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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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私の名前は最上キョーコ。
年齢は20歳で、芸名『京子』、芸歴4年のLME所属タレント。
でも、バラエティーよりドラマ出演の方が多いから、女優と勘違いされることが多い。

そんな私には今悩みがある。
今…っていうのは正確じゃないわね。
それなりに売れ出してから、って言った方が正しいかしら?
とにかく悩みがあるの!
それは……


誰かと会うたび「敦賀さん(くん)のことどう思ってるの?」って聞いてくること!!!


最初はそれほどじゃなかったのよ。
『Dark Moon』で共演した方に「どうなの?」って聞かれるくらいだったもの!
仲良しだって思われてたみたいだから、「敦賀さんですか?よくしてもらってますよ。後輩思いですよねぇ~」って正直に答えたのよ。
そう答えるたび唖然とした顔をされて、何故か涙ぐまれたわ。
緒方監督なんか、「敦賀くん…敵は強敵だよ!」って拳を握って敦賀さんを応援してたわ。
敵っていったい誰のことかしら?
まさか、あのバカショー…なわけないか(ある意味当たり
あの敦賀さんの敵になるような役者なんて心当たりないけどなぁ…。

でも、それは序章に過ぎなかったのよ。
次第に共演者からも聞かれるようになったの。
「敦賀さん(くん)とはどういう関係なの!」って。
それなりに親しくさせていただいているから正直に「それなりに親しい先輩と後輩だと思いますよ」って答えたわ。
聞いてくる人は女性が多かったから、誤解されたら表を歩けないと思って「すっごく崇拝してるんです!」って付け加えておいたわ。
すると、やっぱり何故か唖然とした後、涙ぐむ人と喜ぶ人の2パターンに分かれたわね。
だけど、数日経つをどの人も「敦賀さん(くん)が不憫だから、もっと意識してあげて!!」って言うのよね。
だから、「意識してますよ!演技で負けたくありませんから!」って言ったのに、「そういう意味じゃない!」って皆さん口を合わせて言うのよねぇ…
そういう意味じゃなかったら、他にどんな意味があるっていうのよ。
まさか、異性として意識しろってこと?
……ないない。

その後、「じゃあ、不破さん(くん)とはどんな関係?」って聞かれることも多くなって、不愉快だったから、「抹消したい腐れ縁」って答えたっけ。
この頃、アイツと幼馴染だってばれて、世間を賑わせたのよねぇ…
アイツのファンからのいやがらせがすごかったわ…。
しかも、アイツときたら「京子さんとは本当に幼馴染という関係だけなんですか?」っていう問いに笑顔で「ご想像にお任せします」なんて答えるんだもの!
沈黙は肯定と見做されるのよ!!
『不破尚と京子の熱愛発覚!?』なんて誤認記事出ちゃうし!
思わず、出会い頭に怨キョで総攻撃をしてしまったわ。
ついでに私の方はばっさり「不破尚さんとの関係?幼馴染なんていいものじゃないですよ、ただの腐れ縁です…本当に腐って溶けて消えてしまえばいいのに」って答えて、記者の人を真っ青にさせちゃったのよねぇ。
でも、その記事が出た日は、敦賀さんから神々スマイルを食らったっけ?
敦賀さんもアイツのこと嫌いみたいだし、すっきりしたのかしら?
でもって、何故かその後『不破尚、京子に片思い?!』なんて馬鹿馬鹿しい記事が出たのよねぇ。
ありえないったらありゃしないわ!
そんなにネタがないのかしら?

そのうち、何故か敦賀さんと遭遇する確率が増えたのよね。
カインと雪花を演じた後は、あまり接触する機会がなかったのに…まぁ、時々、社さんの依頼でお食事を作りに行ったりはしてたけど、敦賀さんの家と事務所以外で会う機会なんて殆どなかったのに…。
まぁ、少しは私も売れてきたってことなんでしょうけど、それでも何だか腑に落ちないわ…
それだけなら何で皆して敦賀さんのことを聞いてくるの?
仲違いをしていて、それの仲介を…っていうならわかるわよ?
だけど、別に喧嘩なんてしてないし(っていうか喧嘩なんて恐れ多くてできないわ)、関係はいたって良好で、問題なんて全くないのに。
しかも、敦賀さんのことを聞いてくる人って、何故か私が答えた後、敦賀さんに「頑張って下さい!応援してますから!!」って言うのよね。
もしかして、敦賀さんと話すきっかけを作りたくて後輩である私に話しかけてくるのかしら?
問いかけてくる人の皆が皆、敦賀さんのファンだなんて…流石は敦賀さんだわ!
でも、流石に何度も同じ問いをされる私としては素直に喜べないのよねぇ…


ねぇ、どう思う?
モー子さん、天宮さん!


「どうって、それは…」

「ねぇ…」

琴南と天宮は顔を見合わせ、はぁ…と深々と溜息を吐く。
会う人会う人に同じ問いをさせるくらいわかりやすい蓮の態度に気付いてないのは、この業界ではキョーコただ一人。
最初は蓮狙いの人も、その空回りっぷりに同情して、応援側に回るくらいだ。
尚狙いの人はキョーコの態度にこれ幸いと気付かせない方向に行っているらしいけど。

「え!わかるの!?」

「そりゃ、わかるわよ…ってか、私はずっと言ってるでしょ?あの人、アンタに気があるんだって」

「だから、それはモー子さんの考えすぎよ!確かに、以前みたいに生理的に嫌われてるってことはないみたいだけど、あの敦賀さんが私を好きだなんて、そんなことあるわけないじゃない!」

