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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「俺はジェイドが嫌いだよ。」

自分の腕を掴んで、脈を計っているジェイドにそう言うと一瞬の沈黙の後「そうですか」とどうでも良さそうな声音で返事を返してきた。
表情もいつもと変わりない。
だけど、目だけが揺らだのを俺は見た。

「あぁ、嫌いだ。だから、もう俺に関わるな。」

俺に関する事から手を引けと言う意味も込めて言い放つ。
ジェイドだって自分を嫌ってる奴の面倒を見るなんて御免だろ?
だからもう、お前が睡眠時間を削ってまで探す必要はないんだ。

「それは無理です。」

「私は貴方が好きですから。」

にっこり笑ったジェイドはそう言って俺の腕を掴んでいる手に力を込めた。
何故だろう…
ジェイドは自分を嫌いだと言う奴にまで好きと言えるお人よしではなかったはずだ。
お前はもう…

「…絶望をわざわざ知る必要はない。」

呟いた言葉はしっかりジェイドに届いたらしい。
笑顔に凄みが増した。

「諦めませんよ。貴方を諦められるはずがない…」

「無理だ。」

「決め付けないで下さい。私はまだ絶望しきっていない。」

絶望しきっていない…ってお前はこれ以上絶望してどうするつもりだ…
寝るのも惜しんでお前が音素乖離を防ぐ方法を探しているのを俺は知ってる。
あのジェイドが、僅かな可能性に縋って昔自分が書いた本などをひっくり返しているのを知っている。
そんなの記憶力の良いジェイドなら全て覚えているだろうに、
それでも何か見つけられないかと。
…ジェイドなら時間に余裕があって、場所も研究所か何かで、気持ちにゆとりがあればいつか見つけられるだろう。
だけど今は無理だ。
今の状況では見つけられない。

「私が絶望しきってしまうのは私の精神が死ぬ時ですよ。」

「死ぬって…」

「貴方が死ぬ時が私の死ぬ時です。」

「なっ…俺はお前が嫌いだって言っただろ!ジェイドは自分を嫌ってる奴の為に死ぬつもりかっ!!」

「えぇ。貴方は私を嫌いでも、私は貴方が好きですから。」

何でそんな事を言うんだ。
ジェイドも俺を嫌えば良いのに--嫌いになって、止めろよ自分を虐めるのは--
諦めろよ、俺はもう消えるんだ。
音素乖離は止められない…それは俺自身がよくわかってる。
だからお前は無理しなくていいんだ…

「止めろ…」

「嫌です。私は生きてる限り、貴方が生きられる方法を探します。」

何でなんだ…
どうしてこの男は自分から辛い道を進もうとするんだ…
お前は面倒事が嫌いで避けられる面倒は避けてきたじゃないか。
もし、死ねと言った事に責任を感じているならそれは全く必要のない事だ。
俺はどちらにしろあそこで朽ちるつもりだったのだから。
それなのに今生きていられる。
それで、充分じゃないか。

「貴方が死ぬなら私も一緒に死にましょう。それが認められないなら止めないで下さい。私は貴方と生きる道を私の為に探しているんですから」

止めたら一緒に死んで止めなくても俺が消えたら精神は死ぬって、どっちにしろ死ぬじゃねぇか
俺は道連れなんていらない…

「っ大嫌いだ、お前なんて!!!」

「好きです、ルーク。愛してます。」

あぁ、この男はどこか壊れてしまったんだ
俺のせいで
だって、この男がそんな感情を持っていたとしても、ソレを俺に向けたとしても、こいつはソレを相手に伝えないだろうから。

「嫌われても、恨まれても良い。それでも私は貴方が好きです。」

壊れてしまった…
こいつの目には暗い光しか映っていない。
迷い子のような目をしていたのに、塗り潰されてしまった。

「好きです」

そう言って俺を抱きしめたジェイドは意外と温かかった。

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