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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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ギアス作品を全て別館に移しました
別館にはこのブログのリンクからいけます!

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「ジェイド、街道を使う許可がおりたはずだが、ケセドニアで待機している部下たちに先に作業をするよう手配はしたか?」
「…いえ、まだ」
「なら、速い鳩を貸すから手配しておいてくれ。作業は早いに越した事はないからな」

ルークは謁見の間を出た後、扉の前に控えていたカイルを連れて屋敷に戻り、カイル含む特殊部隊に任務を申し渡した。
内容は謁見の間で決めた通りルークの護衛。
決行が明日という事で騎士たちは驚き、戸惑いながらも指示に従い荷造りをする。
ルークはというと手掛けていた書類をできるだけ処理し、当たり障りのない書類(でも結構重要)は信用している貴族を呼び出し引き継いでもらった。
そして、メイドに必要なものを詰めておくように言うと荷造りを終えたカイルを引き連れてジェイドの泊まる宿に訪れたのだ。

「経路について相談したくて来たんだ。海路と陸路、どっちにするつもりだ?一応、公式では海路を利用する事になってるけど…」
「そうですね…六神将や和平反対派による妨害を考慮に入れると陸路の方が好ましいですが…」
「つまり、陛下が手配した正式な部隊を囮にして俺らは陸路で確実に行くって事か?」
"ジェイド"が前回選んだ方法を言うとジェイドはあっさり頷いた。
今回のジェイドは厭味も言わないし、あっさりし過ぎてて気持ち悪い。
「…囮には公式で名が発表されているヴァン謡将に頼もうかと思っているんだが…」
「それが妥当ですね。彼も罪人ですし、襲われても返り討ちにする程度の力はある」
「カイルはどう思う?」
「私も同感です。囮に使うなら彼が適当でしょう」
カイルの返答にルークはしっかり頷く。
「なら、海路は陛下が派遣された部隊とヴァン謡将に、陸路はジェイドたちと俺と白光騎士とティアと…ガイ・セシルか…」
ガイの名にぴくりとジェイドとカイルが反応する。
カイツールで見た限り、ガイは公私の区別がつけられない。
連れて行くべきではない事は明白だ。
「ルーク様、ガイ・セシルも連れて行くのですか?畏れながら、彼は使用人として未熟です。彼を連れて行って恥をかくのは主人であるルーク様です。私は賛成できません」
「…わかってるよ、カイル。あいつの態度は屋敷の中だからこそ許されるものだ…いや、中でも歓迎されない態度だろうな。だから父上から言われた。最後の、チャンスだそうだ…父上が、道中で問題があったようなら解雇しろと…」
今までは屋敷の中だけだったから厳しいクリムゾンも目をつぶってきたのだ。
しかし、外でも同じ態度を取るというのなら話は違う。
そんな態度を取られて困るのはルーク…そして恥をかくのはファブレ家だ。
「そういう事に関して俺は甘いから決定権はカイル、お前に託すそうだ」
「私に、ですか?よろしいので…?」
決定権があるのならすぐにでも首を斬りたいと日々思っていたカイルである。
道中と言わず今この瞬間に解雇したいくらいだ。
「あぁ、任せる。ジェイド何か聞いておきたい事とかあるか?」
「いえ、特には…」
「じゃあ、ゆっくり休んでくれ。明日の朝、準備が整い次第、城の前に集合だ」
それだけ言うとルークはカイルを連れて屋敷に戻った。
念の為にジェイドの部下に鳩を送ったか確認してから…

