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本能の赴くままに日記や小説を書いています。
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さぼりぎみですみません…
一応、スローペースですが執筆はしてます!…よ?
upできるのはいつになることやら……(ぉい

コミックス買いました!
ようやく、カインとセツが見れたよ…ノ
カインこわっ…でもって、セツ美人wwww

ではでは、拍手返信ですvv


2010/10/12
>perorin さま
返事が遅くなってしまい、申し訳ありません。
キョーコちゃん、久しぶりに描いたので、そう言っていただけると嬉しいですwww
頑張って、小説の方も書きますね!!
ではでは。
拍手ありがとうございました!

拍手[1回]

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久々にキョーコちゃん描いてみた…けど、なんか違うorz

kyoko.png










ただ、綺麗に描こうとするより、雑描きの方が上手いような気がするのは気のせいだろうか…?
いつもの1/3の時間で描いたキョーコちゃんでした!

拍手[5回]



「もう…無理だっ!」

そう言って、蓮はキョーコをソファの上で押し倒した。
肩を掴まれ、いきなり押し倒されたキョーコはのしかかってくる巨体に目を見開く。

「なにを…」

「いい加減気付いてくれ!俺は君が好きなんだ!」

蓮はボサボサな長い前髪の間からキョーコを真剣な目で見つめる。

「好きだ…君が、好きなんだ!!」

ーーさやかっっ


「はい、カット~!迫真の演技だったよ、敦賀くん。すごく切羽詰った感じが出てた!京子ちゃんもよかったよー。次もその調子で頼む」

「「ありがとうございます」」

二人の演技を褒める監督に二人は揃って礼を言い、ソファの上から退く。
蓮は名残惜しそうに…キョーコはそんな蓮には気付かず普通に。
そして、蓮は社のところへ、キョーコは自分の荷物が置いてある椅子のところに向かうと、用意しておいた飲み物を口に含んだ。

そう…先程のやり取りは実際のことてまはなく、演技…ドラマの中の話だったのである。
キョーコ演じる『さやか』は外ではクールビューティー、家ではおとなしめで、心優しい女性だった。
そんな『さやか』が蓮の役である『たかし』に出会うのは、ある雨の日…
背中を曲げ、俯いたまま雨に濡れていた『たかし』を『さやか』が傘に入れてあげたことが、二人の始まりだった。
冴えない格好で顔を隠し、木偶の坊のようにぬぼっと立っていた『たかし』を誰もが避ける中、ただ一人、「こんなに濡れて、どうしたんですか?」と声をかけてくれたことは『たかし』にとって思いがけない出来事であった。
その出会いをきっかけに連絡を取り合うようになった二人…そして、次第に『さやか』に惹かれていく『たかし』。
ある日、自分の恋心にカケラも気付いてくれない『さやか』に『たかし』は思いあまって告白するのだが…
これで告白が成功すれば、ハッピーエンドで終わり、となるのだが、実はこの場面、冒頭にすぎない。
ついでにいえば、『さやか』はヒロイン役ではないのだ。
この後、『たかし』は『さやか』に「貴方はいい男なんだから背筋を伸ばして前を向いてみなさい。そしたら、違う世界が見えてくるから」と言われ、「外に出て、それでも私がいいって言うのなら、その時は考えるわ」と言われて、振られる(?)のだ。
『さやか』に背を押された『たかし』は言われた通り、猫背気味だった背を伸ばし、長い前髪を切って俯いていた顔を上げる。
それだけで世界が変わったように見えた『たかし』は、運命の人に出会う…

といった感じのストーリーであり、『さやか』は物語のキーパーソンではあるものの、最終的に結ばれる相手ではない。
そのことを蓮は残念に思い、キョーコはほっとしていた。

「お疲れ様、最上さん」

「お疲れ様です、敦賀さん!鬼気迫る演技で、危うく呑まれてしまうところでした…」

「そう?最上さんの戸惑う演技も全く違和感なくてよかったよ」

「ありがとうございます!実は、先程監督にも言われたんです。あんな風に敦賀さんに迫られたら、殆どの人は赤面したり台詞と違うこと言っちゃってNGになるのに、一発で演じられるなんて凄いって。あまり、嬉しくない褒められ方でしたけどね」

そう言って苦笑するキョーコに、蓮も微笑む。
いっそ、他の人と同じようにうろたえてくれたら、脈があるかもって期待できるのにな、と内心思いながら。

「キョーコちゃん、お疲れ~」

「あ、社さん」

「またキョーコちゃんの演技が直接見れて嬉しいよ」

「あ、ありがとうございます!」

「でも、少し残念だなぁ…」

「え?」

「相手役じゃなくて。『さやか』も重要な役だけどさ、どうせならヒロインだったらよかったのに…」

そう言って、蓮を見ながらによによ笑う社に、蓮は素知らぬ顔で気付かないふりをする。
ここで反応すれば、社に遊ばれると、経験上わかっていたからだ。

「と、とんでもない!!敦賀さんの相手役だなんて…想像しただけでも恐ろしいわ……」

「…それ、どういう意味かな?」

キョーコの失言に反応した蓮は、にこにこと笑顔でキョーコに詰め寄る。
よくわからないが、地雷を踏んだということだけ理解したキョーコは真っ青になり、降参ですとばかり両手を挙げて後退った。

「そ、そのですね、敦賀さんの相手役なんて、例えドラマの中だけの話でも日本中の女性が羨むことでして…そんな役をやったら私、外を歩けなくなります!」

「そんなことないと思うけど…」

「いいえ、あるんです!私、まだ死にたくないんです!」

必死な顔でそう訴えるキョーコに蓮は微妙な顔をする。
嫌いという意味合いではないことは嬉しいが、ここまで必死に拒否されると複雑だ…

「…そう」

「はい!でも、共演できたのは本当に嬉しいです 」

「俺もだよ」

でも、できるなら社さんが言ったように相手役だったらもっと嬉しかったんだけどね…

そう内心思いながら、蓮は微笑む。
救いといえば、『さやか』が誰かと恋人になる…なんて展開がないことか。
自分と以外のラブシーンなんてできれば見たくないと思っている蓮にとって、そのことは大きかった。

「そういえば…キョーコちゃん」

「はい?」

「今日って次のシーン終わったらあがり?」

「はい、そうですけど…」

「じゃあさ、蓮に食事を作ってやってくれないかな?こいつ、今日全然食べてないんだー」

「え、本当ですか?」

「ちょっ、社さん!」

目を見開くキョーコと焦る蓮。
そんな二人を見ながら社は「ホントホント!」と肯定して、キョーコに「頼むよキョーコちゃん!」とお願いする。
キョーコは「わかりました!」と敬礼すると、さっそくメニューを考え始める。
そんなキョーコを見た後、勝手に予定を立てられた蓮はギロッと社を睨むように見た。

