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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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『あはは~、何言ってるんですか。敦賀さんですよ?引く手あまたなのに、私みたいなのに手を出すわけないじゃないですか~。実際、お風呂をお借りさせていただいた時に『君みたいな地味で色気もない女の子に手なんて出さないよ』って鼻で笑われましたもん』

そう言ってケラケラと笑う少女。
そんな少女の発言に顔を引き攣らせる三人。
それを見た社は、じとーと顔を引き攣らせてる蓮を見た。

「蓮…お前、キョーコちゃんにそんなこと言ったのか?!」

『ホントにそんなこと言われたの?!』

「………口には出してませんけど、そんなニュアンスで鼻で笑ったのは事実ですね」

『え?まっさかぁ~。紳士の敦賀さんが思っても口に出すわけないじゃないですか!』

『『『「(紳士なら例え思ったとしても態度にだって出さないよ…)」』』』

少女の反応に引き攣り笑いしかできない石橋姓三人。
反応に困っている三人に同情しながら、社は呆れたように蓮を見た。

「お前なぁ…いくら仲が悪かったからってそんな対応することはないだろ」

「…それくらいやらないと遠慮してお風呂に入らないと思ったんです。俺のせいで帰れないのだから、風呂くらいは…と思って」

「……キョーコちゃんがお前を意識しないのってさ、あの子の曲解もあるけど、お前が最初にそんな態度を取ったからじゃないか?」

「……………………反省してます」

これで、一人暮らしの男の家に夜中に押し掛けてくる理由が明らかになった。
最初、そういう対応を取ったせいで「自分はそういう対象として見られることはない」と思い込んで、蓮を“男”のカテゴリーから外しているのだ。
道理であれほど無防備なわけだ…

『きょ、京子ちゃん!』

『はい?』

『地味で色気がないとか、そんなことないからね!京子ちゃんはちゃんと魅力的な女の子だからね!』

「……この男…」

「れ、蓮!ここでフォローするのは男として当たり前だから!!」

『お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます、光さん』

『お世辞じゃなくて、本当に…っ!!』

『はいはい、リーダー!ストップ~~!!!』

『そうそう。脱線してるよ~~』

言い募るリーダーに慌ててストップをかける二人。
首を傾げる少女。
そんな映像を無言で見つめる二人。

「………馬の骨か」

「(うわぁん…闇の国の蓮さんが降臨しちゃった……)」

ぼそりと呟く蓮に青ざめる社。
そんな社に気付くことなく、画面に映るリーダーを冷めた目で見つめる蓮。
社は「ご愁傷様、石橋くん…」と手を合わせた。

『え、えっと、京子ちゃんってホントに敦賀さんと関わりがあるんだね~』

『そうですね…そういえば、驚くほど多いですよね。“Dark Moon”でも共演させていただきましたし』

『そうそう!すごかったよねぇ、京子ちゃんの未緒!!坊と本当に同一人物なのかって思わず目を疑っちゃったもん!』

『あはは…素だとあまり気付かれないんですよねぇ…』

『仕方ないよ。全然雰囲気ちがうしね。“Dark Moon”といえば、敦賀さんの“嘉月”すごい反響だったよね!特に“美月”だけに見せるあっま~い笑みとかさ、無邪気な表情とかさ!あんな演技ができるなんて、流石は敦賀さんって思っちゃったよ』

『…そう思いますよねぇ』

『え?どういうこと??』

『実は敦賀さん、その演技に辿り着くまで“嘉月”ができなくなってしまったんですよ』

深刻な表情でそう言う少女に三人は驚く。
それを見ながら、やっぱり驚くよなぁ…と社はうんうんと頷き、蓮をちらっと見る。
蓮はその頃のことを思い出したのか、苦々しい表情をしていた。

「…その節はご心配をおかけしました」

「いいんだよ…俺より、キョーコちゃんに言えって!わざわざ鶏になって来てくれたり、お弁当を届けてくれたり、演技にも付き合ってもらったんだからさ」

「そうですね」

その上、恋愛相談にも乗ってもらったのだ。
相談に乗った本人も、きっと“自分の嘉月”を見失ったことを相談するのだろうと思っていただろうから、最初から恋愛指導をするつもりだったわけではないはずだ。
恋について聞いた時、一瞬「なんだ…」って雰囲気になってたし。

  ―― 些細な幸せが伴えば、それが…… ――

そういえば、その言葉は自分の経験談だったのだろうか…?
だとしたら、嫌な記憶を思い出してまで答えてくれたということになる。
ゴキブリがどうのこうのと言っていたのも、経験談を話そうとして、思い出して、怒りを解消するための行動だったのかもしれない。
そう考えると悪いことをしたな…と思うと同時に、それほど心配してくれたのか…という喜びも湧いてくる。