「イオンは"前回"通り掠われるのかな…」
「ルーク様、何かおっしゃいましたか?」
「いや、気にしないで良い。独り言だ」


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やっとテスト終わりましたぁ~!!
でもってキリリクUPしました。昨日ですけど…
Mシリーズ第三弾…になるのかな?
一個目はジェイドMに目覚める、で
二個目はマルクト、Mの悪夢を見る…ってとこですかね?
で、三個目が今回更新した『MとSの世界』ですね…
タイトルまんまだし…思いつかなかったんです…
このシリーズを書き始めた時からヴァンはMって決めてたんですけど、その事をいつ出すか迷ってたんで、今回のリクエストは嬉しかったです。
Mを沢山作りたいなぁって思ってたんですけど、なかなか該当しそうな人がいなくて困りました(笑
ガイとジェイドは既にMだし、ミュウも元からM…ディストもMで他に誰がいるだろう?と悩みました。
まず、PT内だとティアとアニスは傍観要員だし、ナタリアは天然S…
キムラスカだとインゴベルトとクリムゾンはやられ要員でシュザンヌ様はドS、セシル将軍もSっぽいのでMいないし…
マルクトはピオニーはSで、アスランもどっちかっつーとSっぽいし…(Sなアスラン話書きたいなぁ…)
ダアトだとアッシュは可哀相な人でシンクとリグレットはS、イオンもS、ラルゴはノーマルでアリエッタは天然S…
で、消去法で残ったのがモースでした。
漆黒の翼の男二人もMでいいかなぁっと思ったんですけど、名前が出てこなくて…
ギンジとノエルはS寄り(いや、ギンジはMでもいけるかも?)



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模試やって、終わったらテスト勉強…マジでイヤになります…
サイト更新したいんですけどね……
テスト終わったら、キリリク更新します!



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明日は模試があって、明後日からは中間テスト……いぢめだぁ…
フリルク(アビス)が見たい、スクツナ(復活)が見たい、藤ルル(ギアス)が見たい、室青(踊る)が見たい…っ!
早く受験生やめたいです!!



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TOAとは別に最近はギアスにもはまっています。アニメ見た事ないのに…(笑
CPは相変わらずマイナーでシュナルル・藤ルル・ディゼロ…シュナルルはともかく後の2つはめっさ少なくて悲しいです。アニメ見てれば自分でも書くのになぁと思いながら探しています。
あと、女の子×ルルも好きです。ナナルルとかカレルルとかミレルルとか…。傾向はゼロバレ、皇族バレで、ルルーシュ至上
まぁ、とにかくスザク厳しめだったらなんでもOKかなぁ。スザルルはなんとなくダメです。あの甘ちゃん思考がちょっと…内側から壊せるんならルルが皇族に戻って従順に見せ掛けてやるって!と思いました。

兄バカクロルルとか騎士設定ロイルルとかも結構好きですv



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受験生なのにまだ更新をやってるおかしな霧崎です。
TOAではフリルクにモエています!
公式ではフリセシだけど、好きなんですよねぇ…フリルク