「どういうつもりですか、社さん」

「どういうって、そりゃ、そういうつもりで…」

「言葉遊びをするつもりはありません」

「こわっ!…ただ、お前は『たかし』みたいに他の子を見るようなことはないだろうけど、『たかし』と『さやか』みたいな関係で終わる可能性はあるからな。少しでも一緒にいて意識されるように…と思う俺の気遣い」

「…余計なお世話です。接触が多かろうが少なかろうが、最上さんは変わらないと思いますよ」

「けど、機会は少ないより多い方がいいだろ」

「それはそうかもしれませんが…」

「お前なぁ、その調子じゃ『たかし』と『さやか』のイイ友達でいましょうね、ならぬイイ先輩後輩でいましょうね、で終わるぞ」

「………」

その言葉に蓮は無言で眉を寄せる。
『たかし』と『さやか』の最終的関係は社の言った通り『イイお友達』
『さやか』の裏設定である恋愛音痴なところにキョーコを重ね、『たかし』に感情移入しかけている蓮にとって、社の言葉は笑い事ではなかった。

「ま、とにかく地道にいけ!」

「…はい」

渋々返事をしたところで監督から「次のシーンいくぞー」と声がかかる。
そのタイミングの良さに聞こえいたのでは…と思ったが、隣で考え事をしているキョーコにすら聞こえない小さな声で会話していたので、それはないかと思いながら、蓮はキョーコに「だってさ」と微笑みかけた。

「あ、最上さん」

「はい?」

「夕食、ハンバーグがいいな」

「わかりました!滅多にない敦賀さんからのリクエストですからね、腕によりをかけて作らせていただきます!」

「ありがとう」

とりあえず、まずは君の好物は俺にとっても好物だよってところからアピールしてみるか…

社が聞いたら「地道すぎる!」と言われそうなことを考えながら、蓮は意識を切り替えて、『たかし』になったのであった。




-----------------
リハビリ第1段!
iPhoneにしてから、初めての更新です。
…ちょーうちにくい…
携帯だった頃の2倍くらいかかってる気がします…

就活をしないといけないので、更新速度がやばいくらい落ちると思います。
更新を楽しみにして下さっている方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。

拍手[45回]



「ねぇねぇ、京子ちゃんは好きな人とかいないの?」

「えっ?!」

共演している女性たちと他愛ない話をしていた時。
必然的に恋ばなになり、皆好きな人や好きなタイプを言い合っていた。
もちろん一番多かったのはキョーコの尊敬する先輩である蓮で、「遊びでいいから付き合いたい」と冗談と本気が入り交じった意見がちらほら。
流石は敦賀さんよね…としみじみ思っていた時、話に夢中だった女性の一人が聞くだけで話に加わっていないキョーコに話を振ったのだ。

「あ、わたしも気になる~。京子ちゃんって好きな人いないの?」

「やっぱり敦賀さんとか?仲良いって聞くし」

「やぁん、ずる~い!あたしも敦賀さんと仲良くなりたぁい」

「あ!それとも尚とか?」

「レイノくんとも仲が怪しいって聞いたことあるわよ?」

「誰が本命なの?」

そう言って殆どの女性に詰め寄られたキョーコは顔を引き攣らせ、後ずさった。
誰かをそういう意味で好きになるなんて、そんな馬鹿女に成り下がるつもりは二度とないし、崇拝する蓮をそういう意味で好きだなんて恐れ多い。
尚とレイノは問題外で、寧ろ抹消したい男たちである。
しかし、キョーコと彼らとの間にある因縁を知らない共演者たちは一般的にイイ男と称される男たちと仲の良いように見えるキョーコとの仲が気になるようで、吐くまで放さないとばかりの形相だ。
助けを求めてキョロキョロと周りを見回しても、目が合う前に逸らされ絶体絶命。
そんな中、現場に現れたある男性と目が合い、キョーコはぱぁっと明るくなった。

「社さん!」

「へ?」

現場に入るなり、名前を呼ばれた社は驚いて変な声を出す。
そんな社に気付いているのか、いないのか…キョーコは共演者たちに視線を戻すと、はっきり言った。

「わ、私、社さんみたいな人がタイプです!!」

こう言えば、この場を切り抜けるし、社なら後で事情を話せばいいやと清々しい笑顔を浮かべるキョーコとは逆に、おどろおどろしい雰囲気を隣から感じ取った社の顔は真っ青である。

「へぇ、京子さんって、社さんみたいな人がタイプなんだぁ」

「そういえば、よく話してるわよね」

キョーコの想い人が蓮じゃなかったことに安心したのか、共演者たちの雰囲気が柔らかくなる。
一部、社狙いだった女性の雰囲気は逆にきつくなったが、蓮派や尚派に比べれば少数派だったので、キョーコは気にしないことにした。

一方、解放されたキョーコとは逆に絶体絶命のピンチに陥った社は恐る恐る隣の男の顔色を窺う。
すると、その男――蓮は社の視線に気付き、キュラキュラとした笑みを浮かべた。

「ん?どうしたんですか、社さん?」

「(目!目が笑ってないから!!)」

蓮の機嫌に敏感なキョーコも蓮の機嫌が急激に落ち込んだことに気が付き、「社さん、何か地雷を踏んだのかしら?」と他人事のように考える。
自分の発言のせいだとは微塵も気付いていない。

「……まさか、最上さんの好きな男性のタイプが社さんだったとは…」

「蓮!あれはたまたま俺と目が合ったからであってだな…」

「だったら、隣にいる俺だっていいじゃないですか」

そんなことを言う蓮を呆れたように見る社。
仮に蓮がタイプでも、それを口に出すような自殺行為をキョーコがするはずがないし、自分が女でもしない。
関わりが薄い人間が何を言おうと彼女たちは気にしないだろうが、キョーコのように交流のある人間が言えば、たちまち周りは敵ばかりになるだろう。
そんなことも理解できないのかとじと目で見ると、そういう訳ではなかったらしく、拗ねたようにそっぽを向いた。
八つ当たりの自覚はあったらしい。

