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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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大きな衝撃がタルタロスに走った。
少佐は近くにあった伝声管を掴み「何事だ!」と叫ぶ。
『グリフィンの群れが!今、師団長が応戦してますが、持ちこたえきれません!!』
応答した兵士の言葉にその場にいた者は驚愕する。
グリフィンは群れをなさない魔物のはずなのに、その上わざわざ戦艦を攻撃するなど今まで事例がない。
「皆様、危険ですので部屋へお戻り下さい」
「…その時間はないようだけどな」
ルークがそう呟いた直後、階段から巨体が下りてきた。
「なっ…貴様!何者だ!!どうやってここに…」
少佐の言葉に巨体の男は鼻で笑う。
「死霊使いと真っ正面からやるのは分が悪いのでな、迂回させてもらった。さぁ、導師を渡してもらおうか」
「…六神将『黒獅子のラルゴ』か…」
イオンを背に庇いながらルークは剣を抜いた。
それを見て、カイルが渋い顔をする。
「カイル、見逃せ。緊急事態だ」
「…私が突破されたらお願いします。ですからそれまで手をお出しにならないで下さい」
「わかってるよ。…イオン、アニス、動くなよ?」
イオンは頷き、カイルたちが敵の気を引いてるうちにイオンを連れて脱出しようと思っていたアニスは内心嫌々頷いた。
「…導師を渡すつもりはないようだな」
「襲撃犯に渡す馬鹿がどこにいる。貴様の相手は私がしよう」
「カイル殿!相手ならば我らがっ」
客人にあたるカイルに戦闘をさせるわけにはいかないと少佐が剣を構えながら言うがカイルは首を降る。
佐官についているのだから、それなりにやるのはわかるが、六神将相手では分が悪い。
「少佐、マルクトの面子を考えればカイルが手を出すのはマズイと思うけどさ、カイルに任せてくれないか?俺らに喧嘩売った事を後悔させてやる」
暗く笑うルークに少佐たちもラルゴの後ろに控えている神託の盾兵たちも一瞬怯える。
その沈黙を肯定と取って、カイルは剣を構えると次の瞬間皆の視界から消えた。
「なっ!?」
一瞬で目の前に現れ、振りかざされた剣にラルゴは経験からくる勘で防ぐ。
「成る程…六神将の名は伊達ではないようだな」
「貴様っ…いったい何者だ?」
一旦、距離を置いたカイルにラルゴは憎々しげに問うと、カイルは微笑を浮かべながら答えた。
「白光騎士団所属ルーク様付き護衛兼特殊部隊副隊長、カイル・ライラック」
「カイルは軍から将軍職をやるから入ってくれって頼まれるくらいの実力者だから気をつけろよ、ラルゴ♪」
にっこりと笑いながら言われた言葉(敵に気遣われるという侮辱)とその態度にラルゴはかぁーっと頭に血が上り、後ろにいた兵士の剣を抜くとカイルの後ろに向かって投げた。
それは真っ直ぐルークの顔に向かい、避ける様子のないルークに誰もが当たると思ったその時…
「見くびるなよ」
剣は宙に浮いていた…否、ルークが片手で器用にも刃先を掴んでいた。
その手から血が出てる様子もない。
「なっ…」
「白光騎士団特殊部隊隊長、ルーク・フォン・ファブレ。お見お知りを」
笑顔のままそう言うと掴んだ剣を近くにいるマルクト兵に渡す。
「ルーク様、お怪我はございませんか?」
「ないよ。カイルは心配性だなぁ」
格の違いを見せられ、その上よそ見する余裕まで見せられて、ラルゴは(建前上では)導師に使う予定だった封印術を二人の頭上に投げた。
しかしそれも飛んできたナイフのせいで方向転換され、誰もいないところで発動する。
「何っ!?」
「ルーク様、あれは…」
「ティアのナイフ。タタル渓谷抜ける時、落としたのを拾っておいたんだ♪」
ジェイドに使われるものだとばかり思っていた封印術を投げられた時は驚いたが、その存在自体は想定していた為、ラルゴが箱を取出した時点で手に持っておいたのだ。
「これで打つ手はなくなったんじゃないか?ラルゴ」
「ちっ…」
ラルゴは舌打ちすると踵を返した。
慌ててその後を後ろに控えていた神託の盾兵たちがついていく。
「待てっ!」
「深追いするな、カイル。少佐、他とは連絡取れるか?」
「…ぁ、はい、確かめてみます」
ルークに言われて、固まっていた少佐は伝声管を手に取り「聞こえるか?応答せよ!」と言うが返事は返ってこない。
「…ここにいても仕方ない。ブリッジに出るか」
「危険ですが、ここにいては状況を把握できませんからね」
「それでいいか?」
事後承諾のような形になってしまったが異論はなく、皆頷いた。
「先頭と最後尾は我々が務めます」
「頼む。イオンとアニスは俺の後ろな?」
「ルーク様は私の後ろにいて下さいね?貴方様がお強いのは重々承知しておりますが、もし傷を負いでもしたら私は…」
「わかってるって!さっきのはイオンが後ろにいたし、嘗めてるようだったからパフォーマンスも含めてやっただけだよ。ちゃんと大人しく守られてますって!」
守られる義務がある、それはルーク自身がイオンに言った言葉だ。
そしてそれは自分にも適応する事をちゃんと理解している。
「カイルさんって~少し大袈裟ですよねぇ。ルーク様ってかなり強いんだしぃそこまで心配しなくてもぉ」
今まで大人しくしていたが、頼りになる同行者に安心したアニスは「ねぇ~、ルーク様もそう思うでしょ~」とルークにベタベタし出した。
それを見てルークは本性わかっちゃってるからなぁと苦笑し、カイルは顔をしかめた。
「大袈裟なものか!もしルーク様に一つでも傷があれば襲撃された日にいた者は全て首が飛ぶ!それに私…我々白光騎士団特殊部隊はルーク様に忠誠を誓っている。我らにとって公爵であろう誰であろうとルーク様以上に大切な方はいない」
「カイル…熱演ありがとう。お前が俺に忠実なのは充分知ってるから、もう止まれ。イオンたちが呆然としてるぞ」
はっとカイルは我に返り周りを見ると、カイルの熱の篭った言葉におされた兵士たちが呆然とカイルたちを見ている。
イオンはいち早く復活すると少し羨ましそうに微笑んだ。
「ルークは慕われてるのですね」
「う~ん…まぁ、そうなんじゃないかな」
照れたように笑った後、ルークは顔を引き締めた。
「もうすぐだな」
その言葉を他の兵士たちも我に返り、何があっても対処できるように武器を手に持つ。
そしてブリッジに出た。



----あとがき--------------------------
ルークは"未来"の記憶があるから"仲間"たちが何をやっても「しょうがないなぁ」とか「こいつ、こんな性格だったよな」とか懐かしく思うだけです。
何たってスレではなく短髪ルークだもん、この話。

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