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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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敦賀蓮はハリウッドスター、クー・ヒズリの息子だった!!??


捏造が多いと共に流行も生み出してきたという某雑誌の一面を飾った見出し。
何が原因かは不明だが、どこからか漏れてしまったらしい…否、漏れたわけではなく、ただの捏造記事だったのかもしれない。
しかし、それが事実であったため、事態は笑いごとではすまなかった。


『演技がうまいのも納得ですよねぇ~』

『流石はクー・ヒズリの息子ですよね!!』

――プチッ

社は眉間にしわを寄せてリモコンでチャンネルを切った。
しかし、隣にいた蓮が社の手からリモコンを奪って、再びTVの電源を入れる。

「あぁ!何するんだよ、蓮!」

「社さん、見たくないのはわかりますけど、見てないと現状が把握できませんよ」

「けどなぁ!あんな風に言われて黙ってられるか!!お前の価値がクーにしかないみたいな言い方…っ」

「そう、ですね。俺はそれが嫌で日本に逃げてきたわけですから」

蓮はそう言って苦笑する。
親の七光と言われるのが嫌で、『クー・ヒズリの息子なのに』と比較されるのが嫌で、自分がまるで親の付属品のように扱われるのが嫌で、必死に演技して、逆らって、クビにされて、苛立ちを人に向けて、壊れかけた日々。
それを抜け出すために社長の手を取った。
なのに、まだ満足する域に達してない段階でばれてしまった素性。

――これで、また、俺は………

「あ、あれ!!」

社の驚いた声に思考の海から浮かび上がった蓮は自然と下がっていた視線を上げ、TV画面を見る。
そして、驚いた理由に納得すると共に、蓮もまた目を見開いて画面を注視した。

「きょ、今日は、事務所に来るなら裏口からって連絡が入ってるはずなのに!!」

報道陣が詰めかけているLME本社の表玄関。
そこを少女はまるで報道陣が見えていないかのように颯爽と歩いていた。

「最上さん…?なんで……」

『京子さん!』

案の定、報道陣は厳戒態勢の中のこのこと現れた少女にここぞとばかり詰め寄せる。
それを見て、社はオロオロと、蓮は近寄るなとばかり画面を睨みつけた。

『京子さん!先輩である敦賀さんのことですが…』

『敦賀さんがクー・ヒズリの息子だということは…』

『何か、本人にはお聞きしていますか?』

『京子さん、何かコメントを!!』

餌に群がるハイエナのような報道陣の詰問に少女はぴたりと足を止めると、報道陣を見て微笑んだ。
しかし、微笑みといっても普通の笑みではない。
『京子』がブレイクするきっかけになった未緒の、魔性の微笑みである。
その迫力満点の恐ろしい笑みに報道陣は震えあがり、一歩、二歩、と後ずさる。

『敦賀さんが、クー・ヒズリの息子だった…?』

反応を示した少女に再び口を開くきっかけを得た報道陣は、しかし、先程より控え目に尋ねた。

『え、えぇ…京子さんはそのことは…?』

『知っていますよ。それが何か?』

礼儀正しいと評判の『京子』にしてはありえないほどそっけなく肯定する少女。
そのことに関して、まるでなんとも思ってないかのような態度を取る少女に、これまでインタビューしたドラマでの共演者たちとの違いに、戸惑う報道陣。

『あ、あの、そのことに関して驚いたりとか…もしかして、本人から何か…?』

『本人からは何も聞いてませんよ。今日、ニュースで見て凄く驚きました』

『し、しかし…』

『けど、それだけです』

『え?』

『クー・ヒズリの息子だった。それは確かに驚くことかもしれませんけど、ここまで騒ぎ立てることですか?敦賀さんの価値はそんなところにはないのに』

冷静に淡々と述べられる言葉に誰もが驚き、固まる。
そんな報道陣をよそに、少女はカメラを睨みつけるように見た。

『私は敦賀さんを尊敬しています。役者として、人間として。けれど、それは“敦賀さん”だから尊敬しているのであって、“クー・ヒズリの息子”だから尊敬しているわけではありません。“クー・ヒズリの息子”だから演技が上手いとも思いませんし、“クー・ヒズリの息子”だから人気があるとも思いません。敦賀さんが必死で“敦賀蓮”を築きあげてきたからこそ、私は敦賀さんを尊敬してるんです』

それだけ言いたかったんです、と言って少女は何事もなかったかのように事務所の中へと入って行った。
呆然としていた報道陣はそれを止めることもできず、ただ、少女の後ろ姿を目で追う。

そんな光景を画面越しに見た二人は報道陣同様、呆然としていたが、そのうち社が「ぷっ」と噴き出す。
それをきっかけに二人は涙が出るまで腹を抱えて笑いだした。

「くくくっ…さ、流石はキョーコちゃん!ホント、行動が読めないよ!!」

「ははっ…そう、ですね。驚くことだけど騒ぎ立てるほどのことじゃないって…最上さんじゃないと言えませんよね。普通、騒ぎますよ!ハリウッドスターの息子ですよ?騒ぐに決まってるのに、それがなにかって…っ」

「ほ~んと面白い子だよ。俺はてっきり『えぇぇぇええ!!??つ、敦賀さんが先生の息子ぉ?!そ、そんな馬鹿なっ』って驚くもんだと思ってたのにさ、すっごい冷静なんだもん。今日、事務所に堂々と来たのだってニュース見てなくて、相変わらずケータイの意味がない状態なのかと思ったのにさ、確信犯だし!!」

あり得ない、と笑う二人に先程までの苛立ちはない。
少女の冷静すぎる対応に吹っ飛んでしまったのだ。

笑いが収まった蓮は次のニュースに移った画面を意味なく眺めながら、嬉しそうに目を細めた。
ずっと欲しかった言葉。
自分を肯定してくれる、魔法の言葉。
他の誰でもない、あの少女からの言葉だからこそここまで浮上できたことを自覚しながら、蓮は微笑んだ。


「まったく…君には敵わないよ………“キョーコちゃん”」

 

 

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またもやスキビです、すみません。
最近、すっごくはまってるんですよ!
1月に本を揃え始めて、3月の中旬に全部集め終わりました…新刊以外、全て中古で!
ブックオフを5件くらい回りましたよ…(ぉい

さて、いきなり蓮がピンチです。
自ら公表してたらこうならないと思うんですが、全然関係ないところからいきなり暴露されたら変に騒ぎたてられそうだなぁ…と思ってこんな話を書きました。

因みに、蓮キョはまだ成立してません。

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