぇ、師匠も災難でしたね」
しみじみとそう言うルーク様に機嫌が悪くなったのか一瞬嫌そうな顔をする。
ルーク様の責任ではなく妹の教育を間違えた謡将の責任だろうに…ルーク様は何故咎めないのだろう?
感情の変化に敏感なルーク様なら気付いてないなんて事はないだろうに。
「…俺は少し疲れたのでもう休みますね」
「そうか…」
また敬語ではなくなっている。
あぁ…私にその権限があったなら即刻打ち首にするのに…
「カイル、行こうか?お前も疲れたろ?」
「お気遣いいただきありがとうございます」
「いや。あ、そうだ。鳩飛ばさなきゃ」
「そうでしたね。では鳩を借りに参りましょうか?」
「そうだな。行こう」
――あとがき―――――――――――――
カイルの性格がアスランから遠ざかってくよ…(泣
次は飛んでバチカル予定
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