――あぁ、この病は本当に進行が早い…

気にかけてくれた…それだけで、幸せになってしまう。
あの時は、鶏に劣っていると言われたようで釈然としない…とさえ思っていたのに、中身が彼女だと知った途端、喜びと情けなさと苦々しい感情が溢れてくる。
でも、仕方ないよな。
あの男との運命なんてぶち破る…神に逆らっても――
そんな感情を抱かせる唯一の存在なのだから…。

『えぇ?!それってスランプになったっていうことだよね?』

『はい。抑えきれないほどの恋情…それを表現できなくて、敦賀さん自身もそれを自覚していて、自分に合う“嘉月”を探して何度もリテイクを繰り返していました。それでも、見つけられなくてカットされる前に自分で演技をストップしたりだとか…』

『リテイクなしで有名な敦賀さんが……って、これも話しちゃって良かったの?』

『えぇ…監督や社長には許可をいただいていますから』

『そっか!でも、意外だなぁ…敦賀さんって百戦錬磨ってイメージあるし…』

『確かに。あ、でも、恋愛に淡泊なイメージもあるなぁ…“来るもの拒まず、去る者追わず”って感じでさ。それか、ゴシップなしで有名な人だし、恋愛に興味がないとか』

少し、当たってる。
“来るもの拒まず”…ではなかったが、“去る者追わず”ではあった。
「他に好きな人ができたの」「一緒にいる方がさみしいわ」「あなたと私では好きの重さが違うのよ」
同じような言葉を言い残して去って行った彼女たち。
そんな彼女たちの心変わりをあっさり受け止めた俺。
引き留めようとしたことなど一度もなかった…それは、俺が彼女たちを“好き”ではあっても“愛して”はいなかったから。
その違いがわからなくて、ある意味“遊び”より酷いことを彼女たちにしていた。
恋を知った今だからわかること…

「ぐ~ふ~ふ~。るぇぇぇん。結構当たってるなぁ~」

「…何がですか?」

「“百戦錬磨”“恋愛に淡泊”“去る者追わず”」

「………そんなことないですよ」

「キョーコちゃんには、だろ?過去のお前はそうだったんじゃないのか?」

「(何で社長といい、社さんといい……っ)」

図星を突かれ、むっつりと黙りこむ蓮。
沈黙は肯定だぞ!と社はにやにやと笑った。

『いえ、ただの恋愛下手みたいですよ』

『『『え”?!』』』

『なので、恋の演技がわからなくて嘘くさくなってしまったみたいです。監督に休みを取らされて、社長には演技テストをして自分が納得できなかったら役から降ろすとまで言われて…でも、自力で“嘉月”を作り上げて、見事演じ切ったんです!』

『え、ちょ、恋愛下手ってとこはスルーなの?!』

あっさりスルーして、すごいですよね!と微笑む少女に左側にいた青年がツッコム。
それを見ながら、そのままスルーしてくれないと困るんだけど…と蓮は頭を抱えた。
ここでは大切な人は作れないだの、ロックをかけるだの、いろいろ話してしまったが、あの時は吐き出す場所が欲しくて…それで、つい甘えてしまったが、今となっては恥ずかしすぎる…。

『だって、話すような内容じゃありませんし…あ、でも、恋愛をしたことがないってわけではなかったみたいですよ。ただ、それは恋じゃないってある人に否定されて…恋愛のマニュアルがあるなら欲しいとか呟いてました』

『へ、へぇ…何か意外だな…』

『芸能界一イイ男が恋愛下手…正直、信じられないわ…』

『ですよね!私もすごく驚きました。「この歳で恋をしたことがないのっておかしいか?」って聞かれて、歳というよりその顔で恋をしたことないなんて詐欺だ!って答えちゃいましたね』

『素直だね、京子ちゃん…でも、そんなこと言って大丈夫だった?』

『あ、その時も“坊”だったんですよ』

『なるほど』

納得する三人にあはは…と空笑いを漏らす少女。
社は蓮を見ながら「確かに詐欺だな」と呟いて、ギロリと睨まれた。

「…悪かったですね、恋愛音痴で」

「お!認めたな!最近は素直で、お兄さんは嬉しいよ!!」

「誰がお兄さんですか、誰が」

そう呟きながら、少女を見て溜息を吐く。
恋愛を拒否している少女に恋愛指導してもらった上、恋愛下手と評価される…

――俺って…

鈍感でそっち方面が壊死している少女より恋愛レベルが下だったかと思うと、情けなくて涙が出る(いや、実際には出ないが)。
蓮は落ち込みながら、それでも「この番組は俺のため、最上さんの行動は俺のため…」と自分に言い聞かせて、画面を眺めたのだった。

 

 

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恋愛初心者な蓮が愛しいです(笑

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