「お前なぁ……」

「…すみません」

「まぁ、いいけどさ。好きな子に他の人がタイプだって言われたら、誰だってショックだろうし」

何より、完璧人間で「お前、ホントに20歳の若造か?!」と言いたくなるような態度だった以前より、今のように感情を外に出して年相応の態度を取る蓮の方が社的には好ましい。
マネージャーとしてなら、以前の手がかからない『敦賀蓮』の方が良いだろうが、当たり障りのない態度を取り、浅い人付き合いしかできなかった以前より、キョーコと出会った後の方が輝いてみえるから、社はマネージャーとしてあるまじきことだが、キョーコへの片思いを応援している。

によによと含み笑いを零す社に、蓮は嫌そうにそっぽを向く。
それを見たキョーコは、「機嫌は戻ったみたいだけど…?」と首を傾げた。

「ねぇねぇ、京子ちゃん」

「ふへ?あ、はい」

「社さんに告白とかしないの?仲良いし、いけるんじゃない?」

「そんな、滅相もない!良くしてもらってますけど、そういうのじゃなくて妹みたいに可愛がってもらってるって感じですし」

私も兄みたいに慕ってるだけで、本当はタイプってわけじゃ…ってか、タイプなんてないわよ。私は恋なんてしないもの!
と、キョーコは内心呟く。
しかし、社がタイプだと誤解している周囲は少しでも障害を排除したいのか、しきりに社との交際を奨めてきた。
タイプと言っただけで、実際に好きかどうかは言っていないのにだ。

「それなら、尚更告白すべきよ!」

「そうそう。告白されたら、社さんだって意識せざるをえないだろうし」

「京子ちゃんならいけるわよ!!」

何を根拠に……と思ったが、顔にも口にも出さない。
こういう展開になったら、何を言っても無駄だと知っているキョーコは、左右にいた女優に背中を押され、仕方なく社の前まで出向いた。

「社さん………」

「きょ、キョーコちゃん……」

キャーキャーと大きな声で騒いでいたから聞こえていたのだろう…狼狽している社に他人事のように同情したキョーコは、しかし、言わねば終わらないと口を開いた。

「好きです、社さん。よろしければ、付き合って下サイ」

役者にあるまじき棒読み、無表情、しかも最後の方はカタコト。
更に、死んだ魚の目みたいな目で言われては、キョーコの本意ではないことがありありとわかる。
蓮が恐い社としては助かるのだが、こうはっきりと「対象外です」みたいな言われ方をすると流石に悲しい。
だからと言って、演技力を駆使して告白されても困っただろうが。

「あー………ごめんね、キョーコちゃん。キョーコちゃんのことは妹のように可愛く思ってるけど…」

その返事を聞き、がっかりした者、喜んだ者、感謝した者、複雑な者に分かれた。
後者の2つは言わずともわかるだろうが、キョーコと蓮である。

「わかりました。はっきり言って下さってありがとうございます」

ぺこりと頭を下げると、キョーコはまた輪の中に入っていく。
戻ってきたキョーコに、大半は残念そうに肩を下げながらキョーコを慰め、社派の女性たちは残念そうな顔の裏に笑顔を隠してキョーコに労りの言葉をかけた。

そんな様子を複雑そうに見る二人。

「……ずるいです、社さん」

「ずるい?!待て、蓮。今の告白のどこがずるいんだ。全く心の篭らない棒読みの告白だぞ!」

こんな告白されたって虚しいだけだろ!と小声で叫ぶ社。
器用である。

「でも、『好き』って言ってもらえたじゃないですか…」

俺だって一度も言われたことないのに…
ムスッとしながらそう言う蓮に、社はあんな『好き』でもいいのか、お前…と呆れ返った。

「お前なぁ、目標はもっと高く持てよ。笑顔で『大好きです!』って言われるとか」

「……琴南さんにでもならない限り、無理な気がしますけど」

「うっ…」

「あとは妖精とか王子様とか。社さんは俺にお伽話の登場人物になれとでも?」

「それはだなぁ………」

言葉に詰まった社だが、ふと、ある人物を思い出して、ぼんっと手を叩いた。

「琴南さんや妖精や王子様でなくても、好かれてる人物、いるじゃないか!」

「え…?」

「クーだよ、クー。クー・ヒズリ!実際言ったかはわからないけどさ、あの懐きようにクー自慢の数々…あの様子なら、大好きって言うのも抵抗なさそうじゃないか?」

その言葉に蓮は目を見開き、次の瞬間、ブラックホールを作り出す。
一気に下がった温度に気付いたのは、やはりキョーコと社だけで、社は「地雷踏んだっ」と青ざめ、キョーコは「大魔王~っ」と怯えた。

「クー・ヒズリ、ね…」

蓮にとって…いや、久遠にとって、敬愛する父であり、越えるべき壁でもある男。
最近、ある意味キョーコが作ったとも言えるきっかけで和解したが、蟠りが消えたわけではない。
そんな微妙な関係であるクーの位置は、蓮の中で曖昧で、確立していない。
前回キョーコによるクー自慢をされた時は和解したばかりでクーを大好きだった久遠の気持ちが抜けていなかったため、笑顔で共感し、「本当に久遠の気持ちを掴んでるなぁ」と感心していられたが、あれから大分経った今、第三者から聞かされるともわもわと微妙な感情を抱かざるをえない。
もし、俺には好きといえないのに父さんには言えるのだとしたら、父さんに敵対心を持つかもしれないな…と、クーが聞いたらいじけて泣き出しそうな事を思いながら、蓮は固い表情で共演者たちと話しているキョーコを眺めた。

「お、おい………蓮さーん?」

「…どうしたんですか、社さん。いきなり"さん"付けで呼ぶなんて」

「あ、いや…あのだな…俺が言いたかったのは、お伽話の住人や琴南さんにならなくても、まだ希望はあると……」

「あぁ………そうなんですか。ありがとうございます」

どうやら、クーの名前を出したのは、短期間しか接してないのに懐かれたという蓮に対する厭味ではなく、励ましのつもりだったらしい。
社が蓮の心をえぐるような厭味を言うはずないのに、どうやら過剰反応し過ぎたようだ。

「すみませーん!準備お願いしまーす!」

蓮が自嘲しながら社に礼を言った瞬間、蓮たちが到着したことに気付いた監督がスタッフに指示を出し、そのスタッフが出演者たちに声をかける。
「今行きます」と座っていた椅子から立ち上がりセットに向かう役者たちと、次のシーンに必要ないため待機する役者たちに分かれる。
蓮は前者であり、持っていた荷物を社に託すと『敦賀蓮』の顔を瞬時に作ってセットに向かい、歩き出す。
そんな蓮を見送っていた社は、ふと次のシーンのやり取りを思い出し、ぐふふと笑った。