優しくて穏やかな優男なのに軍人なアスランと王族のレプリカなルーク…やばい、この設定だけでパラレルかけそう…


ある日ルークは外が見たくて屋敷を抜け出します。二十歳になるまで家から出るな、なんて耐えられない!と、警備の騎士たちの目をかい潜って脱走。気付いた時には姿がなく、騎士たちは慌てて公爵に報告し、家の中や街中を大捜索。
一方、ルークはというと初めての外に胸をときめかせています。大きな空、沢山の人、沢山の建物…目をキラキラさせて街中を歩き回っていたルークは突然誰かに捕まります。自分を捜しに来た白光騎士と思いきや、全然知らない男性です。ルークが用件を訊く前に男はルークの口を塞ぎ、何かを嗅がせます。眠気に耐え切れず倒れたルークを男は抱き抱え目立つ髪を自分の上着で隠すとそのままバチカルの外へ。おわかりの通り誘拐です。
馬車の荷台にほうり込まれたルークは目を覚まし、男たちの話を聞いてマルクトに誘拐されそうになっている事を知ります。ルークは逃げるために馬車から飛び降り、犯人たちは気付かずそのまま進みます。ルークは縛られたまま落ちたので受け身が取れず、脳震盪を起こし再び気絶。
それを見つけたのがもちろんアスラン!魔物の討伐に駆り出され、ケセドニアの近くまで来ていたアスランが道で何か倒れてるのを発見して近寄ってみるとフードを深く被った少年が縛られていた。驚いたアスランはとりあえず少年を抱き上げ、取ってあった宿に連れて帰ります。部下に人払いを頼んで少年をベットに寝かせると、縄を解きフードを取ります。すると出てきたのはキムラスカ王族の証である赤い髪…アスランは驚き、その少年をまじまじと見ます。フード付きのマントの下は上等そうな服。アスランは誘拐されそうになって逃げ出したのだろうと判断します。
キムラスカの方では大騒ぎです。大事な跡取りが消えたわけですから。どこを捜しても見つからない事にヴァンは焦ります。もしかして害されて乖離してしまったのではないかと。焦ったヴァンはアッシュを言い含めてファブレに戻します。戻ってきたルーク…しかも記憶があるルーク様に周りは大喜び。アッシュも満更でもありません。
今だ目覚めないルークの素性を調べていたアスランは誘拐されたが帰ってきたルークの話を聞いて驚きます。赤い髪の少年はおそらくルーク・フォン・ファブレだと思っていたからです。調べても拾った少年くらいの年頃の王族はルークしかおらず、困ったアスランはDNA鑑定(あるのか?)をする為にルークの髪を一本抜きます。すると、驚いた事にその髪の毛が跡形もなく光となって消えさります。そこでアスランはもしかしたからルークはレプリカなのでは?と気付きます。
数日後、目覚めたルークは見知らぬ場所に驚き、アスランを警戒します。アスランは事情を説明し、ルークに名を尋ねると素直なルークは「ルーク・フォン・ファブレ」とあっさり答えます。それを聞いて、彼は今までルークとして生きてきたのだろうと見当をつけます。ルークはアスランにさっさと家に帰せと言いますが、アスランは迷い、困ったように笑った後自分の聞いた話をルークに話します。"ルーク"は既にファブレ邸にいる事、おそらくルークはレプリカだという事。ルークはショックを受け、俺は人間じゃなかったんだ、だから皆俺に厳しかったんだ…と心を閉ざします。起きたばかりの時はころころ変わった表情が今は人形のように全く変わらなくなってしまった事にアスランは話した事を後悔します。

