本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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ブリッジは死臭が漂っていた。
「おそらく師団長ですね…」
乖離しきれていない数体の魔物の死骸を見ながら少佐が呟く。
どれも譜術の攻撃による傷を負っている。
「この様子なら師団長は無事なようですね。…まぁ、殺して死ぬような人じゃありませんし…」
確かに、とルークは内心頷く。
「とにかく移動しましょう。ここでは囲まれた時厄介ですよ」
「その通りだ」
上からの殺気にルークは後ろにいたイオンを抱え、そのルークをカイルが抱え、横に跳んだ。
殺気に気付かなかったアニスと最後尾にいたせいで避けそこなった兵士数人が降ってきた氷に当たる。
「ふんっ…いいご身分だなぁ、お坊ちゃま」
「貴様っ!この方を侮辱するならば黙ってはいないぞ!!」
叫ぶカイルを見て、最近なんだかカイルがキレやすいような気がする…とルークは内心苦笑した。
「まぁまぁカイル、落ち着けよ。守ってもらうような身分である事は確かなんだし」
「しかしっ…」
「はんっ!どうやら反論もできない屑のようだな」
「貴様ぁ!!」
「カイル!…こいつの神経逆なでるような事しないでくれないか?『鮮血のアッシュ』」
呼ばれたアッシュは目を見張り「何でてめぇが知ってる…」と呟いた。
「神託の盾騎士団特務師団長だろ?単独行動なんてしてていいのか?指示を出す立場の人間だろ、お前」
「うっせぇ、屑がっ!貴様に指図される覚えはねぇ!!」
剣を振り上げた恰好でアッシュはルークに向かって飛び下りる。
それをルークの代わりにカイルが受け止めた。
バンッ
「アッシュ!撤退だ、死霊使いが来るぞ」
リグレットはアッシュと剣を合わせていたカイルに向かって一度撃つ。
カイルは飛びのき、それを避ける。
「…死霊使いには封印術をかけたんじゃなかったのか?!」
「ラルゴが他の奴にかけようとした上、失敗した!」
「ちっ…使えねぇ」
アッシュはカイルと向き合ったまま後退し、逃亡した。
カイルは追うか追うまいか迷ったが、深追いは危険だと先程言われたばかりなので追わずにその場に留まった。
それにルークと離れるわけにはいかない。
「カイル、腕を見せろ。さっき『魔弾のリグレット』の撃った弾が掠ったろ?」
「いえ、これしき………お願いします」
断ろうとしたが、ルークの厳しい目付きに断ったら危険だと脳内で警報が鳴ったので渋々腕を出す。
「《ファーストエイド》」
第七譜術士の素質はあったようだから練習し、取得した。
生憎と回復呪文しか覚えられなかったが。
「ありがとうございます」
「おぅ!ちょっとした怪我でも後に響く事だってあるんだ、気をつけろよ」
「勿体ないお言葉にございます」
ルークとカイルがそんなやり取りをしている間、少佐たちが気絶しているアニスや兵士たちを起こす。
「おや…ここにいましたか」
「師団長!ご無事で何よりです。他に生き残った部下は…?」
訊かれたジェイドは悔しげに答える。
「半数やられました、他はあちらにいます。イオン様もルーク様もご無事なようで何よりです。お怪我はございませんか?」
「僕はルークに守ってもらいましたから」
イオンは困ったように笑った。
「…アニスに、ではなく?」
今だアニスはのびている。
それ一瞥した後、確認の意味を込めて尋ねるとイオンは曖昧に肯定した。
「導師守護役であるアニスは?」
「戦闘体勢もとらずにイオン様の隣を歩いておりました」
部下の返事の内容に流石のジェイドも呆れを隠せない。
「…ルーク様は?」
「俺はカイルに守ったから、大丈夫」
にっこり笑ってそう言うとジェイドは「そうですか」と少し安堵したようだ。
「神託の盾は撤退したようですが、残党が残っている可能性がありますので気をつけて下さい」
「あぁ。…このまま行くのか?」
「えぇ、ケセドニアまではそのつもりです。カイツールでタルタロスの整備と亡くなった兵の弔いの時間をいただいてもよろしいですか?」
「勿論。俺の方も鳩を飛ばしておくよ」
微笑みながら言われた言葉にジェイドも兵士たちも驚く。