「蓮!」

「なんですか、社さん?」

「良かったな。次のシーン、キョーコちゃんからの告白シーンだろ?」

「………社さんはホント、俺の神経を逆なでするのが得意ですね」

「えぇ?!」

棒読み無表情の告白でも羨ましがる蓮だから、きっと喜ぶだろうなと思って言った言葉だったのに、そんな反応を返され、驚く社。
そんな社を一瞥して、蓮は再びセットに向かう。


――役への告白と自身への告白は違うんですよ…


特に、役になりきってどころか役として生きるキョーコのような役者なら尚更。
蓮は深く深く溜息を吐くと、今度こそ俳優『敦賀蓮』になって、セットの中で待つキョーコに微笑みかけた。




―――――――――――――――――――
何が書きたかったのか、途中でわからなくなった………orz

拍手[45回]


熱いですねぇ…
テストが終わり、頼まれていた仕事も終わり、よっしゃ!休みだぜ☆
…と思ったのもつかの間のことでした。
明日から合宿ですよ、部活の。
めんどー(ぉい

ははは…ってことで、返信です。


7/25
>きゅ。 さま
拍手ありがとうございますww
蓮を翻弄させて終わるか、それとも返り討ちになるかは少し迷いました…。
蓮は「夜の帝王」ですからね…なっちゃんでも勝つのは難しいかなぁと思ったんで、カオリになっちゃんを呼んでもらいました(笑
きっと、蓮たちに背を向けた瞬間、「危なかった~…」って思ってますよ、キョーコちゃん。
DMで再合流したら、きっと謝り倒しますよね、きっと(苦笑


7/26
>あっちー さま
拍手ありがとうございます!
流石ですよね、蓮は(笑
キョーコちゃんから攻めるより、外堀埋める方がよほど楽だと判断したに違いない!
キョーコちゃんってば、にぶにぶですからねぇ~。
モー子さんまで巻き込むあたり、どれだけ余裕ないか丸わかりですよね…。


7/27
>しう さま
拍手ありがとうございますw
私の中でもアスランは穏やかなイメージですね。
だって、アスランだし←
最初は厳しめにしようかと思ったんですけどね、たまにはと思って…
特にナタリアは最近捏造ナタリアでナタルクを読んでいたせいか、そこまで厳しくしなくても…という気分になったので(笑
フリルク…増えるといいですよね。
いつか、自分で書かなくても満足できるくらいフリルクを読んでみたいです!(笑

拍手[1回]


※あまり厳しめな傾向はないと思いますが…しいて言うならキムラスカ厳しめ?





「ルーク殿…私のところに来ませんか?」

そう言って手を差し延べてくれたのは、銀色の青い軍人だった。



「もう!ルークってば、どうして返事くれなかったの?たくさん手紙出したんだよ!」

「ごめん、アニス」

ヴァンの剣が無くなっていると報せを受け、前回と変わらぬ同行者たちと合流したルークは会うなりそう言われて謝った。
他のメンツも同じように文句を言ったが、ナタリアだけは複雑そうな顔をしてルークから視線を逸らした。

「(あぁ、ナタリアは知ってるもんな)」

偽姫だったとはいえ、王族として認められたナタリアはルークが手紙を読めなかった理由を知っている。
というより、読めない状況に追いやった一人であると言った方が正しい。
しかし、ナタリアが知っているのはルークがファブレにいない――否、いれない事情だけで、今までどこにいて何をしていたのかは全く知らなかった。


ヴァンを倒し、外殻大地を無事に降下させたルークを待っていたのは、王位継承権の剥奪、そして“ファブレ”を名乗ることを禁ずるというものだった。
レプリカの身でありながら、7年もの間、王やそれに連なる貴族、そして国民を騙していたことは許しがたいことだ。
しかし、本来ならば死を持って償わせるべきことだが、外殻大地降下の功績を考慮し、王位継承権剥奪、名の返上、バチカル追放のみで許そう…
―ようは、レプリカを王族として扱うわけにはいかないから、身分を返上して、ここから出て行け…ということだ。
そう言い渡された際、ナタリアもその場にいたが、自分可愛さと「被験者ルークが帰ってこないのはレプリカルークがここにいるからだ」と言われたことで、ルーク追放を反対することなく躊躇いがちにだが、しっかりと同意した。
行き場のないルークは「承知しました」と承諾することしかできず、その日のうちに荷物と与えられた金銭を持って追い出された。
それゆえにルークに対して、後ろめたく思っていたナタリアは、ガイたちマルクト組かティアたちダアト組を頼ると思っていたルークが同行者の誰にも頼っていなかったことを合流した際の会話で知り、ますます後ろめたくなってルークと目を合わせることができなかった。
だが、そんな事情を知らない一行は、ルークがファブレ公爵邸にいたと思い、手紙を出し、キムラスカが発表した『大地降下は“ルーク・フォン・ファブレ”の功績』という言葉を純粋にルークが認められたものだと思っている。
その発表の意味を知っているのは、このメンバーではルーク本人とナタリアだけだ。
ジェイドは薄々感づいているかもしれないが、ルークがファブレを追い出されたことはまだ知らないのだろう。

「ルーク!」

純粋に再会を喜ぶ一同とは別に二人だけは微妙な空気を作っていたが、その声に、その空気は霧散した。

「あ。アスラン!」

小走りで近寄ってきたその人物の顔を見て、ルークの顔が明るくなる。
しかし、些細な変化だったため気付く者はおらず、明らかな変化である呼び方に対して皆反応した。

「えっ?!何で、フリングス将軍とルークが親しげなわけ?」

「あまり接点なかったよな?」

不思議そうな一同に、アスランはにっこり笑ってみせる。

「実は、ルークには我が師団の剣術指南をしていただいているんです」

「えっ?!俺、知らないぞ?」

「…私も知りませんでしたが」

アスランの言葉に反応するガイとジェイド。
そんな二人にアスランは平然と「伝えておりませんから」と言った。

「キムラスカ王族の特徴を持つルークにマルクト軍人の指導を堂々としていただくわけにはいきませんから、陛下と我が師団しか知りません」

「そうなのか?俺くらいには教えてくれたって…」

「ガルディオス伯爵は陛下の覚えもめでたく、注目の的ですからね。その伯爵に話して、頻繁に私のところを訪れることになっていたら、何かあるのではと勘繰った輩が現れ、ルークの存在が公になる可能性も否めません。同様に、あまり接触のないカーティス大佐がいきなり私のところに来るようになっても不自然だと思いましたので、報告を控えさせていただきました」