「ルーク…私と一緒にグランコクマに来ませんか?」
「…」
「髪は染めていただく事になりますし、以前のような良い生活をさせてあげる事もできないと思いますが…」
「……なんでそこまでするんだ?敵国の王族のレプリカなんて厄介なだけだろ…殺せば良い、死体は残らないんだろ?」
暗い目をしてそう言ったルークにアスランは悲しくなる。
「そんな事言わないで下さい…私は貴方が死んだら悲しいです」
「でも…」
「…実は私はまだ独身でして。独り身で寂しいので一緒に暮らしてくれませんか?」
「……うん…」

って感じでアスランとルークは一緒に暮らします。この頃は親子みたいな感じ。で、どんどん仲良くなってフリルクになればいいなぁ…。

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「ちょっと待って下さいよぉ~!確かにそこのお坊ちゃまが名を騙ったのは不可抗力かもしれませんけどぉ、アクゼリュスを崩落させたのは事実だしぃ、イオン様にも失礼な事言ったり…さっき将軍はぁそのお坊ちゃまは間違った事言ってないって言いましたけど、全然そんな事ないんですよぉ?」
黙り込んだナタリアを援護するように口を挟んだアニスにアスランは物騒な色を宿した目で睨む。
「いいえ。彼の言った事は的を射てます。彼は親善大使です。キムラスカ王の名代なんです。つまり、ルーク殿は貴女々一行の中で一番偉い存在…王命に逆らったナタリア様よりも偉い存在です。彼を馬鹿にする事は即ちキムラスカ王を馬鹿にする事。そしてカーティス大佐…貴方はマルクト皇帝、ピオニー陛下の名代です。貴方がルーク殿を蔑ろにするという事はマルクトがキムラスカを蔑ろにする事と同じ…。その事をちゃんと考えて行動しましたか、貴方は?それからルーク殿の言った事は当たり前の事です、親善大使であるルーク殿が一番偉い、そしてそのルーク殿の命に従うのは当たり前のはず…何故軍人と王族を同列に考えているのです?それからアニス・タトリン…イオン様に失礼な事を言った、とはアクゼリュスに赴く際の事ですか?」
「ぇ…あ、そうです」
アニスは何故知ってるのだと訊きそうになって、アスランがルークの記憶を見たと言っていたのを思い出す。
「あの事に関しても私はルーク殿が正しいと思います…それどころか、本来なら貴女が言うべき事でした」
「私、が…?」
「当たり前でしょう。貴女は導師守護役…イオン様を守り安全を謀る義務があるはず…ならば貴女が真っ先に反対すべきでした。身体の弱いイオン様が強靭な男たちでさえ倒れてしまうような瘴気で覆われた地に向かう事を、その身を危険に曝すわけにはいかないと貴女は止めるべきでした…主人を軽んじていると取られてもおかしくありません」
アスランの言葉にアニスは真っ青だ。
これほどかみ砕いて言わなければ理解できないのか、とアスランは呆れ気味だ。
「完全なる職務怠慢です…あぁ、この件に関しては私に裁く権利はありませんが、別件でアニス・タトリン…貴女にはマルクト軍本部へご同行願います」
「は、ぃ?」
「言ったはずです。ルーク殿の目で見て、イオン様の耳で聞いた事を体験した、と。…わかりませんか?」
アニスはぎこちない動きで後ろを振り向くと顔を蒼白にしたイオンの姿。
それを見てアニスはイオンが知っていたのだと気付き、ガクガクと身体を震わせる。
「貴女に拒否権はありません。それから六神将『鮮血』のアッシュ…タルタロス襲撃の実行犯として貴方にも来ていただきます」
「まぁ!アッシュは本物の"ルーク"ですのよ?」
口を挟んだナタリアにアスランは目を細めた。
ジェイドは呆れの表情を作り、ガイは頭を抱え、唯一ティアだけはナタリアに同意するように頷いている。
「…そうだとしてもアッシュが"ルーク"様だという事実はキムラスカにとって受け入れがたい事では?」
「…どういう、意味ですの?」
「そのままの意味です、ナタリア王女。タルタロスを襲っただけならまだしも、彼は自国であるカイツールを襲撃しています…それも命令ではなく彼自身の意志で。そのせいでキムラスカは何億という負担と国民の命が失われました。そのキムラスカが彼をキムラスカ王族である"ルーク・フォン・ファブレ"と認め、歓迎できるはずがない」
ナタリアもアッシュも漸くその事に気付いたのか真っ青になる。
今更だ。
「私は今、部下を連れていません。ですのでカーティス大佐、二人を拘束し、連行して下さい」
「…部下を連れていないのは気付いていましたが、何故です?」
「ここに来た手段が私にしかできなかった、としか言いようがありませんね」
「貴方にしかできない手段?」
「えぇ。ローレライに送ってもらったのです。この方法は監視者にしかできませんから」
急ぎでしたしね、と固い表情で言う。
「…ルーク殿とイオン様については私の名に置いて保護させていただきます。彼ら二人も監視者ですから私と同じ方法で移動できますしね」
「お待ちなさい!その偽者は罪人ですのよ!保護など必要ありませんわ!!」
まだそんな元気があったのか…とアスランは頭が痛くなった。
「彼については事も地位も大き過ぎます。ですので判断するのは陛下であり、一介の軍人でしかない私が判断する事はできません。そして、判断されるまでは彼は偽者であろうと本物であろうと親善大使だった"ルーク・フォン・ファブレ様"です。拘束などできるはずがありません」
そう説明し「イオン様もこちらへ」と呼び寄せる。
イオンは震えているアニスの後ろから抜け出し、一度悲しそうにアニスを見た後、アスランの方に近付いた。
「では皆さん、私たちは先にグランコクマに戻ります。カーティス大佐、罪人二名とできれば罪人ティア・グランツも拘束し、本部に送り届けて下さい。仮にも左官の軍人なんですからそのくらい出来ますね?」
アスランのジェイドを見る目は冷たい。
ジェイドはその理由を理解しているので逆らわず「了解しました」と静かに言った。
「あぁ、それからもう一度言っておきます…貴方々は世界の審判より失格と見做されました。よって、世界の加護を失い、恐らく譜術は使えないでしょう」
アスランはそう言って薄く笑った後、イオンとルークそしてずっとルークに抱き着いていたミュウと共に掻き消えた。