「あの、ルーク…それは和平の取り次ぎをしていただけると言う事ですか?」
ジェイドたちの内心を代弁したかのようなイオンの言葉にルークはしっかり頷く。
控えているカイルは複雑そうな顔だ。
和平は成したいが、不敬の数々を不問にしただけでなく王への取り次ぎまでするなど寛大過ぎる。
「政治に参加してるって言っても屋敷に軟禁されてるから提案するくらいだし、王に直接会った事ないけど、それでもよければ」
「充分過ぎるくらいです。ありがとうございます」
礼を言われてルークは苦笑した。
こんなに真摯にジェイドに礼を言われたのは初めてな気がする。
「…タルタロスは動かせるのか?」
「えぇ、必要最低限のところに人を配置すれば何とか。部下たちに復旧作業をさせていますので部屋にてお待ち下さい。…少佐、案内を」
「了解しました。ルーク様、イオン様、カイル殿、ご案内いたします。…そこの兵!導師守護役を起こしておけ!!」
「はっ!」
再び中に入るとマルクト、神託の盾両軍の兵士の死体が転がっていた。
ルークはイオンの目を隠し、転ばないよう配慮しながら歩く。
貴賓室の方はイオンが不在だった為、殆ど兵は配置されていなかったので死体が見当たらなかった。
「…こちらになります。イオン様お一人では不安でしょうから扉で部屋が繋がっている部屋を選びましたが」
「俺はそれで良いよ。イオンは?」
「はい。是非ご一緒させて下さい」
「そう、良かった。カイルは?」
「異論はございません」
「そうですか。それでは、何かございましたら外にいる兵か伝声管を使ってお申し付け下さい」
少佐はそう言うと兵士を数名残して一礼してから立ち去った。
ルークたちはそれを見送った後、警戒しながら中に入り、残党がいない事を確認してから椅子の上に腰を下ろした。
-----あとがき-------------------------
次はカイツール
ガイ様出て来てねぇ
アリエッタも出て来ないし、ティアは牢屋だし、アニスは気絶中でタルタロス無事だからセントビナー寄らないし…
いや、ちゃんと考えたんですよ?
ジェイドが封印術くらってなかったら秘奥義使いまくって勝てんじゃね?とか思いまして…
ガイはきっと次出てきます
「おそらく師団長ですね…」
乖離しきれていない数体の魔物の死骸を見ながら少佐が呟く。
どれも譜術の攻撃による傷を負っている。
「この様子なら師団長は無事なようですね。…まぁ、殺して死ぬような人じゃありませんし…」
確かに、とルークは内心頷く。
「とにかく移動しましょう。ここでは囲まれた時厄介ですよ」
「その通りだ」
上からの殺気にルークは後ろにいたイオンを抱え、そのルークをカイルが抱え、横に跳んだ。
殺気に気付かなかったアニスと最後尾にいたせいで避けそこなった兵士数人が降ってきた氷に当たる。
「ふんっ…いいご身分だなぁ、お坊ちゃま」
「貴様っ!この方を侮辱するならば黙ってはいないぞ!!」
叫ぶカイルを見て、最近なんだかカイルがキレやすいような気がする…とルークは内心苦笑した。
「まぁまぁカイル、落ち着けよ。守ってもらうような身分である事は確かなんだし」
「しかしっ…」
「はんっ!どうやら反論もできない屑のようだな」
「貴様ぁ!!」
「カイル!…こいつの神経逆なでるような事しないでくれないか?『鮮血のアッシュ』」
呼ばれたアッシュは目を見張り「何でてめぇが知ってる…」と呟いた。
「神託の盾騎士団特務師団長だろ?単独行動なんてしてていいのか?指示を出す立場の人間だろ、お前」
「うっせぇ、屑がっ!貴様に指図される覚えはねぇ!!」
剣を振り上げた恰好でアッシュはルークに向かって飛び下りる。
それをルークの代わりにカイルが受け止めた。
バンッ
「アッシュ!撤退だ、死霊使いが来るぞ」
リグレットはアッシュと剣を合わせていたカイルに向かって一度撃つ。
カイルは飛びのき、それを避ける。
「…死霊使いには封印術をかけたんじゃなかったのか?!」
「ラルゴが他の奴にかけようとした上、失敗した!」
「ちっ…使えねぇ」
アッシュはカイルと向き合ったまま後退し、逃亡した。
カイルは追うか追うまいか迷ったが、深追いは危険だと先程言われたばかりなので追わずにその場に留まった。
それにルークと離れるわけにはいかない。