敦賀さんには4つ下の想い人がいるんだし…と心の中で呟く。
キョーコが『坊』として蓮からいろいろ聞いてるのを本人や社や琴南たちが知っていれば、「それは君(アンタ)のことだよ!」と教えてくれただろうが、生憎とキョーコが『坊』だということは今だ一部の人間しか知らなかった。
なので、最初から可能性を除外しているキョーコには、そういった言葉は馬の耳に念仏なのである。

「琴南さんの勘違いではないと思うけど…」

「え?天宮さんまで!」

「だって、敦賀さんがラブミー部に依頼するのって京子さんにだけだし」

「それは私が一番そういうのを依頼しても心が痛まないからでしょ」

「事務所で自分から話しかけて、そのまま会話をするのも京子さんだけだし」

「それは私が一番何かやらかしそうで怖いからじゃないかしら?この前も『また現場で君のメルヘン癖が出たようだね。もう少し気を付けた方がいいよ』って言われたし」

「車で送る女性も京子さんだけだし」

「私とならゴシップにさえならないと思ってるからじゃない?実際、何度も一緒に帰ってるけど撮られたことないし」

「形に残るプレゼントを渡すのも京子さんだけにだし」

「あれは、私なら勘違いしないって確信があるからじゃないかしら?他の人なら『もしかして、私のこと…』ってなるもの」

「家の中に入れるのもマネージャーの社さんを除けば京子さんだけ」

「それは、一度入れたら後は何度だって同じだと思ってらっしゃるのよ、きっと。ある程度信用して下さっているのは確かだけど、それは社さんに対する信頼に似たものだと思うわ」

ああ言えばこう言う。
キョーコの否定っぷりにある意味感心する二人。
何故ここまで否定できるのか、一度キョーコの脳の中を見てみたいと思ってしまったほどだ。

「……じゃあ、聞いてみなさい」

「え?誰に何を?」

「敦賀さんに『私のことどう思ってますか?』って」

「何でそんな聞かなくてもわかるようなことをわざわざ?」

「(えぇ!聞かなくったってわかるわよ、アンタ以外には!!)…いいから聞いてみなさい。じゃないと親友やめるわよ」

「いぃぃぃやぁぁぁぁああああああ!!!モー子さん、捨てないでぇぇぇぇええええええええ!!!!!」

泣いて縋り付くキョーコを「鬱陶しいわね、も~~~~!!!」と言いながら、引っぺがす琴南。
その頬が赤くなっていることに気付いた天宮は「琴南さん、相変わらず素直じゃないわね…」と思いながら一人暢気にお茶をすすった。

「ちゃんと聞くのよ?いいわね?」

「うん、わかった!!だから、親友やめないでね…?」

潤んだ目で上目遣いで見上げられ、ますます顔を赤くする琴南。
琴南でなくてもこの上目遣いに勝てる人間はいないだろう…
「わかったわよ!」と叫ぶ琴南を見ながら、「京子さんってホント最強よね…」と呟いた。
無自覚の勝利である。

 

数日後。
蓮に聞いてきたというキョーコが琴南と天宮にその時の言葉を告げた。

「えっとね、『私のことどう思ってますか?』って聞いたら、固まって無表情になって『この子のことだから深い意味は…』とかよくわからないことを呟いた後、『とても…大切な子だよ、君は』っておっしゃったの」

「……で?それを聞いたアンタの感想は?」

「やっぱり敦賀さんって後輩を大事にする人なんだなぁって思ったわ!」

「ホント尊敬するわ~」とキラキラとした目でその時のことを思い浮かべているのか天井を見上げるキョーコに琴南と天宮は額を抑えた。
キョーコの曲解ぶりはあれから4年経った今でも健在…どころかますます磨きがかかったようだ。

「…どう思います、琴南さん?」

「……どう聞いても告白よね。曲解しても、『妹のように思ってくれてる』…とかかしら」

「そうですよね。なのに、後輩に当て嵌めちゃう京子さんってある意味凄いですよね」

二人は顔を見合わせると、はぁ~~~~と深い溜息を吐いた。
マリアがこの場にいたのなら「幸せが逃げてしまいますわよ?」と言われたことだろう。

「で、キョーコ。アンタ、思ったことそのまま敦賀さんに伝えたの?」

「うん!ついでに『どこまでもついていきます!』って宣言しておいたわ」

「…その時の敦賀さんの反応は?」

「えっと……確か、何故か遠い目をして『うん…そんなことだろうと思ったよ。なんたって君だしね』とかよくわからないことをおっしゃって、『あぁ、でもついてきてくれるっていうなら、ずっと俺だけを追い続けてね?(キュラリ)』って言ってたわ」

「「………ヘタレ」」

「?」

役者として自分だけを追いかけてくるだけで満足しようとしている蓮に、二人は思わず呟いた。
ヘタレと言わず何と言おう。
ここ数年の付き合いで、キョーコが一筋縄ではいかないことは相手も重々承知しているはずだ。
なのに、いつも同じようなパターンで二の足を踏む蓮には呆れるしかない。

「とっとと、『愛してる』の一言でも言えばいいものを…」

「ですよね。芸能界1イイ男が聞いて呆れます」

「あれは芸能界1ヘタレな男でしょ。業界ではもうそう認識されてると思うわよ」

「確かに…」

二人は再びふっか~い溜息を吐くと、一人話がわかってないキョーコを見た。

「長期戦よね」

「あと何年かかるかしら?」

「モー子さん、天宮さん、何の話?」

「「芸能界1ヘタレでここ数年ずっと片思いしてる子に告白できない情けない男の話」」

 

―――キョーコと蓮が結ばれる日は来るのだろうか…?



 

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