「ここは…」
「ん?起きたか」
「ぅわぁっ!誰だ、あんた!!」
見知らぬ人間のドアップに驚き、ベットから転げ落ちるルーク。
その反応を見て、その見知らぬ男は楽しそうに笑った。
「おはよう。よく眠れたか?」
「眠り過ぎて頭がいてぇ…じゃなくて!あんた、誰だっつかここ何処だよっ!…あいつらは無事なのか?」
自分に散々言った相手を心配しているルークに男は顔を緩ませる。
「おい、アスラン。お前が言ってた通り可愛い生き物だな」
「陛下、その言い草は失礼ですよ。…言った通りだったでしょう?まっすぐで純粋な優しい方だと」
にこにこ笑う男二人をルークは怪訝そうに見る。
「イオン様は保護してありますよ」
「そうか!…大丈夫だったか、あいつ?」
「えぇ」
頷きながらにっこり笑うとルークも釣られて笑顔を見せた。
道中では全く見せなかった表情である。
「他の奴らは?」
「ルーク。俺はピオニー・ウパラ・マルクト9世。こっちはアスラン・フリングスだ。俺の部下が悪かったな」
問いに答えなかった。
それが答えだった。

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アスランがローレライ!なネタ(声優ネタ)をやろうとしたけど断念。
難し過ぎる…ので少し改造♪
で、出来た話がこちら↓↓↓↓


「世界の審判が下されました。貴方々は失格だそうです」
こんな所にいるはずのない人間が出会い頭に言い放った言葉に気絶しているルークを除いた全ての者が訝しげにその人物を見た。
「フリングス、将軍?何故貴方がこのような所に?それに失格とは…」
このような所、とはユリアシティの事である。
知っているのはほんの一部の人間だけであり、将官とは言え一介の軍人が知っているはずのない場所である。
「そのままの意味です、カーティス大佐。世界がそう判断しました。…今まで貴方を尊敬していた自分が恥ずかしい…」
「だからぁ~、その世界の審判とか失格とかどういう意味ですかぁ~?なんか、咎められてるっぽいですけどぉ、それだったらそこで倒れてるお坊ちゃまだけなんじゃないですかぁ~?」
そう言って侮蔑の目をルークに送るアニスにアスランは目を細める。
元々嫌悪に満ちていたアスランの雰囲気が更に険悪になった事にアニスは気付かない。
「…彼は別です。彼とイオン様、ついでに言うならそのチーグルは元々対象外ですから」
「ますます意味がわかりませんわ!はっきりおっしゃって下さいまし!!」
「…そうですね。お話ししましょう」
そう返答すると、アスランは倒れているルークを抱き上げ、その同行者たちを見た。
「…世界の意志であるローレライは世界をより良く導く為に各国に一人ずつローレライの代わりである監視者を置きました。そして、それぞれに役割を与えました。目はキムラスカに、耳はダアトに、口はマルクトに…。そして、今代監視者に選ばれたのは私とイオン様とそしてルーク殿なのです」
「待って下さいまし!そこにいるルークは偽者ですわ!!ここにいるアッシュが本物ですものっ!」
ナタリアの言葉にアスランは険しい表情でナタリアを睨んだがほんの一瞬の出来事だったのでジェイド以外の目にはとまらなかった。
「……アッシュ殿は名を捨てた時点で世界から"ルーク"ではない、と判断されましたので監視者の役目は今のルーク殿に引き継がれました」
「あの…フリングス、将軍…であってますよね?」
「えぇ。申し遅れました。ピオニー陛下より将官を戴いております、アスラン・フリングス少将であります、導師イオン」
にこりと初めてアスランが微笑んだ。
それはイオンだけに向けられたものであり、他の者を見る目は冷たい。
「あの、僕が監視者だと言われても何がなんだか…」
