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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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「ちょっと待って下さいよぉ~!確かにそこのお坊ちゃまが名を騙ったのは不可抗力かもしれませんけどぉ、アクゼリュスを崩落させたのは事実だしぃ、イオン様にも失礼な事言ったり…さっき将軍はぁそのお坊ちゃまは間違った事言ってないって言いましたけど、全然そんな事ないんですよぉ?」
黙り込んだナタリアを援護するように口を挟んだアニスにアスランは物騒な色を宿した目で睨む。
「いいえ。彼の言った事は的を射てます。彼は親善大使です。キムラスカ王の名代なんです。つまり、ルーク殿は貴女々一行の中で一番偉い存在…王命に逆らったナタリア様よりも偉い存在です。彼を馬鹿にする事は即ちキムラスカ王を馬鹿にする事。そしてカーティス大佐…貴方はマルクト皇帝、ピオニー陛下の名代です。貴方がルーク殿を蔑ろにするという事はマルクトがキムラスカを蔑ろにする事と同じ…。その事をちゃんと考えて行動しましたか、貴方は?それからルーク殿の言った事は当たり前の事です、親善大使であるルーク殿が一番偉い、そしてそのルーク殿の命に従うのは当たり前のはず…何故軍人と王族を同列に考えているのです?それからアニス・タトリン…イオン様に失礼な事を言った、とはアクゼリュスに赴く際の事ですか?」
「ぇ…あ、そうです」
アニスは何故知ってるのだと訊きそうになって、アスランがルークの記憶を見たと言っていたのを思い出す。
「あの事に関しても私はルーク殿が正しいと思います…それどころか、本来なら貴女が言うべき事でした」
「私、が…?」
「当たり前でしょう。貴女は導師守護役…イオン様を守り安全を謀る義務があるはず…ならば貴女が真っ先に反対すべきでした。身体の弱いイオン様が強靭な男たちでさえ倒れてしまうような瘴気で覆われた地に向かう事を、その身を危険に曝すわけにはいかないと貴女は止めるべきでした…主人を軽んじていると取られてもおかしくありません」
アスランの言葉にアニスは真っ青だ。
これほどかみ砕いて言わなければ理解できないのか、とアスランは呆れ気味だ。
「完全なる職務怠慢です…あぁ、この件に関しては私に裁く権利はありませんが、別件でアニス・タトリン…貴女にはマルクト軍本部へご同行願います」
「は、ぃ?」
「言ったはずです。ルーク殿の目で見て、イオン様の耳で聞いた事を体験した、と。…わかりませんか?」
アニスはぎこちない動きで後ろを振り向くと顔を蒼白にしたイオンの姿。
それを見てアニスはイオンが知っていたのだと気付き、ガクガクと身体を震わせる。
「貴女に拒否権はありません。それから六神将『鮮血』のアッシュ…タルタロス襲撃の実行犯として貴方にも来ていただきます」
「まぁ!アッシュは本物の"ルーク"ですのよ?」
口を挟んだナタリアにアスランは目を細めた。
ジェイドは呆れの表情を作り、ガイは頭を抱え、唯一ティアだけはナタリアに同意するように頷いている。
「…そうだとしてもアッシュが"ルーク"様だという事実はキムラスカにとって受け入れがたい事では?」
「…どういう、意味ですの?」
「そのままの意味です、ナタリア王女。タルタロスを襲っただけならまだしも、彼は自国であるカイツールを襲撃しています…それも命令ではなく彼自身の意志で。そのせいでキムラスカは何億という負担と国民の命が失われました。そのキムラスカが彼をキムラスカ王族である"ルーク・フォン・ファブレ"と認め、歓迎できるはずがない」
ナタリアもアッシュも漸くその事に気付いたのか真っ青になる。
今更だ。
「私は今、部下を連れていません。ですのでカーティス大佐、二人を拘束し、連行して下さい」
「…部下を連れていないのは気付いていましたが、何故です?」
「ここに来た手段が私にしかできなかった、としか言いようがありませんね」
「貴方にしかできない手段?」
「えぇ。ローレライに送ってもらったのです。この方法は監視者にしかできませんから」
急ぎでしたしね、と固い表情で言う。
「…ルーク殿とイオン様については私の名に置いて保護させていただきます。彼ら二人も監視者ですから私と同じ方法で移動できますしね」
「お待ちなさい!その偽者は罪人ですのよ!保護など必要ありませんわ!!」
まだそんな元気があったのか…とアスランは頭が痛くなった。
「彼については事も地位も大き過ぎます。ですので判断するのは陛下であり、一介の軍人でしかない私が判断する事はできません。そして、判断されるまでは彼は偽者であろうと本物であろうと親善大使だった"ルーク・フォン・ファブレ様"です。拘束などできるはずがありません」
そう説明し「イオン様もこちらへ」と呼び寄せる。
イオンは震えているアニスの後ろから抜け出し、一度悲しそうにアニスを見た後、アスランの方に近付いた。
「では皆さん、私たちは先にグランコクマに戻ります。カーティス大佐、罪人二名とできれば罪人ティア・グランツも拘束し、本部に送り届けて下さい。仮にも左官の軍人なんですからそのくらい出来ますね?」
アスランのジェイドを見る目は冷たい。
ジェイドはその理由を理解しているので逆らわず「了解しました」と静かに言った。
「あぁ、それからもう一度言っておきます…貴方々は世界の審判より失格と見做されました。よって、世界の加護を失い、恐らく譜術は使えないでしょう」
アスランはそう言って薄く笑った後、イオンとルークそしてずっとルークに抱き着いていたミュウと共に掻き消えた。


「ここは…」
「ん?起きたか」
「ぅわぁっ!誰だ、あんた!!」
見知らぬ人間のドアップに驚き、ベットから転げ落ちるルーク。
その反応を見て、その見知らぬ男は楽しそうに笑った。
「おはよう。よく眠れたか?」
「眠り過ぎて頭がいてぇ…じゃなくて!あんた、誰だっつかここ何処だよっ!…あいつらは無事なのか?」
自分に散々言った相手を心配しているルークに男は顔を緩ませる。
「おい、アスラン。お前が言ってた通り可愛い生き物だな」
「陛下、その言い草は失礼ですよ。…言った通りだったでしょう?まっすぐで純粋な優しい方だと」
にこにこ笑う男二人をルークは怪訝そうに見る。
「イオン様は保護してありますよ」
「そうか!…大丈夫だったか、あいつ?」
「えぇ」
頷きながらにっこり笑うとルークも釣られて笑顔を見せた。
道中では全く見せなかった表情である。
「他の奴らは?」
「ルーク。俺はピオニー・ウパラ・マルクト9世。こっちはアスラン・フリングスだ。俺の部下が悪かったな」
問いに答えなかった。
それが答えだった。

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