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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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卒業してから2年の月日が経った。
6年間保健委員を務めた私は自然と医学に詳しくなり、今はフリー医療忍者をやっている。
時々、薬学の特別講師として忍術学園に戻っているし、依頼も学園経由のものが多いから、自然と学園に寄る事が多い。
6年間いた学び屋に愛着はあるし、後輩たちに慕われるのは嬉しいけど、素直に喜べない理由がある。
会いたくない人がいるからだ。
念のために述べておくが、決してその人が嫌いなわけではなく、正確にはその人を想う私の気持ちを消し去りたいから会いたくないのだ。
会ってしまえば、消し去る事など不可能だとこの2年間で学んだから……


「おっ、乱太郎じゃないか!」
「土井先生…」
学園長に呼び出され、忍術学園を訪れた乱太郎は後ろから呼びかけられ、ぴたりと足を止めた。
「久しぶりだな」
「そうですか?一週間ほど前に来ましたけど」
「その時私は学園の外にいたからな。私からすれば二ヶ月ぶりだ」
にこにこと嬉しそうに笑いながらそう言う土井に乱太郎は曖昧に笑う。
「学園長から聞いたぞ。城仕えにならないかって誘いを受けてるんだって?」
「えぇ、まぁ。でも、私は今の生活が気に入っているので…」
「そうか…そういえば、今日はどうしたんだ?」
今日は薬学の授業の日じゃなかったよな?と不思議そうに首を傾げる土井。
「学園長に呼び出されたんです」
「学園長に?私も授業の事で学園長に用があったんだ。一緒に行こう」
そう言って歩き出す土井に乱太郎は躊躇いがちに頷き、後に続く。
そんな乱太郎に土井は振り向いて訝しげに見た。
「どうして後ろを歩くんだ?」
「は?」
「それじゃあ話しにくいだろ」
隣を歩けと促す土井に乱太郎は引き攣った笑みを浮かべる。
「い、いや、並んで歩いたら通行の邪魔になるでしょう?」
「避ければいいじゃないか」
久しぶりに会ったのだからもっと話そうと言う土井に乱太郎ははぁいと返事をする。
「仕事は順調か?」
「えぇ。ただ、最近は忍としての仕事より医者としての仕事が多いです」
「そうなのか。まぁ、乱太郎はどちらもプロフェッショナルだからな」
「そんな事ないですよー」
「謙遜するな。引っ切りなしに依頼が舞い込んでるそうじゃないか。学園長経由じゃなきゃ受けないと断ってるって聞いたぞ」
「ふぇ?誰にですか?」
「この前、町できり丸にな」
たまたま会ったんだ、と言う言葉を乱太郎は思わず疑いそうになる。
――本当に偶然?
そう疑ってしまう自分が嫌い。
でも、そう思ってしまうのも仕方ないと思わない?
だって、きり丸は今は土井先生の家を出て売れっ子フリー忍者として働いている。
私は治療のために私のところに来てくれるから会えるけど、忙しいきり丸にそう簡単に会えるはずがない。
「そう、ですか…」
「あぁ。あいつとも久しぶりに会ったが、元気そうだったな」
若いというのは羨ましいよ、としみじみ呟く土井に乱太郎は年寄りみたいな事言わないで下さいよと笑う。
そんな乱太郎の頭をぐしゃぐしゃと撫でた土井は乱太郎の文句を聞き流して、ほら着いたぞと立ち止まった。
「「失礼します」」
「おぉ、乱太郎に土井先生」
待っておったぞ、という言葉がどちらに向けられたのかわからないが、乱太郎は曖昧な返事を返す。
「そういえば、この前撮ったわしの…」
そのまま雑談をしそうな学園長を制止、用件を促すと、渋々頷いた。
「実はな、薬学をもっと詳しく学びたいという生徒が出てきてな、特別講師ではなくここの教師になってはくれんか」
「は?…新野先生がいるじゃないですか。医療関係のエキスパートですよ、先生は。それから、前から思ってたんですけど、私を雇う意味がわかりません」
「ふむ、確かに新野先生は凄い先生じゃが、薬物関係ではお前が上だと聞いたぞ。更に言うなら、新野先生が家の都合で退職を希望していてな。新任が見つかるまで待ってもらっておるんじゃが、どうせなら顔見知りの方がいいじゃろうと思ってな」
新野先生も乱太郎の腕を認めておるしな、と学園長は笑う。
乱太郎はそれだったら同じ医療忍者の善法寺伊作先輩でもいいじゃないかと思ったが、何かしら理由をつけて却下するだろうなと溜息をつく。
一年の頃からいろんな事件に巻き込まれ、いろんな城や人物と係わり合いになったため舞い込んでくる半端ない依頼の数に、面倒になって学園に仲介を頼んだのがそもそもの間違いだったな…と遠い目をする乱太郎。
その乱太郎の隣で土井はにこりと笑った。
「これからは同僚だな、乱太郎」
「え、受けること前提ですか?!」
「何だ、断る気だったのか?」
残念そうに眉を下げる土井に乱太郎はうっ…と言葉に詰まる。
「何か不都合でもあるのか?」
「…特にはないですけど……」
忘れたい人がいる事以外は。
「ならば良いじゃろ。これからよろしく頼むぞ、乱太郎」
「はぁい」
「部屋は用意してあるから荷物を持ってきなさい」
「…失礼しました」
渋々頷いて立ち去る乱太郎。
その乱太郎の気配が消えたのを確認すると、学園長は溜息をついて土井を見た。
「…腹黒じゃの」
「そうですか?」
「お主に言われたら断れないの知っていて残念そうな顔をした上、断った時のためにいくつも策を用意して逃げ道を塞ぐ気満々だった人間を善良とは言わん」
乱太郎も可哀相に、と呟く学園長。
「ははは、そう思っていらっしゃるのでしたら、この話を乱太郎に持ってこなければ良かったでしょう?」
「せめて、目の届く範囲に置くべきと判断したまで」
「酷いですねぇ。人を危険人物みたいに…」
「危険人物じゃろ」
そう断言する学園長に土井は否定はしませんけどねと肩を竦めた。
「それでは、私もこれで」
「程々にな」
その忠告に微笑むと、土井はその場から忍者らしく一瞬で消える。
そんな土井に学園長は深々と溜息を吐いた。
「乱太郎も気の毒にのぅ…」


「乱太郎…悪いけど、私はもう我慢の限界なんだ。だから、お前を手に入れるためなら手段は問わないよ」




―――――――――――――――――――
土井←乱に見せ掛けて、土井→←乱
ってか、この土井先生こわっ
ほのぼのになるはずだったのに…

土井先生は乱太郎が自分に好意を持ってる事に気付いてます。
けど、それが恋心なのかまでは図り兼ねています。
因みに、きり丸と会ったのは本当に偶然。
たまたま見かけたきり丸を捕まえて乱太郎の近況を聞きました(笑

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