「監視者に自覚はありません。何か問題があった時だけ、ローレライの口の役割をしているマルクトの監視者から世界に告げられるようになっています。ですからすぐに進言できるよう、監視者はその国の中枢にいる人間に限られるそうです。そして今回、ルーク殿の目で見て、イオン様の耳で聞いて、ローレライは貴方々を失格と見做しました」
アスランの説明で漸く何となくだが理解し、最初に言われた事に繋がった。
しかしそれは反発を覚えるものでしかない。
「それはルークの目から見たからでしょう?そんなの理不尽だわ!」
ティアの言葉に皆頷く。
不都合な事は全てルークのせいになるらしい…とアスランは内心嘲笑した。
「…ローレライ曰く、ルーク殿の目で見た世界は純粋だったそうですよ。ついでに言うならばルーク殿とローレライは完全同位体ですから尚更ありのままが見えたとおっしゃってました」
まだ文句が言いたそうな面々を眺めつつ、アスランは話を続ける。
「しかし、私もそれでは納得できませんでしたのでローレライに反論しました。そしたらローレライは『片割れの見た世界を、ダアトの監視者が聞いた世界を見せてやろう』…そうおっしゃって擬似体験をさせて下さいました」
「それなら私たちが悪くない事くらいお分かりになったでしょう!悪いのはその大罪人だと!!」
高らかに叫ぶナタリアにアスランは「いいえ」と首を振った。
「彼の言っていた事に殆ど間違いはありませんでしたよ。まず、カーティス大佐…貴方は彼を拘束し、和平の取り次ぎをしなければ逮捕すると言って彼を脅した。そして、本来なら守らなくてはならないはずの彼を前衛に立たせた」
「それはルーク自身が戦うと…」
「それをどうあっても止めなければならない立場の人間でしょう、彼は王族ですよ。それとも、貴方は陛下が前衛に立って戦うと言ったのなら戦わせるのですか?」
「っ…」
答えはわかりきっている。
ジェイドは俯き、唇を噛んだ。
アスランの言っている事に矛盾はない…まるで本当にその場にいて見てきたようだ。
「その上数々の不敬…申し開きが出来る段階の話ではありません。それに、何故ティア・グランツを捕えなかったのです?」
「え?私っ?」
「はい。警備を眠らせ公爵家へ不法侵入、公爵子息の誘拐、王族に戦闘の強制、並びに身分差を弁えぬ発言と行動の数々…王族を誘拐したなどその場で首を落とされても文句の言えない大罪を犯していたにも関わらずカーティス大佐、貴方はそれを見逃しましたね?」
その通りなのでジェイドは反論しない。
ティアは「夫人は許して下さったわ!」と喚いているがアスランは無視する。
ここまでかみ砕いて言ったというのに理解できないティアに呆れ返ったからだ。
「次にガイ・セシル。主への不敬、職務怠慢、そして個人的に言わせてもらうなら育て親である貴方は最後までルーク殿を庇わなくてはならなかった…貴方が一番知っているはずでしょう?ルーク殿が七年の記憶がないと…七歳児と変わらないのだと…」
アスランの言葉にガイははっとしたように抱き抱えられているルークを見た。
その瞳には後悔の念が映っている。
「それがどうしたと言うのです!アクゼリュスを崩落させ、長年我がキムラスカ・ランバルディア王国を欺きルークの名を騙った大罪人ですわよ!」
そう叫んだナタリアにアスランは軽蔑の視線を送る。
ずっと黙っているアッシュも七年もの間共に過ごしてきたルークをあっさり切り捨てるナタリアに驚愕してナタリアを凝視した。
「欺き、騙ったと…?おかしな事をおっしゃいますね。この方をルーク様だと偽って連れてきたのはヴァン・グランツ。それを信じ、この方をルークだと認めたのは貴女々でしょう?それとも"戻ってきたルーク様"が『自分はルークだ!』とおっしゃったとでも?名を騙ったとはそういう事ですよね?」
「っ!!」
アスランの言い分にナタリアは言葉を詰まらせた。
"戻ってきたルーク"は喋るどころか立つ事もできなかった。
その彼が名を騙るなどできるはずがない。