「カイル、腕を見せろ。さっき『魔弾のリグレット』の撃った弾が掠ったろ?」
「いえ、これしき………お願いします」
断ろうとしたが、ルークの厳しい目付きに断ったら危険だと脳内で警報が鳴ったので渋々腕を出す。
「《ファーストエイド》」
第七譜術士の素質はあったようだから練習し、取得した。
生憎と回復呪文しか覚えられなかったが。
「ありがとうございます」
「おぅ!ちょっとした怪我でも後に響く事だってあるんだ、気をつけろよ」
「勿体ないお言葉にございます」
ルークとカイルがそんなやり取りをしている間、少佐たちが気絶しているアニスや兵士たちを起こす。
「おや…ここにいましたか」
「師団長!ご無事で何よりです。他に生き残った部下は…?」
訊かれたジェイドは悔しげに答える。
「半数やられました、他はあちらにいます。イオン様もルーク様もご無事なようで何よりです。お怪我はございませんか?」
「僕はルークに守ってもらいましたから」
イオンは困ったように笑った。
「…アニスに、ではなく?」
今だアニスはのびている。
それ一瞥した後、確認の意味を込めて尋ねるとイオンは曖昧に肯定した。
「導師守護役であるアニスは?」
「戦闘体勢もとらずにイオン様の隣を歩いておりました」
部下の返事の内容に流石のジェイドも呆れを隠せない。
「…ルーク様は?」
「俺はカイルに守ったから、大丈夫」
にっこり笑ってそう言うとジェイドは「そうですか」と少し安堵したようだ。
「神託の盾は撤退したようですが、残党が残っている可能性がありますので気をつけて下さい」
「あぁ。…このまま行くのか?」
「えぇ、ケセドニアまではそのつもりです。カイツールでタルタロスの整備と亡くなった兵の弔いの時間をいただいてもよろしいですか?」
「勿論。俺の方も鳩を飛ばしておくよ」
微笑みながら言われた言葉にジェイドも兵士たちも驚く。
「あの、ルーク…それは和平の取り次ぎをしていただけると言う事ですか?」
ジェイドたちの内心を代弁したかのようなイオンの言葉にルークはしっかり頷く。
控えているカイルは複雑そうな顔だ。
和平は成したいが、不敬の数々を不問にしただけでなく王への取り次ぎまでするなど寛大過ぎる。
「政治に参加してるって言っても屋敷に軟禁されてるから提案するくらいだし、王に直接会った事ないけど、それでもよければ」
「充分過ぎるくらいです。ありがとうございます」
礼を言われてルークは苦笑した。
こんなに真摯にジェイドに礼を言われたのは初めてな気がする。
「…タルタロスは動かせるのか?」
「えぇ、必要最低限のところに人を配置すれば何とか。部下たちに復旧作業をさせていますので部屋にてお待ち下さい。…少佐、案内を」
「了解しました。ルーク様、イオン様、カイル殿、ご案内いたします。…そこの兵!導師守護役を起こしておけ!!」
「はっ!」
再び中に入るとマルクト、神託の盾両軍の兵士の死体が転がっていた。
ルークはイオンの目を隠し、転ばないよう配慮しながら歩く。
貴賓室の方はイオンが不在だった為、殆ど兵は配置されていなかったので死体が見当たらなかった。
「…こちらになります。イオン様お一人では不安でしょうから扉で部屋が繋がっている部屋を選びましたが」
「俺はそれで良いよ。イオンは?」
「はい。是非ご一緒させて下さい」
「そう、良かった。カイルは?」
「異論はございません」
「そうですか。それでは、何かございましたら外にいる兵か伝声管を使ってお申し付け下さい」
少佐はそう言うと兵士を数名残して一礼してから立ち去った。
ルークたちはそれを見送った後、警戒しながら中に入り、残党がいない事を確認してから椅子の上に腰を下ろした。
-----あとがき-------------------------
次はカイツール
ガイ様出て来てねぇ
アリエッタも出て来ないし、ティアは牢屋だし、アニスは気絶中でタルタロス無事だからセントビナー寄らないし…
いや、ちゃんと考えたんですよ?
ジェイドが封印術くらってなかったら秘奥義使いまくって勝てんじゃね?とか思いまして…
ガイはきっと次出てきます
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