何か不満でも?と無言で問われ、二人は口を噤む。
そんなことはないと否定するのは簡単だが、知っていて、全く会いに行くことはないかと尋ねられれば答えは否だ。
そんな自分を自覚しているため、二人は反論することはなかった。

「へぇ~。でもぉ、ルークに指導なんてできるんですかぁ?」

「もちろんです。ルークの剣は実践的ですから、とても勉強になりますし、珍しいアルバート流ですからね。ルークに指南を受けようと長蛇の列ができるくらいです」

ルークには無理なんじゃない?と含みのあるアニスの問いにアスランは即答する。
裏のなさそうな笑顔で答えられ、アニスはいつものように「うっそだぁ~」と茶化すこともできず、「そ、そうなんですかぁ」と引き攣り笑顔で引いた。

「…あの、ルークが指南役をしているのはわかりましたが、何故ルークに指南役を?接点もあまりなかったと思いますが」

「あぁ、そのことでしたら、ルークが何か自分にできることはないかと尋ねてきましたので、ルークの剣に興味があった私が陛下の許可を得てお願いしたんです」

「え?ルークがフリングス将軍に?」

「えぇ。家にいるだけでは暇だったみたいで…」

「べ、別に暇だからだけじゃなくてっ」

「わかってますよ。私の役に立ちたかったんですよね。嬉しいです」

「っ////」

にこにこと笑顔を絶やさないアスランと真っ赤になるルーク。
その会話の内容に一同が疑問符を浮かべる中、ナタリアだけは目を見開き、二人を凝視していた。

「家にいるだけって…あ!もしかしてルークってば、フリングス将軍の家にお世話になってるの?バチカルとグランコクマ往復するのきついもんねー」

「半分当たりで半分外れ、かな」

「ふぇ?」

「ルークは私のところに"住んで"いるんですよ、タトリンさん」

「は?住んで、って…だって、ルークの家はファブレ公爵の……」

疑問をそのまま口に出すと、アスランは苦笑し、ルークは目を伏せ、ナタリアはびくりと震えた。
前者二人の反応も気になったが、それ以上にナタリアの反応が気になったアニスを筆頭に、ティアやガイ、ジェイドはナタリアを見る。
ナタリアは集まった視線にますます震え、血の気の引いた顔でルークを見つめた。

「ルー、ク……」

「そんな顔しなくても俺は気にしてないよ、ナタリア。俺がレプリカだって知ったあの日から、居場所を失う覚悟はあったんだから」

「ですがっ!わたくしは…私は貴方も私と同じで己の意思で居場所を奪ったのではないと知っていたのに…っ」

意味深なその言葉に一同が首を傾げる中、ジェイドだけはその言葉の真意を読み取っていた。

「成る程。つまり、ルークは王族として受け入れられず、功績もキムラスカが認める"ルーク"…つまり、被験者であるアッシュに奪われた、ということですね?」

「えっ?旦那、それってどういう…」

「おかしいと思ってたんですよ。キムラスカがあれほどあっさりとルークを讃えるような発表をするなんて。我が子がすり替えられていることに気付かなかったファブレ…ひいては王家にとって、ルークの存在は言っては難ですが、汚点のようなものです。ナタリアに関しては赤子だったからまだしも、10年も共に過ごしてきた"ルーク"の違いを見抜けなかったのは汚点以外のなにものでもありません」

「旦那!ルークやナタリアがいる前で…」

「……よいのです、ガイ。事実ですもの。キムラスカはレプリカは認めないと言ってルークを追い出し、大地降下の功績を被験者ルークであるアッシュのものにするために、"ルーク・フォン・ファブレ"の名で公表したのですから…アッシュがいずれ戻ってくることを想定して」

ナタリアの言葉に事情を知らなかったメンバーは絶句する。
逆に疑問を持っていたジェイドは納得し、アスランは隣にいるルークの髪を優しく撫でた。

「えっと…それでルークはマルクトに?」

「いや、最初はケセドニアにいたんだ。和平が結ばれたとはいえ、流石に俺の見た目でマルクトうろつくのはなって思ってさ。ケセドニアなら職を探すのも楽かなぁって思ったし」

「ちょうどその頃、私は私用でケセドニアにいて、凄腕の傭兵の噂を聞きまして。見たこともない剣の型を使うと聞いて、興味本意で会いに行ったんですよ。デマではなく本当に素晴らしい力を持つ方なら、軍に興味はないかと誘いをかけるつもりで」

「そしたらその傭兵が俺で、すっげぇアスラン驚いてたよな」

「それはルークもでしょう。第一声が」

「「どうしてここに?!」」

「だったもんな」

「ですね」

くすくすと笑い合う二人。
その時のことを思い出しているのだろう。
あの時の顔は面白かっただの、その後の慌てようが見ていて微笑ましかっただの、言い合うルークとアスラン。
内輪で盛り上がる二人に、続きが気になる他のメンバーはそわそわと二人を見つめていたが、途切れる様子がなかったため、周りから視線を受けたガイが代表して躊躇いがちに割り込んだ。
いつものことながら、不憫な役回りである。

「コホンッ。…あー、その、それでどうなったんだ?」

「あぁ、申し訳ありません。話の途中でしたね。その後、ルークから当たり障りのない事情を聞いて、私のところに来ないかとお誘いしたんです」

「迷ったけど、アスランが俺のことを心底心配してるのがわかってさ。この人なら俺を放り出したりしないかもって思って、手を取ったんだ」

「その後、陛下に連絡を入れたら、ルークの戸籍をマルクトに作って下さいまして、一応家も用意して下さったのですが、ルークがそこまでしてもらうわけにはと恐縮してしまいまして」

「それでアスランのとこに世話になることになったんだ。最初はそれも申し訳なくて断ったんだけど、アスランが一緒にいてほしいって言ってくれてさ」

「せっかく手の届くところにルークがいるのに、離れて暮らすなんてもったいないですからね」

「あっ、アスランっ////」

顔を赤くするルークに今更隠すこともないでしょう?とアスランが微笑む。
その笑みはどこか悪戯げで、その珍しい笑みに一同は唖然とする。
何となく会話から二人の関係を察していた者は一人は虚ろな目で遠くを見つめ、一人は「お父さんは認めませんっ」と泣き叫び、一人はなにやらメモを取っている。
察していなかった一人はルークに対して淡い恋心を抱いていたため、ショックで砂と化していた。
ただ、ナタリアだけは淋しげな笑みを浮かべ、「貴方は自分で幸せを掴んだのですね、ルーク…」と二人の仲を祝福した。