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「ルーク・フォン・ファブレ子爵、参上致しました」
父に連れられ登城したルークはそう言って膝をついた。
"前回"はそんな事すら思いつかなかったし、それどころか乱入である。
恥ずかしい限りだ。
「顔を上げよ。久しいな…記憶を失って以来か…」
「はい。ご無沙汰しております」
「そう畏まらずとも良い。…お主の法案は良いモノばかりであった…これからも期待しておるぞ」
「恐れ入ります」
これからなんてないと知っているくせに、と毒を吐きたくなったが我慢する。
そんな事を口にすれば今までの苦労が水の泡だ。
アクゼリュスに行ってパッセージリングを操作しなくてはならないのだから。
「ここに呼んだのは他でもない。お主に親善大使としてアクゼリュスに行ってほしいからだ」
「…私に、ですか?恐れながら陛下。私は政治に参加してると言っても今まで外に出た事なかった未熟者です。いきなりそのような大役を任されても…」
「わかっておる。だがお主がアクゼリュスに行く事は預言に詠まれているのだ」
「…預言、ですか」
「佐用。導師、これを詠んでいただけますかな?」
大臣が持ってきた石を差し出すと、イオンは戸惑いながらもその石に触れ、預言を詠み出した。
曰く、聖なる焔の光がアクゼリュスに行く、という内容のもので、続きは石が割れていた為詠めなかった。
「…わかりました。お受けしましょう」
「そうか!ルークならそう言ってくれると思っていた。明日にでも出発しなさい」
いくらなんでもそれでは準備期間が短過ぎるのでは…とその場にいた他の貴族たちは不審に思ったが、当のルークは「拝命しました」とあっさり了解したので、疑問に思いながらも口に出す者はいなかった。
「白光騎士団の手持ちの騎士を護衛として連れて行ってもいいですか?」
「カイル・ライラックの事か?」
「いえ、彼もですが王族の護衛として一人では少な過ぎるでしょう。私の手持ちの一部隊持っていきたいのですが…」
王族ならそれくらい当たり前である。
寧ろ一師団あっても良いくらいだ。
しかし、ルーク手持ちの部隊と言えば白光騎士団の中でもよりすぐりである。
一人一人が軍の将官並の力を持っており、いずれも国ではなく公爵でもなくルークのみに忠誠を誓っている騎士たちだ。
預言の続きを知っているインゴベルトとしては彼らという戦力を失うのは痛い。
だが、ここで拒めば不審に思う人間も出てくるだろう。
「…良かろう」
インゴベルトが頷いたのを見て、今まで静かにやり取りを見ていたナタリアが「お父様!」と叫んで立ち上がった。
「やはり私も一緒に参りますわ!ルーク一人では不安ですもの」
その言葉はルークをけなしているものだと気付いていないナタリアは、その言葉を聞いて顔を歪めているクリムゾンやルークの手腕を尊敬している貴族たちに気付かない。
「ナタリア…駄目だと昨日も言ったろう」
「しかしルークは先日まで外に出た事すらなかったのですわよ?婚約者として私が支えて差し上げなければ!」
外に出た事なかったのは王の命令だったからであり、ルークの意志ではない。
それにルークは既に一人前の貴族で、自分の力で爵位も授かっている。
外に出た事がなくとも臨機応変でやり遂げるほどの力はあるのだ。
「恐れながら、ナタリア王女」
「なんですの?ファブレ公爵」
「貴女の役割は我が息子が無事にやり遂げる事を信じる事のはず。それとも、ルークでは貴女の信用に値しないと、そうおっしゃるのですか?」
「まぁ、何を言ってるんですの?私はルークを信じていましてよ。それとこれとは話が別ですわ」
クリムゾンの言いたい事を全く理解していないナタリアにその場にいた殆どの者が内心頭を抱える。
インゴベルトも自分の娘の理解力のなさに呆れたのか、溜息をつき「ルークについてゆく事を禁ず。これは勅命だ、ナタリア」と最終手段に出た。
言われたナタリアは渋々引き下がったが納得はしていないようだ。
きっと今回もこっそりついて来るだろうなぁとルークは苦笑した。
「…陛下、ティア・グランツはどうなりました?」
「おぉ、そうであった。ティア・グランツは罪を軽減するのために同行させる事になった。ヴァン・グランツも同様だ」
やはり、か…とルークは眉をひそめた。
それを勘違いしたのか慌ててインゴベルトが言葉を続ける。
「王族の屋敷への襲撃と誘拐。それに王族への不敬。本来なら即刻首を落とすべき罪だがティア・グランツがやった事は重過ぎて彼女の死だけでは償いきれぬほどだ。だから、兄であるヴァン・グランツと共にアクゼリュスに派遣し、役に立ったのなら罪を軽減してから刑に処す事になっておる」
「…そうですか」
アクゼリュスから帰還できたらティアの罪の軽減を申し出てみようと決意する。
彼女が何故兄を襲うなんて暴挙にでたのか、その理由を知ればもう少し猶予が与えられるだろうし、罪も軽くなるかもしれない。
「では陛下、導師イオン、明日の準備がありますので御前を失礼させていただきます。カーティス大佐、明日からよろしく頼む」
ルークはそう言って礼を取ると書類の引き継ぎや旅支度をする為にその場を辞した。


――あとがき―――――――――――――
礼儀がわからない…
どうやれば失礼じゃないんだろう?

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