本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「好き……誰よりも、貴方のことが――――」
はっ…
目を開くと見慣れた天井。
ここがどこだか理解した蓮ははぁ~~と深く溜息を吐いた。
「夢、か…」
わかりきっていることなのに、現実だと思ってしまった。
こんな都合の良い出来事が現実であるはずがないのに。
いったいいつになったら自分の学習能力は働くようになるのだろうか…?
蓮は進歩のない自分に落ち込みながら、ベットから出ると、渇いた喉を潤すためキッチンに向かった。
その際に、テーブルの上にあるはずのないものを見つけ、立ち止まる。
「食事?」
もしかして、彼女が来ていたのだろうか?
だけど、それならどうやって中に?
どうしてここに姿がない?
蓮は記憶が曖昧な今日の出来事を思い起こす。
確か、今日は珍しく早く仕事が終わって、そして、たまたまあの子に会って。
社さんが彼女に「蓮がまた最近食べてないみたいなんだよ~。キョーコちゃん、ご飯作ってやってくれない?」って頼んだんだよな?
じゃあ、ここに食事があってもおかしくないわけで…でも、何で姿がないんだ?
えっと…その後確か、何故か最上さんは戸惑ってて、拒否されたみたいに感じて彼女の苦手な笑顔で脅すような形で了承させたんだったよな…
で、家に連れ込んで、拒否しようとした理由を聞き出そうとして……
――好き……誰よりも、貴方のことが―――敦賀さんのことが、好きです……
そう言って彼女は泣いたんだ。
言葉も、熱っぽい視線も、紅潮した頬も信じられなくて…
頭がパンクして、俺は………
蓮はそこまで思い出すと、はっとしてベットに戻り、サイドテーブルに置いてあったケータイを掴む。
そして、発信履歴から目当ての電話番号を探し当てると、通話ボタンを押して、耳に押し当てた。
『…………はい』
暫くして、キョーコが電話に出る。
その声は掠れていて、蓮の胸がズキンと痛んだ。
「最上さん?俺だけど…」
『……私に"俺"という知り合いはおりません。それでは、失礼させてい』
「待ってくれ!頼むから、話を聞いて!」
『話すことなんてありません。気絶するほど嫌われていたとは思っていませんでしたが、そこまで嫌われてるのでしたら、もう近付きませんので…』
「冗談じゃない!近付かないだって?そんなの許さないよ」
思わずカッとなる。
怒鳴るように叫んだ俺に戸惑っているのがケータイ越しでも伝わってきた。
「今、どこ?」
『……そんなの、敦賀さんには関係な』
「今、どこ?」
有無を言わさぬ響きにキョーコは黙り込む。
蓮は沈黙も許さないとばかり、「今、どこにいるの?」と畳み掛けるように問う。
キョーコは少しの間黙ったあと、注意して聞かなければわからないほど小さい声で呟いた。
『…〇×公園の近くです』
「〇×公園だね。わかった」
まだ下宿先に着いてなかったことにホッとする。
〇×公園なら、ここからそれほど離れていない。
思っていたより気絶していた時間は短かったようだ。
「今から行くからそこで待ってて」
『え?』
「いいね?待たずに帰ったりなんかしたら、君の下宿先に押しかけるからね?」
『なっ………』
「じゃあ、行くから」
『まっ―――――』
返事を聞かずに通話を電源ごと切る。
そして、車のキーを手に取ると、ジャケットを羽織って玄関に向かった。
「逃がさないよ、最上さん。例え、君の言葉が気の迷いだったとしても…―――」
俺は君を捕まえる。
―――――――――――――――――――
短いっ!!
ただ、情けない蓮が書きたくて書いてみただけの話でした。
蓮はキョーコちゃんに告白されたら喜ぶより先に疑うか夢だと思いそうです。
キョーコもそうだと思うなぁ…
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