「私たちが…私が貴方にしたことは決して許されることではありませんが…どうか、貴方たちの幸せを願うことだけは許して下さいませ」

「許すも許さないも…確かに最初は自分たちの都合で俺をことを切り捨てたキムラスカを恨めしく思ってたけどさ…アスランに会って、毎日が幸せなんだ。ずっとバチカルの屋敷にいたら、感じられなかった感情だと思う。今の生活があるのは、ある意味キムラスカのおかげだから、俺、恨んでもないし憎んでもないよ」

「そう、なのですか…ありがとうございます、ルーク」

幸せを感じることができないと断言されたキムラスカの在り方を嘆くべきか、ルークに幸せを感じさせることができるアスランを羨むべきか……
どちらにしろ、ルークを切り捨てた自分が抱くべき感情ではないと思ったナタリアは、ただ微笑んで二人を見つめた。


「幸せに………ルーク」




―――――――――――――――――――
久々のフリルクです。
あまり甘くないですけど…
最初はナタリアも厳しめにしようかと思ったんですが、しっかり後悔してもらうことにしました。
あ、本文の「自分可愛さ」ってのは、ルークを追い出すことに反対したら、自分も一緒に切り捨てられるのではないかと思ったからです。
…補足しないとダメな文って……orz

最近の傾向的に、仲間厳しめじゃないのは珍しい気がします…まぁ、ティアが空気ですけど。

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「背を向けたら斬る」


文が途絶えた父を探しに京に来た千鶴は、浪士に追われ、羅刹に襲われ、新選組に結果的には助けられたものの、機密を見てしまったため捕まった。
その場にいたのは三人。
副長である土方歳三、一番組組長沖田総司、三番組組長斎藤一。
そのうちの一人、副長の土方は先に戻ると言って一足先に屯所に戻ってしまったため、残された二人で千鶴を見張りながら歩いていた。

「あ、あの…っ」

「何?大人しくしてないと斬るよ?」

沖田にそう言われ、一度は口を噤んだものの、再び口を開く千鶴。

「…その羽織り…新選組、ですよね?」

「それが何?人斬り集団に捕まるくらいなら死にたいって言うなら、すぐにでも斬ってあげるよ?」

「っそうではなくて…あの…烝さんを知っていますか?」

「烝?どこかで聞いたような……斎藤君、わかる?」

「…わかるが、念のために訊く。姓は?」

「山崎です。山崎烝」

その名を聞き、沖田は道理で聞き覚えがあるはずだと思い、斎藤は予想を違わなかったことに眉を寄せる。
山崎は隠密であり、斎藤と同じく土方に尽くす同志だ。
その山崎が一般人に身分を明かしたとはあまり考えられない。

「何故あんたは山崎君を知っている?」

「昔からの知り合いなんです。最近は会っていないんですけど…」

「……そうか。ならば、そのことも含めて副長に報告しておく。話は明日だ。もう寝ろ」

「でも…」

戸惑う千鶴を面倒臭そうに見た沖田は、問答無用で千鶴に首刀を食らわせ、気絶させる。
それを見ていた斎藤は咎めるように沖田を見た。

「総司…」

「こっちの方が早いじゃない。起きていられても迷惑だし、殺してないんだからいいでしょ?」

「……」

はぁ…と呆れたように溜息を吐く斎藤を尻目に、沖田はどこからか持ってきた縄でくるくると千鶴を縛り、手ぬぐいで口も塞いで布団に転がす。

「…女相手にやり過ぎじゃないか?」

「逃げられたら土方さんが煩そうだし、叫ばれたら『何で屯所に女が?!』ってなるでしょ?何も知らない隊士たちに事情を説明するわけにはいかないし、必要な処置だと思うけど?」

「………そうだな」

それだけではなくいやがらせも含む気がしたが、理が適っているため肯定しかできない。
しかし、他の二人と同様に面倒だと思っていた斎藤も流石に不憫に思い、せめても…と掛け布団を掛けてやった。

そして次の日。

散々な目覚めだった千鶴は、更なる窮地に立っていた。

「殺しちゃえばいいじゃないですか」

羅刹を見てしまった千鶴を殺せと沖田が促し、半数ほどがそれに賛同したのだ。
それを土方が止めるが、内心はさほど違わぬように思える。
殆ど味方がいない状況に千鶴が青ざめていると、廊下から足音が聞こえ、襖の前で止まった。

「御呼びと聞きましたが…」

「あぁ。とりあえず入ってくれ、山崎君」

「はっ」

ガラッと音を立てて襖が開き、どちらかといえば小柄な男が現れる。

「烝さん!」

「お嬢様?!」

見知った人物の登場に千鶴は喜ぶ。
一方、山崎は江戸にいるはずの千鶴の姿に驚き、目を見開いて硬直していた。
その様子に、本当に知り合いらしい…と土方たちは納得したが、そのことを知らなかった面々は驚くと共に疑問に思う。

「山崎君、知り合いなの?ってか、『お嬢様』って何?!こいつ男だろ!」

平助の後半の言葉に賛同したのは新ハのみで、他は千鶴が女だと見抜いていたらしい。
千鶴は自分の男装が通用していなかったことに落ち込む。

「女ってのはわかってたが、山崎君とどういった知り合いで、何で『お嬢様』って呼ぶのかがさっぱりわかんねぇんだが」

「まず確認させて下さい。俺が呼ばれたのはお嬢様がここにいることに関係するんですね?」

「あぁ。こいつが君と知り合いだって言うからな。確認するために呼んだ」

「そうですか……それで、何故、お嬢様がこちらにいてこのような扱いを受けているのですか?」

目敏く千鶴の腕に巻き付く縄に気付いた山崎は、目を鋭く光らせながら一同を見る。
そんな山崎に土方は深く溜息を吐き、答えた。

「昨日、アレの後始末、君に頼んだろ」

「はい」

「その現場に居合わせたんだよ、こいつ。アレを見ちまったんだ」

「!」

動揺する山崎に「だからここにいる」と補足すると、土方は目を細めた。

「次はこっちの番だ。…どういった関係だ?」

「…関係も何も、彼女は綱道さんのお嬢さんですよ」

「「「はぁ?!」」」

山崎の説明に皆驚き、奇声を上げる。
その後まじまじと見られ、居心地の悪い気分を味わったが、父の名前に反応する一同に千鶴は多少期待して口を開いた。

「申し遅れました。雪村千鶴と申します。一月ほど前から父からの文が途絶え、心配で父の行方を探しに江戸から参ったのですが…皆さんは父を、綱道を知っていらっしゃるんですか!」

