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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「ルーク」
「ん?」
「好きです。愛してます。」
この陰険眼鏡
何の嫌がらせだ…っ
―皆の心が一つになった瞬間であった

「じぇ…ジェイド?いきなり、どういうつもりなんだ??」
言われた張本人であるルークがありったけの勇気を振り絞ってジェイドにそう尋ねた。
その顔はこの場にいる誰よりも青い…
「どういうつもりかと訊かれましてもねぇ…自分に正直になっただけですが?」
「あぁ!俺を虐めたいっつー欲求に?」
悲しいが今はそれよりそうであって欲しいという気持ちの方が断然強い。
周りのルークが言った理由なら納得出来る!とジェイドの返答を待った。
だが、人生はそう甘くない……
「いやですねぇ。好きだという気持ちに決まってるじゃないですかぁ~。」
ルークの青い顔から更に血の気が引いた。
ティアはジェイドが当たり前でしょう、と言った瞬間倒れた。
ナタリアはいつも天然ぶりを発揮して「そういう気持ちは大事ですわ」と見当違いな言葉を口にする。
「たっ大佐ぁ~、冗談ですよねぇ~??」
アニスは場を和ませるように甘ったるい声で縋る気持ちでジェイドに尋ねた。
しかし、ジェイドはあっさり至極真面目な顔で否定した。
「人の気持ちを冗談と決め付けるなんて、駄目ですよーアニス。」
アニスは目が虚ろになった。
ルークは既にジェイドより顔が白くなっている。
ガイも魂が抜けかけていた。
「と言う訳で、結婚して下さい、ルー…」
言いかけてバタリとジェイドは床に突っ伏した。
アニスはギャグか…?と内心首を傾げながら(状況を把握していないナタリアを除いて)誰も動けないので恐々ジェイドの肩を触ってみる。
しかし反応はない。
おかしいなぁ…と思い恐る恐るジェイドの頬を触ってみたアニスは驚きで飛び退った。
「あの大佐に熱がある!!」
そのアニスの叫び声に意識を取り戻した皆は顔を驚きと恐怖に染め、「鬼の霍乱だっ」と叫んだ。
(ルークが「オニノカクランってなんだ?」と言う問いに応えられる余裕さえガイにはなかった)

「…私は…?」
目覚めたジェイドはベットから上半身を起こし、頭痛に顔を歪めながら疲れて動けませんとばかり床で力尽きている面々を見た。
一番最初にジェイドが気が付いた事に気付いたアニスが顔を引き攣らせながらジェイドに話しかける。
「大佐ぁ……大丈夫ですかぁ?」
「大丈夫とは言いきれませんが…軍人として恥ずかしい限りです。…ところで今は昼ですよね?私は朝、起きましたか?」
「ふぇ?どういう意味ですかぁ~?」
「どうやら私は熱があっても朝はきちんと起きた揚句、呂律もしっかり回っているそうでしてね。そのせいで前に軍基地内で倒れた時に驚かれましてね。鬼の霍乱だ!!と大層な騒ぎになったそうなのですよ。」
あぁ、想像出来てしまう。
寧ろ、驚かない人がいたら見てみたい。
「…ん?倒れた時の事覚えてないのか?」
傍でその話を聞いていたルークが不思議そうに尋ねる。
「えぇ。朝、起きた事すら記憶になかったので今回もこの状況から考えて、もしや…と思いまして」
記憶にない…覚えてない……?
「良かったぁ~」
「きっと、あの時の大佐は熱でおかしくなっていたのよ!!」
「だよなぁ~!じゃなきゃ、あのジェイドがあんな事言うはずないしぃ」
「本当に良かったな、ルーク。」
ジェイドはその会話に内心首を傾げる。
熱に浮かされた時に口走った自分の言葉をピオニーに聞かされた事はあるが、普段から多少違ってもここまで安堵される言葉を吐いた事はない。
どうやら対象はルークだったようだが…
「…どんな事を言ったんですか、私は?」
答えないだろうと予想した上での言葉に皆はやはり
「知らないほうが良いですよぉ~☆」
「私も…知らない方が良いかと…」
と、ごまかされた。
まぁ、期待していなかったので「そうですか…」とそこでその会話は途切れた。


―数日後
一行はグランコクマに来ていた…

「聞いたぞ~。ジェイドが熱で倒れたんだってな♪」
心底楽しそうなピオニーの言葉に面々はついつい数日前にあった悲劇(ある意味では喜劇とも言える出来事)を思い出して顔色を悪くした。
ジェイドはそれに溜息をつき、ピオニーはにやにやと笑う。
「うんうん、お前らが顔色悪くする気持ちもわかるぞ。こいつの本音はこぇーもんな」
「――本音?」
誰かが呟いた言葉にピオニーは、ん?と首を傾げる。
「ジェイドから聞いてないのか?こいつ、熱出したら本音をペラペラと喋るんだぜ?それが恐いのなんのって。前に軍基地内で倒れた時も会話した相手にいつもの毒舌が更に酷くなった感じで毒吐いてその相手は心に酷い傷負って軍人辞めちまってさぁ。ジェイドに聞いても覚えてないっつーから近くでその会話聞いてた兵士呼び出して自分の言った内容を聞かせたら何て言ったと思う?前々からそう思ってた、なんて悪びれもせず言うんだぜ?俺は本気でその相手に同情したね。…ってお前ら顔色が…」
ルークは白目を剥いて昏倒した。
ティアとアニスがそんなルークを支えながら「ルーク、しっかりして!!気持ちはわかるけど負けちゃ駄目よっ!!」「傷は浅い…わけないよねぇ。深いどころか貫通してそうぉ…とにかく、しっかりしてよぉ、ルーク!」と叫んでいた。
ガイはその様子を尻目に抜き身の剣をジェイドに向け、「金輪際、ルークに近付くな!」と怒鳴った。
「おい、ジェイド…お前、何やった?」
「知りませんよ、聞いても答えてくれませんし。しかし、相手がルークだとは聞いていたので予想を付けていたのですが、それとも違うようですし…」
「お前は何だと思ってたんだ?」
「…てっきり『恨んで下さい』とでも言ったのかと…」
皆が挙動不審だったのは私が似合わないセリフを吐いたからだと思ったんですがねぇ…と困ったようにジェイドは呟く。
「へぇ~、お前にしては珍しいな。お前なら『恨んでくれても構いません』だろ。その言い方だと懇願してるみたいだぞ。」
「…そうですね。しかし、この様子から見ると違う言葉のようですし…」
ここまで警戒される言葉…?
「思いつかないのか?」
「はい、全く。」

知らない方が(ジェイドが行動に移したりしないだろうから)皆の平穏の為だと、ピオニーに問われても誰一人答えなかった…

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