「知っても何も…なぁ……一月前に姿くらましちまって俺らも探してる」

「そう、なんですか…」

期待しただけに落胆も大きい。
千鶴はがっくしと肩を落とし、俯いた。

「…おい。綱道さんの娘ってなら、お前は薬のこと何か…」

「お嬢様は存じ上げないかと。綱道さんは過保護でしたから」

「そうか…」

ちっと舌打ちする土方。
綱道が途中で放り出した薬のことを何か知っているならと思ったのだが、期待外れだったらしい。
びくっと震える千鶴に、山崎が咎めるように土方を見つめ、その珍しい態度に土方は眉を寄せた。

「ちょっと、土方さん。何一人で納得してるのさ。この子が綱道さんの娘で、女の一人旅は危険だから男装して京まで遥々綱道さんを探しに来たってのはわかったけどさ、肝心の山崎君との関係が全くわからないんだけど」

話に入れずつまらなそうにしていた沖田が横から口を挟む。
つまらなそうにしていた割にはちゃんと話を聞いていたらしい。
確かに山崎は「綱道の娘」と言っただけで自分と千鶴の関係を明らかにしていない。

「あ?そりゃあ、山崎君が一時期江戸に身を寄せてた頃に綱道さんの師事を受けてたらしいから、その関係だろ」

「初耳なんですけどー」

「へー、だから山崎君そいつのこと知ってたんだー」

土方の説明に沖田は関心が薄れたのか、やる気なさそうな声を出し、平助や新ハは納得とばかり頷く。

「僕、てっきり山崎君と恋仲か何かだと思ってたのにー」

「はっ?!」

「えっ?」

「だって、『烝さん』だよ?あの山崎君が名前を呼ばせてるんだよ?そういう仲だと思っても仕方ないじゃない」

期待してたのにつまんないなーと言いつつ沖田の顔は面白そうなものを見つけた時の顔だ。
普段、斎藤と同じくらい表情の変わらない山崎が千鶴のことになるとあからさまに動揺するのが楽しいのだろう。

「ってか、綱道さんは『綱道さん』って呼んでるのに、どうしてその子は『お嬢様』なのさ?」

「その…綱道さんにそう呼ばないと医学を教えていただくどころか家にすら入れてもらえなかったので…」

「へぇ、綱道さんって親馬鹿だったんだ。山崎君を悪い虫扱いなんて……良かったですね、土方さん。この子殺してたら、綱道さんが見つかっても協力してくれなかったと思いますよ。あ、でもその前に後始末に来た山崎君が死体を見て、怒り狂ってたかもしれませんね」

「………」

にこにこと笑顔で物騒なことを言う沖田を山崎は無言で睨む。
普段から仲が良いとは言えない二人だが、千鶴が絡むと更に険悪になるらしい。
沖田の言ったこともあながち間違いではなさそうだと思った土方は面倒なことになったと思いながら山崎を見た。

「山崎君」

「…はい」

「綱道さんに強制させられる前は何て呼んでた?」

「普通に『千鶴君』と呼んでいましたが」

「じゃあ、そう呼べ。それと敬語も禁止な」

「は?あの、それはどういう…」

「こいつはここに置く。男装させたままな。だから、『お嬢様』なんて呼ばれると困るんだよ」

「なっ…こんな男所帯にお嬢様を置いておけるわけっ」

「だから、『お嬢様』って呼ぶなって!仕方ねぇだろ。アレ見ちまった奴をそのまま放り出すわけにはいかねーし、殺すのもまずい。なら、男の格好させて軟禁するしかねぇだろうが」

「っ………」

これでも譲歩しているのだと気付いた山崎は口を固く結び、ちらりと千鶴を見る。
不安げに瞳を揺らす千鶴に山崎は、ここで反論して条件が厳しくなるよりは―例えば軟禁から監禁になるなどよりは―良いと判断して、こくりと頷いた。

「…ならば、おじょ…千鶴君の監視をするおつもりでしたら、その役目を俺に」

「まぁ、そのくらいなら…」

「えー、いいんですかぁ?山崎君を監視にしたら、こっそり逃がしちゃうかもしれませんよ?」

「新選組の不利になるような真似はしません」

「ふぅ~ん?でもさぁ、君がいない時はどうするのさ?」

「その時は…」

ちらりと斎藤の方を見る。
土方を除けば一番信用できると思っている相手だ。
無口で無愛想だが、意外と人の良い斎藤ならば、悪くはしないだろう。
山崎が斎藤に望むことをわかっていたのだろう…反応の薄い沖田は「でもさぁ」と続けた。

「斎藤君も君も仕事の時は?」

「それは……」

「…山崎君がいない時は監視役は幹部の中で交代で行う。それでいいか、山崎君?」

「……沖田さん以外の幹部でしたら」

「ちょっと、山崎君。何で僕だけ除外するのさ。仲間外れなんで酷いなぁ」

「貴方の存在は千鶴君にとって百害あって一利なし、ですからね。貴方の側に置いておくくらいなら、任務放棄します」

「酷いなぁ、そこまで言う?ってか、仕事大好きな山崎君からこんな言葉が聞けるなんてねぇ…いいんですかぁ、土方さーん。山崎君、任務放棄するって言ってますよ」

「お前を監視役にした場合、だろ。なら、総司抜きで決めるか」

あっさりそう決めた土方に沖田はむっとした後、不安げに成り行きを見守っている千鶴を見る。

「ねぇ、千鶴ちゃんだっけ?君も僕には監視されたくない?」

「えっ?えっと………」

「選択肢のねぇ奴を脅すな、総司」

「えー?人聞きの悪いこと言わないで下さいよ。僕はただ、この子の意思も確認した方がいいと思って…」

「総司」

「はいはい」

咎めるように睨まれて、沖田は仕方なさそうに肩を竦めた。
元々、監視なんて面倒なものがやりたいのではなく山崎をからかって遊びたかっただけなので、あっさり引き下がった。

「そういうわけだ、山崎君」

「はい。…お嬢様の身は俺が守りますから、安心して下さい」

「山崎君、口調」

「はっ!…あ、その…千鶴君。君のことは俺が守る」

話に名前を出す分には問題ないが、本人に対して口調を改めるのは難しいのか、躊躇いがちにそう言う山崎。
そんな山崎に千鶴は少し安心したのか、肩の力を抜いてにこりと笑った。

「よろしくお願いしますね、烝さん」

「……あぁ」

「ふふっ…何だか懐かしいですね。烝さんが名前を呼んでくれるの。不謹慎かもしれませんが、嬉しいです」

「あ、その、だな!俺は別に呼びたくなくて呼んでなかったわけではなく、寧ろ逆というか……」

顔をほのかに赤くして狼狽しながら弁解しようとする山崎を見て、幹部たちは驚くとともに、生温かい目で山崎を見つめた。

((((わかりやすい……))))

鉄仮面とさえ言われていた山崎をここまで翻弄する少女に一部は額を押さえ、一部は微妙な顔でそんな山崎を眺め、一部は笑いを堪え、そして一人は我慢せず吹き出し笑いこけた。
遠慮なく腹をかかえて笑うその一人を睨んだ山崎だったが、千鶴に「烝さん。何故あの人笑ってるのでしょうか?」と訊かれ、慌ててごまかす。
そんな二人の様子に、

((((あぁ、鈍いのか…))))

と恋愛事に縁がなく、千鶴を女だと見抜けなかった二人さえ思い、「頑張れ」と肩を叩いて応援したのであった。





―――――――――――――――――――
ただ山崎に「お嬢様」と呼ばせたかっただけです。
捏造ってやっぱり楽しいですね!

最初は山崎も鬼にして、代々雪村家に仕える鬼(ただし血は薄い)にしようかなぁと考えていたのですが(千姫でいう君菊のような存在)、力量不足のためボツにしました。
それなら何故新選組に所属しているのか、それから考えないといけませんからね…

綱道に風間のことを聞いていて、「婚約者のいる女性を男所帯の新選組におくのは」と渋って、何も聞かされていなかった千鶴に問い詰められたり。
実際に風間に会って、「こんなのがお嬢様の婚約者!?」と嘆き、「風間様に渡すくらいなら、俺が一生お嬢様を守り抜く」と決意したり。
千鶴が自分に向ける気持ちに気付いて、従者である自分と千鶴を愛する男としての自分の間で揺れたり。

もうこれだけで書けそうですね…書かないけど(ぉい
誰か書いてくれないかなぁ…?

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前回浮上してから2週間も経ってますね…
自分、更新するときはすごい頻度でやるのに、放置するととことん放置だなぁと実感しています。

多少忙しさが…死にかけから、どうにか生きてるよー程度になりました。
でも、次はテスト期間が待っている(ガタブル
そのあとは部活の合宿があって、特別講義があって、工場見学…うわぁ、ハード…(呆
自分でも、何でこんなに詰め込んでるのか理解できないです。

さてさて、返信です。
遅くなってしまってすみません!!

>peach tea no1 さま
こちらこそ、よろしくお願いします!!
スキビ、早くupできるように頑張りますねwww


>モジモジ さま
はじめまして、モジモジさま。
拍手ありがとうございます!
長編は、実は短編より先に書いた話なので、スキビ1作目は実はこっちなのです(笑
ただ、終わるメドが付いてからと思ってupしてなかったんですよね~。
続きというか、番外編を書こうとは思ってるのですが、時間がないのと、どんな話を書こうとしてたんだっけ?と度忘れしてしまって、まだ着手してないんです…。
思い出したら書きますね~ww

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スキビサイトの 艶やかな微笑 さん(サイトマスター:peach tea no1 さま)と相互させていただきました!
日々通っている方なのですっごく嬉しいです!!(でもROMってます(ぉい

ではでは、返信です。

07/01
>peach tea no1 さま
拍手ありがとうございます!
どちらでもいいとのことでしたので、小部屋ではなく艶やかなの方をリンクさせていただきました!
本命はやっぱり蓮キョなので(笑
それから、本館の方をリンクの方に貼りましたので、そちらからどうぞw
と言っても、スキビはブログでしか更新していないので、アビスとかへたりあとかその他もろもろしかないですよ(汗
それから、今更ですが薄桜鬼もやってらしたんですねwww
私も最近はまっているので嬉しかったですwww




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ちょっぴり浮上、だけどすぐに沈む管理人です。
只今、自分追い詰め中…
私ってマゾだったのかしら?と思うくらい自分にノルマをかしています。

上限4名のインターシップ(事前学習込)の授業取って、その課題に追われ…
ゼミの先生から頼まれた内職に精を出し…(もう、英語も日本語も見たくないです…/ぇ)
明日…ではなく今日の放課後は部長&サークル長の懇談会に出席して、
附属高校の説明会(もどき)に出ることになったし…(はんば強制イベントorz
部活の方ももうすぐサマーコンサートやるから仕上げに入ってるし…

ただ、単に優柔不断で断れない性格なだけなんですけどね。
でも、ここまで自分を追いこんでると、自分で自虐的なのかな…と悩みます。
おかしいなぁ…友人には「お前はドS」って断言されるのに…(ぉい

ぐだぐだと長文すみませーん。
ではでは、拍手返信です!


06/20
>しう さま
拍手ありがとうございます!
返事がおそくなってしまい、申し訳ありません(汗
TOAは他のジャンルと違って、冷めきることがないんですよね~。
だからなのか、ネタが降ってきて、結果があのネタ語りです(笑
私も時間があれば書きたいんですけどねぇ…
個人的にはアスラン出したい…けど、出ないと思います。
メインは双子、ですからねぇ。
「馬鹿だな、“ルーク・フォン・ファブレ”…ダアトの軍人に成り下がっていても、罪さえ起こさなければ“ルーク”に戻れたのにな」
的な言葉言わせたいです。
だって、ルークは“ルカ”って名前があって、なおかつ身体はレプリカだけど元は人間ですからね。
場所を奪ったとかそういう罪悪感は一切ないです。

あー、フリルクネタ降ってこないかなぁ~(ぉい



06/30
>peach tea no1 さま
はじめまして。
拍手ありがとうございます。
拙宅のリンクでしたらどうぞご自由にお貼りください。
というより、むしろ貼って下さると嬉しいです!!
ヴァイオリンの話は、スキビをやるなら書きたいなぁと思って書いた話なんですよ。
自分が楽器を弾く人間なので(チェロですが/苦笑)、キョーコちゃんならこういう音を出すのかなぁと想像しながら書くのはすっごく楽しかったですww
実際の音色を知ってると想像しやすいですからね。

もしよろしければ、私の方からもリンクさせていただいてもいいですか?(ここで聞くな
あ!個人的に、他CPのところにある社キョの話が気になりますwww(だからここでry



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